特定技能ビザ

(執筆者:国際行政書士 河野尋志)

 特定技能ビザの特徴は「単純労働」を含む幅広い業務が可能という点。単純労働のみ行うことはできませんが、付随的にであれば可能なため、日本人と同じように業務に従事できます。
 例えば外食業分野であれば、調理もフロアでの接客もどちらも可能です。技能実習のように1つの作業区分しか対応してはいけない、といった制限はありません。制限がない理由は、「特定技能ビザ」は、人手不足が深刻な分野において、単純労働を含む労働力が不足していることから、特定技能制度が創設されたという背景があるためです。

特定技能ビザを取得するために制度を解説します

以下、順番に説明していきます。

特定技能ビザ」1号と2号の違い

 ご存知の外国人の方も多いと思いますが、「特定技能ビザ」の手続きは非常に複雑です。普通に考えて、外国人本人が「特定技能ビザ」の申請をすることは現実的ではなく、受入機関(外国人の方を雇用する事業主。普通は会社のこと)または登録支援機関(受入機関から委託を受けて外国人の方を支援する機関)のご担当者さんが担当するか、または我々のように行政書士にご依頼いただく場合がほとんどです。
 以下では、手続きの内容ではなく、外国人の方の目線で気になるであろう「特定技能ビザ」1号と2号の違いについて記載しています。

項目特定技能ビザ
1号
特定技能ビザ
2号
在留期間
(更新必要)
1年を超えない範囲3年、1年 、6月
最長在留期間最長でも5年実質無期限
求められる要件(学歴)学歴要件なし学歴要件なし
求められる要件(日本語能力)通常はN4以上、または
JFT-BasicでA2以上
基本はなし
(分野によってはある)
求められる要件(試験)●各分野・業務区分で定められた技能試験の合格
※「介護」分野では、日本語要件として介護日本語評価試験の合格も必要
●技能試験の合格
※分野によっては「班長としての一定の実務経験」「日本国内の企業で該当分野の実務経験3年以上」「管理職相当の実務経験を証明する書面の提出」「試験の申し込みは企業が行う」などの追加条件があり、「特定技能1号」で就労していなければ難しい分野もあり
試験会場国内外にある
※海外現地で試験が実施されていない場合は、短期滞在ビザなどで来日して受験することで要件を満たすことも可能
主に国内にある
ほかの在留資格からの変更できるできる
業務内容●各分野・業務区分で規定された業務限定(いわゆるブルーカラーの業務)
※同じ就労場所で働いている日本人が従事する業務に付随的に従事することは認められています
●各分野・業務区分で規定された業務限定(いわゆるブルーカラーの業務)
※同じ就労場所で働いている日本人が従事する業務に付随的に従事することは認められています
家族帯同(家族呼寄せ)●できない
※例外:もともと留学ビザなどで家族と日本に在留していた外国人の方が、特定技能ビザへ変更した場合などは引続き家族帯同が認められる
●できる
(原則、親は不可。配偶者及び子は可能)
転職●できる
※特定技能ビザで就労している機関と「同じ業種・職種」の機関への転職はできる。
※「別の業種・職種」に転職したい場合、特定技能ビザの技能試験に合格し技能要件を満たしていれば転職可能
※要件を満たしていれば、比較的短期間で転職することが可能
●できる
※特定技能ビザで就労している機関と「同じ業種・職種」の機関への転職はできる。
※「別の業種・職種」に転職したい場合、特定技能ビザの技能試験に合格し技能要件を満たしていれば転職可能
※要件を満たしていれば、比較的短期間で転職することが可能
永住ビザを取得するための「期間」の対象になるか●対象外
永住ビザ要件の「5年間は就労ビザまたは居住ビザで在留すること」の期間に該当しません。(「引き続き10年以上日本に住んでいること」の対象にはなります
●対象になる
永住ビザ要件の「5年間は就労ビザまたは居住ビザで在留すること」の対象期間に該当します。
他の就労ビザへ変更●できる可能性あり
【例1】
❶通信制の大学で学位を取得、またはN2以上合格
❷技能実習生への通訳業務で実務経験を積む
❶❷を満たせば技人国ビザの国際業務(通訳者)に変更できる可能性あり
【例2】
「介護」分野で就労中に「介護福祉士」の資格を取得することで「介護ビザ」への変更できる可能性あり
●できる可能性あり
【例1】
❶通信制の大学で学位を取得、またはN2以上合格
❷技能実習生への通訳業務で実務経験を積む
❶❷を満たせば技人国ビザの国際業務(通訳者)に変更できる可能性あり
【例2】
「介護」分野で就労中に「介護福祉士」の資格を取得することで「介護ビザ」への変更できる可能性あり
技能水準相当程度の知識又は経験を必要とする技能熟練した技能 (各分野の技能試験で確認)
外国人の方を支援する機関・団体●登録支援機関(2025年2月28日現在10,234件)
「支援計画の策定」が義務であるため、特定技能制度で定められた「外国人の方々」への支援業務を、「自社で支援を実施できない受入れ機関」の代わりに「外国人の方々」への支援業務をする機関
●登録支援機関(2025年2月28日現在10,234件)
「支援計画の策定」は義務ではない

