技術・人文知識・国際業務ビザで働く派遣労働の問題点と今後の対応|福岡の行政書士が解説

技術・人文知識・国際業務ビザで働く派遣労働者についてビザ専門の行政書士が解説

2025年8月に、技術・人文知識・国際業務ビザで働く派遣労働に注目が集まっている、というニュースが報道されました。技人国ビザで働く外国人派遣労働者の何が問題になっているのか、日本政府の今後の対応はどうなるのか、について報道と独自の集計を元に解説します。

情報出典:Yahoo!ニュース(共同通信)
情報出典:NHK WEB特集

国際
行政書士
河野

以前から、「技術・人文知識・国際業務ビザを持つ外国人は単純労働ができないはずなのに、実は単純労働をしている」という情報は様々なメディアで発信され、「なんちゃって技人国」「えせギジンコク」というおかしな名称で語られていましたが、ついに出入国在留管理庁が動く事態になったようです。

技人国ビザで働く外国人派遣労働者に注目が集まっています

技術・人文知識・国際業務(技人国ビザ)とは

技人国ビザで許可される業務内容

技術・人文知識・国際業務ビザは、過去に学んできた知識や、仕事の経験自国の文化や言語に関する知識と関連がある業務であれば取得することができます。逆に、専門知識を必要としない業務や外国人の方の学歴・職歴や文化などと関連しない業務ではビザを取得できないので注意が必要です。また就労制限(従事できない業務)もあります。具体例を以下の表にまとめています。

分類技術(理系)人文知識(文系)国際業務
業務内容・システムエンジニア
・WEBデザイナー
・機械工学の技術者
・情報セキュリティの技術者
など
・企画・営業・経理・人事
・法務・総務・コンサルティング
・広報・商品開発
・マーケティング
など
・通訳・翻訳・貿易
・広報・宣伝・デザイナー
・語学学校などの語学講師
・海外取引業務
など
国際
行政書士
河野

技術・人文知識・国際業務について、更に詳しくは以下のページをご覧ください。

技人国ビザで単純労働はできない

技術・人文知識・国際業務ビザを取得した外国人の方は、原則として単純労働をすることができません。単純労働とは、専門知識を必要としない業務です。

  • 建設現場での単純労働
  • コンビニのレジ係、品出し
  • 飲食店での接客作業
  • ホテルのベッドメイキング

上記は単純労働になります。

技術・人文知識・国際業務ビザを取得した外国人の方は、在留資格(ビザ)の申請時に、技術(理系)、人文知識(文系)、国際業務のいずれかの業務で許可を得ているので、許可を得た業務以外の単純労働をおこなうことは認められていない、ということです。企業へ入社した後に来なわれる新人研修に「単純労働」が含まれている場合でも、事前に出入国在留管理庁に相談しておいた方が無難です。

国際
行政書士
河野

もし、単純労働を含む業務を希望している場合は「特定技能ビザ」の方が適している可能性もあります。特定技能ビザは、技術・人文知識・国際業務ビザよりも対応できる業務が幅広く、学歴の条件もないため、就労したい企業の選択肢が増える可能性があります。
試験に合格する必要はありますが、就労したい業務内容によっては、特定技能ビザを検討してみると就労できる可能性が広がるかもしれません。

技人国ビザでの派遣労働の状況

技人国ビザで日本で就労する外国人の数

技人国ビザで就労する外国人の方は、2024年末時点で418,706人となり、23年末より56,360人増えて過去最多となりました。以下は、出入国在留管理庁 出入国管理統計統計表を基に独自に集計した情報です。

技人国ビザ
国・地域の就労人数
2023年12月末2024年6月末2024年12月末1年間の増加数(2023/12→2024/12)
総計362,346人394,295人418,706人56,360人
ベトナム93,391人101,674人108,334人14,943人
中国92,141人99,659人103,622人11,481人
ネパール32,862人37,118人40,489人7,627人
スリランカ12,223人13,777人16,163人3,940人
ミャンマー10,511人12,377人14,000人3,489人
韓国24,125人25,811人26,180人2,055人
インドネシア6,675人7,688人8,371人1,696人
台湾13,832人14,747人15,513人1,681人
インド12,177人12,908人13,619人1,442人
バングラデシュ5,620人6,333人6,916人1,296人
フィリピン9,632人10,094人10,552人920人
アメリカ8,416人8,506人8,764人348人
そのほか40,741人43,603人46,183人5,442人

