
(更新者:国際行政書士 河野尋志)
日本で働くための就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザなど)の申請サポートをさせて頂いた外国人の方から、「次は家族を日本に呼んで一緒に暮らしたい」というご相談を多くいただきます。このページでは、日本で働く外国人の方が、出身国からご家族を呼び寄せるために必要な手続きを解説いたします。
家族滞在ビザについて解説します
「家族滞在ビザ」で配偶者とお子さんを呼び寄せるために
日本で働く外国人の方、留学している外国人の方が「家族滞在ビザ」で本国から呼び寄せできるご家族は、扶養者(外国人の方本人)の「配偶者(夫または妻)」と「お子さん」に限られます。ご両親を呼び寄せることはできません。
以下の在留資格(ビザ)をお持ちの外国人の方は、家族滞在ビザを申請して配偶者やお子さんを呼び寄せることが可能です。
教授/芸術/宗教/報道/高度専門職/経営・管理/法律・会計業務/医療/研究/教育/技術・人文知識・国際業務/企業内転勤/介護/興行/技能/特定技能2号/文化活動/留学
家族滞在ビザの「子」とは何歳まで?
家族滞在ビザでいう「子」とは、扶養を受けている(法律上、有効な家族関係があり、外国人の方の監護や養育、経済的に支えている)ことが前提です。
養子(養子縁組によって養親の子となった者。養子縁組とは、血縁関係がない人との間に法律上の親子関係を成立させる手続き)も可能です。
認知(婚姻関係にない男女の間に生まれた子ども[非嫡出子]と、その父親との間に法律上の親子関係を成立させること)されている子供も対象になります。
実は、家族滞在ビザで呼び寄せることができる「養子」の範囲は、配偶者ビザや定住者ビザで呼び寄せできる養子よりも範囲が広いのが特徴です。また、原則は未成年者(18歳未満。つまり17歳まで)が対象となりますが、実際に扶養を受けている状況や、特別な事情などが考慮されて成年に達していても取得できる場合もあります。ただし、特別な事情を十分に説明できる資料を準備する必要があります。
年齢が上がるほど家族滞在ビザの難度も上がります。現状では以下の基準がある、といわれています。
●14歳以下
→親子である証明ができれば問題はありません。
●15歳以上18歳未満
→日本の義務教育年齢を過ぎているため、学習計画などの説明を求められる可能性があります。
●18歳以上
→日本の成人年齢にあたるため「なぜ扶養しなければならないのか?」「なぜ今、日本に呼び寄せるのか?」といった質問の答えを求められる可能性があります。
日本では中学校を卒業(15歳になって最初の3月31日以降)すれば働くことができます。そのため、入国管理局の考え方として、高校や大学に通う予定のない子供に「アルバイトをさせる目的で呼び寄せるのではないか?」と疑念を持たれてしまうと家族滞在ビザが許可されない可能性があります。
なお、お子さん(子)が日本の高校を卒業した後に、日本で仕事をする(就労する)ことを希望する場合は、定住者ビザまたは特定活動ビザが取得できる可能性があります。詳しくは、以下の出入国在留管理庁のホームページをご覧ください。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00122.html
家族滞在ビザが「許可されない可能性」がある例
家族滞在ビザが許可されない可能性がある例として、親と子が一緒に日本に来るのではなく、親だけ最初に日本に来て、数年後に子供を日本に呼び寄せる場合です。その理由は、入国管理局さんが「なぜ今まで子供は母国で別の人が養育していたのか?」「なぜ今から日本で養育するようになったのか?」「子供を日本で働かせるために呼び寄せるのではないのか?」と考えるからです。
なぜ今、日本に子供を呼び寄せる必要があるのかを合理的に説明する資料を提出する必要があります。「家族が一緒に暮らすのに理由なんて必要ない」という考え方はよく分かりますが、「就労目的ではない」ことをしっかり説明しないと、家族滞在ビザが許可されない可能性があるので、入国管理局さんにしっかり説明しましょう。
また、以下は念のためにお伝えします。子供が成長して日本の大学や専門学校に入学して留学ビザに変更し、その後卒業して仮に就職が決まらなかった場合は、家族滞在ビザに戻すことはできません。在留資格(ビザ)がない場合は、帰国するしかなくなりますので、計画的に将来を考えることをお勧めいたします。
家族滞在ビザの「収入」の基準は?