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「特定技能ビザ」の在留外国人材数

 特定技能ビザには、上記の通り1号と2号の2種類があり、1号は16分野、2号は11分野となります。また4分野(自動車運送業、鉄道、林業、木材産業)の追加が2024年3月に新たに決定しましたが、受け入れ開始時期は未定です。

 入管(出入国在留管理局)さんでは、定期的(半年に1回)に特定技能在留外国人数を公表しています。以下の表は、令和7年(2025年)1月末時点の情報として公表されている特定技能ビザで在留している外国人の方々を集計したものです。また、合わせて「2024年4月から5年間の受入見込数」もリスト化しています。参考までにご覧ください。

情報出典:出入国在留管理庁 特定技能在留外国人数の公表等

特定技能ビザ 外国人数( 2024年12月末時点 速報)

分野・区分
(名政府管轄)
特定技能ビザ 1号
合計283,634人
特定技能ビザ 2号
合計1,047人
2024年4月から5年間の受入見込数
820,000人
残数
535,534
■介護
(厚生労働省)
44,367人受入れ対象外135,000人90,633人
■ビルクリーニング
(厚生労働省)
6,140人3人37,000人30,857人
■工業製品製造業
(経済産業省)
45,183人96人173,300人128,021人
 →機械金属加工区分3606785
 →電気電子機器組立て区分809411
 →金属表面処理区分10220
 →紙器・段ボール箱製造区分00
 →コンクリート製品製造区分00
 →RPF製造区分00
 →陶磁器製品製造区分00
 →印刷・製本区分00
 →紡織製品製造区分00
 →縫製区分00
■建設
(国土交通省)
38,365人213人80,000人41,422人
 →土木区分21784101
 →建築区分1418099
 →ライフライン・設備区分240113
■造船・舶用工業
(国土交通省)
9,665人74人36,000人26,261人
 →造船区分712464
 →舶用機械区分2245
 →舶用電気電子機器区分261
 溶接17694
 塗装3320
 鉄工1540
 仕上げ160
 機械加工110
 電気機器組立て90
■自動車整備
(国土交通省)
3,076人3人10,000人6,921人
■航空
(国土交通省)
1,382人0人4,400人3,018人
 →空港グランドハンドリング区分13690
 →航空機整備区分130
■宿泊
(観光庁)
671人4人23,000人22,325人
■自動車運送業
(国土交通省)
0人受入れ対象外24,500人24,500人
 →バス運転者区分0ーーー
 →タクシー運転者区分0ーーー
 →トラック運転者区分0ーーー
■鉄道
(国土交通省)
1人受入れ対象外3,800人3,799人
 →軌道整備区分0ーーー
 →電気設備整備区分0ーーー
 →車両整備区分0ーーー
 →車両製造区分1ーーー
 →運輸係員区分0ーーー
■農業
(農林水産省)
29,157人174人78,000人48,669人
 →耕種農業区分22887119
 →畜産農業区分627055
■漁業
(水産庁)
3,488人2人17,000人13,510人
 →漁業区分21272
 →養殖業区分13610
■飲食料品製造業
(農林水産省)
74,380人158人139,000人64,462人
■外食業
(農林水産省)
27,759人105人53,000人25,136人
■林業
(林野庁)
0人受入れ対象外1,000人1,000人
■木材産業
(林野庁)
0人受入れ対象外5,000人5,000人