技人国ビザでの派遣労働の数

技人国ビザでの派遣労働の数は正確には公表されていませんが、報道によると、1割程度の約4万人が契約しているとみられ、派遣先では生産管理や通訳を担うことが多いと考えられています。日本政府としては、今後も外国人の方々が派遣業者を利用する傾向は強まると予想しています。

技人国ビザでの派遣労働の問題点と対応

報道によると、派遣労働に関するトラブルが相次いでいるとして、出入国在留管理庁が実態把握に乗り出す方針であることが分かりました。トラブルとは、例えば以下のような内容です。

  • 派遣先で単純作業をするケース
  • 資格外活動(技人国ビザで許可された以外の業務を行う、など)
  • 賃金未払い

上記の問題が発覚し、出入国在留管理庁として是正が必要と判断し、実態を確認しつつ不適切事案に対処する考え、と伝えられています。

「経営・管理」など日本で働く外国人の在留資格(ビザ)に注目が集まっている

技術・人文知識・国際業務ビザ以外にも良くない意味で注目されているビザがあります、経営管理ビザです。読売新聞(2025年6月10日報道)朝日新聞(2025年8月4日報道)によると、2025年10月16日から、経営・管理ビザの資本金などの要件が厳しくなりました。原因は、現行の500万円要件は、資本金の振込だけで形の上では要件を満たすことが可能であり、これを利用して以下のような制度の抜け穴が生まれていたからです。

  • 在留資格(ビザ)を得た直後に活動実態のないまま更新手続き
  • 実際には事業を開始する意思がないのに、在留資格(ビザ)目的で会社を設立
  • 実態のないオフィスを借りただけのペーパーカンパニー

上記の状況を受けて、出入国在留管理庁が、それまでの500万円から、6倍の「3,000万円以上」に引き上げました。さらに「1人以上の常勤職員」という要件を同時に求められるなど、様々な要件も追加されました。詳しくは、以下のページで解説しています。

(FAQ)技人国ビザでの派遣労働についてよくある質問

派遣社員でも「技人国」を取得・更新できますか?

できます。技人国ビザの要件は「本邦(日本)の公私の機関との契約」に基づく専門活動であり、「契約」は雇用に限らず委任・委託・嘱託なども含まれます。複数機関との継続的な契約でも許可される可能性はあります(継続性が必要)。

正社員(無期)でなく、契約社員・派遣契約でもよいですか?

「契約」の形は問われませんが、特定の機関(会社など。複数でも可)との“継続的な”契約であることが必要です。

派遣形態で不許可になりやすい典型は?

①実態が単純作業中心、②日本人と比べて報酬が低い、③将来も専門業務に就く見込みが不確定(長期の店舗実務→選抜で本社業務など)などの場合は不許可になります。

派遣元・派遣先のどちらが「所属機関」?

原則、契約当事者である機関(雇用主=派遣元の会社)が所属機関です。所属機関や在留カード事項の変更・終了時は届出等の義務を履行する必要があります。

派遣先での業務が技人国に該当するか分からない。事前に確認する方法は?

「就労資格証明書」を申請すれば、その業務が技術・人文知識・国際業務ビザで許可されるか事前に確認できます。

少しでも「単純作業」があると不許可になりますか?

「未経験可・すぐに慣れます」といった業務や、反復訓練で可能な業務が主となる場合は技人国ビザに該当しません。新入社員研修のような「日本人社員でも求められる研修で、研修後は単純労働に従事しない場合」は許可される可能性が高いです。入国管理局の審査官によって、在留期間中の“全体の活動”で判断されます。研修であっても、技人国ビザでは通常許可されない単純労働の業務内容が多いと不許可になります。

許可・不許可の事例について詳しくは、以下のページで解説しています。

研修で接客・ライン作業をさせることは許されますか?

入社当初の実務研修の“一環”として、日本人新卒にも同様に課され、在留期間全体の大半を占めない範囲なら認められます。

会社側が、単純労働させるために外国人に技術・人文知識・国際業務ビザを取得させると、罪になりますか?