家族を呼び寄せて日本で一緒に生活する場合、外国人の方一人の場合より確実に生活費が増えます。入国管理局さんは、生活費が増えて税金が払えなくなったり、公的な援助(生活保護など)を受けることを心配します。なので、家族滞在ビザの申請では、扶養者(日本で働く外国人の方)の収入が非常に大きな要件になります。
結論、必ず000万円以上ないと許可されない、という基準はあるとは思いますが、入国管理局さんから公開されていません。あくまで予想ですが、これまでの行政書士の経験上、目安は以下だと考えられています。
■扶養家族1人(例:扶養者と、配偶者または子の2人家族)の場合:年収240万円以上
■扶養家族2人(例:扶養者と、配偶者と子の3人家族)の場合:年収300万円以上
■扶養家族3人(例:扶養者と、配偶者と子2人の4人家族)の場合:年収360万円以上
※地域によって基準は異なります。(アルバイトの収入除く)
技術・人文知識・国際業務ビザでご家族を呼び寄せるための年収の基準は?
技術・人文知識・国際業務ビザでご家族を呼び寄せるための年収の基準は? 家族の呼び寄せ(家族滞在ビザの「認定証明書交付申請」)で最も重要な基準といわれるのは扶養能力(主に給与収入)で、毎回、明確な年収基準はないものかと調べ […]
住んでいる地域や家族の人数や属性によって必要となる生活費は違いますので、上記の金額はあくまでも目安です。収入面に不安がある方はお気軽にご相談ください、初回無料でビザ申請診断いたします。
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無料相談のお問合せ お気軽にお問い合わせください家族滞在ビザの「必要書類」について
参考までに、入国管理局さんへ提出しなければならない最低限の書類を記載いたします。更に、外国人の方とご家族の事情に合わせて、追加書類が必要になる場合があります。
【認定申請】外国からの呼び寄せ(COE=Certificate Of Eligibility)
●申請書(オンライン申請可)
●写真
●次のいずれかで、申請人と扶養者との身分関係を証する文書
・戸籍謄本
・婚姻届受理証明書
・結婚証明書
・出生証明書
上記がない場合は上記に準ずる文書
●扶養者の在留カード又はパスポート
●扶養者の職業及び収入を証する文書
(1) 扶養者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行っている場合
・在職証明書又は営業許可書( 扶養者の職業がわかる証明書)
・住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
(2) 扶養者が上記(1)以外の活動を行っている場合
・扶養者名義の預金残高証明書又は給付金額及び給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書
・上記に準ずるもので、申請人の生活費用を支弁することができることを証するもの
ご自身で申請される場合は、必要な資料は以下の出入国在留管理庁公式ホームページからご確認いただけます。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/dependent.html
【変更申請】【更新申請】
●申請書(オンライン申請可)
●写真
●申請者のパスポート及び在留カード
●次のいずれかで、申請人と扶養者との身分関係を証する文書
・戸籍謄本
・婚姻届受理証明書
・結婚証明書
・出生証明書
・上記に準ずる文書
●扶養者の在留カード又はパスポート
●扶養者の職業及び収入を証する文書
(1) 扶養者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行っている場合
・在職証明書又は営業許可書( 扶養者の職業がわかる証明書)
・住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
(2) 扶養者が上記(1)以外の活動を行っている場合
・扶養者名義の預金残高証明書又は給付金額及び給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書
・上記に準ずるもので、申請人の生活費用を支弁することができることを証するもの
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無料相談のお問合せ お気軽にお問い合わせください「留学生」が家族を呼び寄せる場合
留学生が配偶者(夫または妻)や子供を日本に呼び寄せたい場合に最も重要なのは、配偶者や子を扶養することができる経済力の証明、つまり「お金には困りませんよ」という証明をすることです。両親からの海外送金の頻度や金額など、扶養者(留学生)が就労ビザを持っている場合に比べて証明するべき資料はかなり増えます。