※上記リスト内の「ーーー」は、「特定技能ビザ 2号」が認められていない分野・区分です。

行政書士
河野
(かわの)

2025年2月末時点の特定技能1号・2号の外国人材数の概要情報が公開されていましたので、以下に貼り付けます。

特定技能1号外国人材数は、2024年12月末から2025年2月までの2ヶ月間で約1万人増加しています。

上記の情報は、出入国在留管理庁公式ホームページ(以下)で公開されています。

https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html

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「特定技能ビザ」を取得するまでの流れ

 外国人の方が特定技能ビザを取得するまでの流れは、大きく分けて以下3パターンあります。

❶ 海外で試験を受けてビザを取得する場合
❷ 日本国内で試験を受けてビザを取得する場合
❸ 技能実習2号ビザから、特定技能ビザへ変更

それぞれご紹介致します。

❶海外で試験を受けてビザを取得する場合

海外で、各分野で行われる試験に合格

海外での試験は、べ卜ナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、力ンボジア、ネパール、モンゴル、スリラン力などで行われています。※あくまで試験実施国であり、受験者の国籍を限定するものではありません。
※分野によって試験開催国が限られており、全ての国で試験が行われているわけではありません。
※日本語能力試験(JLPT)のN4レベル、または、日本語基礎テスト(JFT_Basic)A2レベルの日本語も必要です。

STEP
1

雇用契約を締結

受入機関(外国人の方を雇用する事業主。普通は会社のこと)と雇用契約を締結します。

STEP
2

ビザ申請

入管(出入国在留管理局)さんへ、在留資格(ビザ)へ在留資格認定証明書交付申請を行う。

STEP
3

❷日本国内で試験を受けてビザを取得する場合

日本国内で、各分野で行われる試験に合格

※日本語能力試験(JLPT)のN4レベル、または、日本語基礎テスト(JFT_Basic)A2レベルの日本語も必要です。

STEP
1

雇用契約を締結

受入機関(外国人の方を雇用する事業主。普通は会社のこと)と雇用契約を締結します。

STEP
2

ビザ申請

入管(出入国在留管理局)さんへ、在留資格(ビザ)へ在留資格変更申請を行う。

STEP
3

技能実習2号ビザから、特定技能ビザへ変更

技能実習2号を良好に修了

技能実習2号を良好に修了した技能実習生が対象。
または既に帰国している元技能実習生も対象になります。

STEP
1

技能実習で学んだ分野との関係が必要

「技能実習ビザ(2号)を修了した産業分野・業務」と「特定技能ビザの分野」が関係している必要があります。

STEP
2

雇用契約を締結

受入機関(外国人の方を雇用する事業主。普通は会社のこと)と雇用契約を締結します。

STEP
3

ビザ申請

入国管理局へ在留資格の変更許可申請(既に帰国している元技能実習生の場合は在留資格の認定証明書交付申請)をします。

STEP
4

「特定技能ビザ」外国人材が就労するまでの流れ

行政書士
河野
(かわの)

出入国在留管理庁が「特定技能ビザ」外国人材が就労するまでの流れを1枚にまとめてくれています。かなり分かりにくいですが、参考までにご覧ください。

ご不明点あればお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料、オンライン面談にも対応しております。

繰り返しになりますが、人手不足が深刻な分野において特定技能ビザが設定されているため、今後、多くの外国人の方の受入れを予定しています。
また「特定技能ビザ」の手続きは非常に複雑なので、受入機関(外国人の方を雇用する事業主。普通は会社のこと)または登録支援機関(受入機関から委託を受けて外国人の方を支援する機関)のご担当者さんが担当するか、または我々のように行政書士にご依頼いただく場合がほとんどです。
 もしご不明点あれば、ビザ申請サポート福岡 外国人支援センター(国際行政書士 河野尋志)にお気軽にお尋ねください。

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以下では、特定技能ビザに関連する情報をまとめています。

https://solution-supporter.jp/category/specified-skilled-worker

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河野尋志

かわのひろし

ビザ申請サポート福岡 外国人支援センター
国際行政書士 河野尋志 事務所 所長

著者プロフィール

企業の取締役として外国人の社員さんと一緒に国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。行政書士業務を始めてからは、様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:宮崎県出身、1976年生まれ、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)

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