結論、単純労働をさせる目的で技術・人文知識・国際業務ビザを取得させた結果、実際の就業が在留資格の範囲外=不法就労に当たる状態となれば、雇用主やあっせん者は「不法就労助長罪」に問われ得ます(罰則:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、併科あり。法人にも両罰規定の適用あり)。警視庁公式ホームページでもそのように説明されています。

最後に:プロの行政書士に技人国ビザの申請を依頼するメリットは3つ

事前に適正な業務内容の確認ができる

上記の記事のように、単純労働なのに技術・人文知識・国際業務ビザを取得してしまう場合があります。会社側が、「技人国ビザで単純労働をさせることは違法」と分かった上で外国人に技人国ビザを取得させることは明確な違法行為なので論外ですが、会社側も外国人側も知らずに技人国ビザを取得してしまう場合があります。(この場合も、不法就労助長罪に問われる可能性があります)

技人国ビザで許可される業務か、そうでないかは、専門家であれば短期間で判断できます。迷った場合は、専門家のサービスをご活用ください。

国際
行政書士
河野

なお、弊所では、(当然ですが)不許可になるビザを、嘘をついて(虚偽申請をして)許可されるようにするサポートは一切お断りします。弊所では、誠実に、正直にビザ申請をする企業様、長く日本で働き続けたいという外国人の方だけをサポートいたします。

許可率アップだけでなく「在留が許可される期間」を長くできる

ビザ専門の行政書士であれば、技術・人文知識・国際業務ビザ申請が許可されるために何が必要なのかを理解しています。企業や外国人の方が自分で申請する場合よりも、許可される確率を上げることができます。

また、「在留が許可される期間」を長くできる可能性もあります。就労ビザは、通常、在留期間1年、3年、5年のいずれかが許可されます。在留期間が長いほど更新の手間がなく、企業担当者も、外国人の方も手間が省けます。また、「より長い在留期間が許可されている」ということは、入国管理局から「その企業や外国人の方が、信用されている」ということです。入国管理局からの信用度が低いと、申請が許可されにくい(追加資料を求められて余計な手間がかかる)場合や、最悪の場合は申請が不許可になりやすくなります。

スピードアップ

無駄なく、必要と思われる書類のみを用意し、申請書類を提出するまでの時間をできるだけ早くできます。申請の結果を待っている間は、企業担当者も外国人の方も不安が多いと思います。1日でも早く申請書類を作成・収集し、不安な期間を1日でも短くすることができます。過去、ご相談いただいてから最短で1週間で申請した経験もあります。お急ぎの場合はお電話(092-407-5953)でご連絡ください。

審査期間を短縮

入国管理局から追加書類を求められると審査期間が長引きます。ビザ専門の行政書士であれば、「この状況を説明するためには、入国管理局からこの証明書類を求められるので、どの書類を準備するべきか」を知っています。事前に入国管理局の疑問に答えられる申請書類を準備することで、追加書類を求められる可能性をできるだけ低くすることで、審査期間を短縮できます。

また、申請書類を「分かりやすく整える」ことも重要です。申請書類はA4サイズ、片面印刷で提出するべきことは出入国在留管理庁のホームページに書いてありますが、「横向きの書類と、縦向きの書類を、どの方向に向けて統一するべきか」を知っている企業担当者は少ないでしょう。ビザ専門の行政書士はそこまで細かい部分にもこだわります。入国管理局の審査官も人間です。書類は分かりやすい方が良い、入国管理局の立場に立って書類を作ってくれる方が助かるに決まっていますし、その方が審査期間が短くなるに違いありません。

技術・人文知識・国際業務など就労ビザで外国人材に早く仕事してほしい、許可率を100%に近づけたい、などのご希望がある企業様、外国人の方は、まずはご相談ください。ビザ専門の行政書士として、最適なサポートとアドバイスをさせていただきます。

国際
行政書士
河野

今回の解説は以上です。弊所のサービス内容や価格、手続きの流れ、許可の可能性診断につきまして無料相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。オンライン(ZOOM、LINE、WeChat、Teamsなど)での面談も対応しております。

技術・人文知識・国際業務ビザ申請代行
国際行政書士 河野尋志

投稿者プロフィール 【行政書士 and 事業サポート 河野尋志】
企業の取締役として外国人の社員さんと一緒に国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。また行政書士業務を始めてからは、様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)