家族滞在ビザの対象となるのは、大学・大学院・短期大学・専門学校(法務大臣が認めている学校のみ)です。同じ学校でも「学科・課程」によって認められない場合があるので注意が必要です。日本語学校は含まれません。実際のビザ申請では「日本の難関大学」「大学院の在籍者」や「母国の国費留学制度などで留学中の外国人の方」は審査に有利であることが現実です。
参考までに、留学ビザでご家族を日本へ呼び寄せるための家族滞在ビザの必要書類例を記載いたします。更に、外国人の方とご家族の事情に合わせて、追加書類が必要になる場合があります。
「留学生」が家族を呼び寄せるための書類例
●同居の理由書
→留学生の現在の生活状況、同居予定期間、同居したい理由を具体的に記載
●留学生の在学証明書
●留学生の出席・成績証明書
●奨学金給付証明書
●学費免除証明書
●直近1年分のアルバイトの給与明細書
●親族からの送金により学費・生活費等を支弁する場合
1 送金者の誓約書
2 送金者の職業証明、収入証明
3 送金者の残高証明書、預金通帳のコピー
4 送金者との親族関係を証明する文書
5 送金通知書のコピー(送金事実を証明するため)
6 送金者の過去1年、今後1年の生計説明書
●留学生の預金通帳のコピー、残高証明書
●自宅の賃貸借契約書、入寮許可書
など
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無料相談のお問合せ お気軽にお問い合わせください家族滞在ビザの「よくあるご質問」と答え
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「家族滞在ビザ」で家族を日本に呼び寄せる流れは、どうなりますか?
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家族滞在ビザで、ご家族を海外から日本に呼び寄せるには
❶日本で「認定証明書」を取得
❷海外で「VISA(査証)」を取得
❸日本で入国するときに「家族滞在ビザ」の在留カードを取得
という流れになります。ご家族を海外から日本に呼び寄せる流れについては、以下の短時間の動画でも解説しています。
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「家族滞在ビザ」の審査にはどれくらい時間がかかる?
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「家族滞在ビザ」の審査期間については、以下のページで詳しく情報をまとめています。(※「福岡」を例にしていますが、審査期間の数字は全国平均です。)
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「家族滞在ビザ」で両親を日本に呼び寄せることもできますか?
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「家族滞在ビザ」で呼び寄せられる対象者の範囲は、扶養を受ける配偶者(夫または妻)、お子さんだけです。残念ながら、ご両親、ご兄弟姉妹などのご家族も家族滞在ビザで日本に呼び寄せることができません。ただし「短期滞在ビザ」であれば最長90日間、配偶者やお子さん以外のご家族を日本に呼び寄せることができます。また、どうしても中長期間で呼び寄せたい場合は、ご両親に限り、高齢で日本で扶養しなければならないなどの特別な理由がある場合には「特定活動ビザ(老親扶養)」というビザを取得できる可能性がありますが、許可される可能性は高いとはいえません。
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家族滞在ビザで働いても大丈夫ですか?
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資格外活動許可を取得すれば、アルバイト等で働いて収入を得ることは可能です(週28時間まで等の制限有り)。留学生も、本来、就労することができるビザではありませんが、資格外活動許可を取得してアルバイトをしている風景をよく見かけると思います。
資格外活動許可について
日本に在住(在留)している外国人の方で、資格外活動許可について知らない人はいないとは思いますが、実は細かいルールがあるため「知らないうちにルール違反してしまって、在留資格(ビザ)を更新・変更ができない可能性があった」と […]
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扶養者が「留学ビザ」の場合に必要なお金を用意する方法は?
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扶養者が「留学ビザ」で日本に滞在する外国人の方の場合でも、配偶者や子供を「家族滞在ビザ」で日本に呼び寄せることができますが、十分な扶養能力があることをしっかり証明することが必要になります。
「留学ビザ」の場合、資格外活動許可で許容される仕事は、週28時間以内のアルバイトなどだけで、それだけで十分な収入があるとは認められません。加えて、学校から奨学金をもらえる、両親から援助を受けられるなど、家族が増えても十分に生計を立てていくことができることを説明し、それを証明する必要があります。証明する書類として、学校が発行した奨学金受給証明書や両親からの海外送金明細書、収入と支出の説明書などが必要になります。
入国管理局さんでの審査も年々厳しくなっている傾向にあり、申請中に入国管理局からたくさんの追加資料の提出を求められてしまうことも増えてきました。扶養者が「留学ビザ」の場合は、しっかり対策を練って申請しましょう。
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留学生ビザで家族を呼ぶためには、実際どのくらいのお金があればよいのか?
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基準は正式に公表されていませんが、行政書士の経験上、今後1年間の生活費は必要、と考えられています。外国人の方個人が成果する地域や状況によりますが、金額にすると200万くらいでしょうか。
ご家族や親族の援助、銀行預金の残高、奨学金などの総額が1年分以上の生活費くらいになると説明し、それを証明する必要があります。生活費には、アルバイトの給与を合算しても良いと考えられています。さらに親や親族、知人から金銭的援助を受けられる場合は、その人との関係性、援助に至った経緯を説明し、さらに今後も継続して援助することが確実だと証明する必要があります。
お金の流れも重要ですので、友達など他人からお金を借りて銀行口座に入金して、残高証明書を提出しても、逆に不可解なお金と判断され、不許可になる可能性が高くなる場合もあります。
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海外送金について気をつけた方が良い、と聞きましたが
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留学生が家族滞在ビザ申請する場合で一番重要なことは生活費をどう証明するか、です。日本に入国してから定期的に本国のご両親などから仕送りが続いてきた場合は、今後も仕送りがあるだろう、と予想されますのでビザ申請が許可されすくなります。逆に、家族滞在ビザ申請の時期だけ仕送りが集中している場合は、定期的とはいえませんので注意が必要です。
本国からの仕送りは銀行の海外送金で受け取るのが無難です。近年、違法を疑われる両替業者が多いことは入国管理局さんも把握しています。銀行の海外送金であれば手数料などがかかりますが、合法的な記録が残るので安心です。
国によっては海外送金が高額になったり、そもそも国際送金そのものが難しい国もあります。対策として外国人の方がよく使う手段としては、手荷物として持ち込んだり、友人に持ってきてもらったりすると思います。その場合、必ず日本入国時に税関の申告書を記入してもらいましょう。
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留学生が、資格外活動許可の制限時間を超えてアルバイトをしてしまった場合?
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特に最近、資格外活動許可の制限時間である「週28時間」については、入国管理局さんで厳しく確認される、といわれています。制限時間を超えてしまっている場合は、ビザ更新をすることが難しくなってしまう場合も増えてきているようです。
家族滞在ビザの審査では、留学生が通う学校への出席状況や成績も審査の対象となります。またアルバイト状況などの資格外活動も審査の対象となります。28時間を超えてアルバイトしてしまうなど不法な就労をしてしまうと、家族滞在ビザが許可されない可能性が極めて高くなります。留学ビザそのものが取り消される可能性も否定できません。
家族滞在ビザのまとめ
結婚したばかりだけど配偶者と離れ離れで生活している、子どもが産まれたばかりだけどまだ一度も会っていないなど、外国人の方お一人おひとりに事情があり、家族と一緒に日本で生活を希望する方は多くいらっしゃいます。事前準備をしっかりと行い計画的に申請をしましょう。
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無料相談のお問合せ お気軽にお問い合わせください以下では、家族滞在ビザに関連する情報をまとめています。是非ご覧ください。
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河野尋志
かわのひろし
ビザ申請サポート福岡 外国人支援センター
国際行政書士 河野尋志 事務所 所長
著者プロフィール
企業の取締役として外国人の社員さんと一緒に国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。行政書士業務を始めてからは、様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:宮崎県出身、1976年生まれ、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)

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