以下は、技術・人文知識・国際業務ビザなど就労ビザ申請に関する情報一覧です。気になる情報があれば是非ご覧ください。

就労ビザ
技術・人文知識・国際業務ビザについてビザ専門の行政書士が解説
技人国ビザ認定証明書の申請で、短期間で在留期間5年が許可された理由とは|福岡の行政書士が解説
【技術・人文知識・国際業務】ビザ申請
就労ビザの更新についてビザ専門の行政書士が解説
就労ビザの転職で1年間も無職だったのに更新が許可された理由|福岡の行政書士が解説
就労ビザ
留学ビザから就労ビザへの変更についてビザ専門の行政書士が解説
留学ビザから就労ビザへ変更申請の許可率と注意点|福岡の行政書士が解説
【技術・人文知識・国際業務】ビザ申請
海外の大学など学歴を証明する方法を就労ビザ専門の行政書士が解説
[就労ビザ]海外の大学など学歴を証明する方法|福岡の行政書士が解説
就労ビザ
在留資格認定証明書の許可される割合について就労ビザ専門の行政書士が解説
在留資格(ビザ)認定証明書の許可率とリスク|福岡の就労ビザ専門行政書士が解説
就労ビザ
就労ビザ専門の行政書士が飲食店で働くための就労ビザを解説
【飲食店の就労ビザ】技人国、特活46号、特定技能「外食業」を比較|福岡の行政書士が解説
就労ビザ
就労ビザ専門の行政書士が特定活動46号を解説
就労ビザ「特定活動46号」は柔軟性バツグン|福岡の行政書士が解説
【技術・人文知識・国際業務】ビザ申請
就労ビザ専門の行政書士が解説
【就労ビザ】在留期間3年・5年をもらう対策|1年しかもらえない理由|福岡の行政書士が解説
就労ビザ
就労ビザの更新や変更を申請中であることの証明方法を解説しつつ、紙申請とオンライン申請の違いを説明
就労ビザ更新・変更を「申請中」の証明方法とは?紙申請とオンライン申請の違い|福岡の行政書士が解説
行政書士業務
外国人の入職経路と必要期間
[データで見る外国人採用]就労までの入職経路と必要期間|在留資格認定証明書(COE)交付と合わせて|福岡の就労ビザ専門行政書士が解説
行政書士業務
VISAとビザとCOEの用語解説と取得の流れ
【外国人雇用企業向け】VISA・ビザ・COEの用語解説・取得の流れとは?|福岡の就労ビザ専門行政書士が解説
行政書士業務
就労ビザの法定調書合計表
就労ビザの必要書類「法定調書合計表」の源泉徴収税額1000万円とは?|行政書士に依頼するメリットも解説
行政書士業務
外国人採用企業と外国人の転職
就労ビザでの転職が失敗しないために!採用企業と外国人がやるべきこととは?|福岡の行政書士が解説
行政書士業務
特定技能ビザ
育成就労制度の動向:2025年3月時点
行政書士業務
ワーキングホリデービザから就労ビザ
ワーキングホリデービザから就労ビザへ変更する場合の注意点|福岡の行政書士が解説
行政書士業務
外国人雇用企業の義務
外国人雇用企業と外国人社員の義務とは? 対応の必要がある内容|福岡の就労ビザ専門行政書士が解説
【技術・人文知識・国際業務】ビザ申請
就労ビザ更新申請管理
外国人社員の就労ビザ「更新」申請を企業が管理するメリットとは|福岡の行政書士が解説
行政書士業務
在留資格認定証明書交付申請の整合性
[要注意]在留資格認定証明書(COE)申請書は更新時に整合性を必ず確認されます|福岡の就労ビザ専門行政書士が解説
行政書士業務
技術・人文知識・国際業務の在留資格認定証明書交付申請
技術・人文知識・国際業務ビザの認定証明書(COE)が交付された職種・職務内容は?|福岡の就労ビザ専門行政書士が解説
就労ビザ
在留資格認定証明書COE交付申請
【解説】在留資格認定証明書(COE)交付申請とは?必要書類からオンライン交付まで|福岡の就労ビザ専門行政書士が解説
【技術・人文知識・国際業務】ビザ申請
建設業の就労ビザ
建設業で働く外国人の方に必要な就労ビザを解説|福岡の就労ビザ専門行政書士が解説します
【技術・人文知識・国際業務】ビザ申請
就労ビザとは
就労ビザとは?外国人を雇用する企業が知っておくべき基礎知識|福岡の行政書士が解説
在留資格(ビザ)申請
特定技能ビザ
育成就労制度で日本の働き方はどう変わる?期待される影響と展望|福岡の就労ビザ専門行政書士が解説
【技術・人文知識・国際業務】ビザ申請
労働条件通知書についてビザ専門の行政書士が解説
就労ビザ認定証明書(COE)の必要書類「労働条件通知書」の作成注意点|福岡の就労ビザ専門行政書士が解説