海外から子どもを呼び寄せるビザについてビザ専門の行政書士が解説

日本で生活している外国人の方にとって、海外にいるお子さん(子ども)を日本に呼び寄せることは非常に大切な問題です。しかしお子さんを呼び寄せるための認定証明書の手続きは簡単ではなく、書類が揃っていなかったり間違いがあると申請が不許可になる可能性があります。

行政書士
河野
(かわの)

この記事では、子どもを日本に呼び寄せるための手続きや在留資格の違いを解説します。

なお、子ども海外から日本へ呼び寄せる「認定証明書」の申請が不許可(不交付)になる割合は、2023年の全国平均で8.4%で、約10人に1人は不許可になってしまう、という計算になります。詳しくは、以下のページで解説しています。

私が主に対応している福岡出入国在留管理局管内(福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)でも、海外にいるお子さん(子ども)を日本に呼び寄せたいというご相談は多いです。10人に1人ならないためにも、慎重にビザ申請書類を揃えましょう。

もし不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料です。

子どもを外国から日本に呼び寄せるビザについて

子どもを日本に呼び寄せるための在留資格(ビザ)

子どもを日本に呼び寄せるためには、親(外国人の方)の在留資格(ビザ)が何であるか、また子どものビザは何を申請するべきか、を正確に把握する必要があります。以下の表を参考に、まずは自分と子どものビザを確認しましょう。

親の在留資格
または身分
呼び寄せる
子どもの在留資格
対象となる子ども子どもの対象年齢
【永住ビザ】
【特別永住者】
定住者ビザ・実子(未婚)
・養子
実子:18歳未満が現実的
養子:6歳未満
【配偶者ビザ】日本人の配偶者等ビザ
永住者の配偶者等ビザ
・実子(未婚)
・養子
実子:18歳未満が現実的
特別養子:6歳未満
【定住者】
【元日本人】
【日系人】
など
定住者ビザ・実子(未婚)
・養子
実子:18歳未満が現実的
養子:6歳未満
就労系ビザ
【技術・人文知識・国際業務】
【高度専門職】
【経営管理】
【特定活動】
【特定技能2号】
など
家族滞在ビザ実子・養子実子:18歳未満が現実的
養子:18歳未満
※認知されている子どもも可能性あり

子どもの年齢について注意が必要

日本では2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられました。このため、18歳以上(もっというと15歳以上)の子どもを外国から日本に呼び寄せる場合、場合によっては不許可になる可能性があります。

15歳以上の子どもを呼ぶ際の注意点

子どもが15歳以上の場合、日本の義務教育を受ける年齢(中学校卒業)を過ぎているため、「なぜ今、日本に呼ぶ必要があるのか?」と疑問を持たれる可能性があります。

特に18歳以上の子どもについては、以下のような疑問について入国管理局から答えを求められる場合があります:

  • 「なぜ今さら日本に来るのか?」
  • 「母国で高校を卒業してから留学で来る方が自然ではないか?」
  • 「日本語ができないのに、日本での教育に問題はないのか?」
行政書士
河野
(かわの)

これらの疑問に対しては、学習計画や進学予定、将来の教育方針などを文書で説明することが重要です。

20歳に近い年齢の場合は、さらに慎重に

子どもが18歳以上、特に20歳に近い年齢になると、「扶養を受ける子ども」ではなく、「働いてお金を稼ぐために日本に来るのではないか?」と入国管理局から疑われる可能性があります。

行政書士
河野
(かわの)

日本に住む目的があくまで家族としての扶養であることを強調し、働かせてお金を稼ぐことが目的でないことをしっかり説明する必要があります。

親と子の来日する時期がずれている場合のリスク

親が先に日本に来て、数年後に子どもを呼び寄せる場合にも注意が必要です。

  • 「なぜこれまで子どもは母国で他の人が育てていたのか?」
  • 「なぜ今になって、日本で一緒に生活することになったのか?」
行政書士
河野
(かわの)

家族の事情が変わった経緯や、今後の生活・教育計画などを丁寧に説明しないと、「家族滞在」の許可でない可能性があります。

将来的な「留学」への変更とそのリスク

来日した子どもが、日本の大学や専門学校に進学する場合、「留学ビザ」へ変更する必要があります。しかし、卒業後に就職が決まらず「就労ビザ」へ変更できなかった場合、「もととも持っていたビザ」に戻ることはできません。万が一の場合を考えて、計画的に進学やビザについて計画を立てておきましょう。

行政書士
河野
(かわの)

年齢が高くなるほど、就労目的と誤解されやすくなります。入国管理局の審査官は不法就労を疑うことが仕事なので仕方のないことです。

もし15歳以上のお子さんを日本に呼び寄せる場合は、「不法就労を疑われている」ということを認識し、不法就労ではないことを説明するために家族との関係や、教育を受ける計画を明確に示す申請資料を作ることが重要です。

もし不安があれば、行政書士など専門家に相談ください。弊所にもお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料、オンラインでも面談にも対応しています。

子どもを呼び寄せるためには収入が必要

以下は一般的に、目安だと考えられている年収の基準です。どの地域で生活するかによっても変わりますので、あくまで参考までにご覧ください。

親の在留資格
または身分
子どもの在留資格収入の目安
【永住者】
【特別永住者】
定住者ビザ最低240万円以上(親1人・子ども1人の場合)
最低300万円以上(親2人・子ども1人の場合)
【配偶者ビザ】日本人の配偶者等ビザ
永住者の配偶者等ビザ
最低240万円以上(親1人・子ども1人の場合)
最低300万円以上(親2人・子ども1人の場合)
【定住者】
【元日本人】
【日系人】
など
定住者ビザ最低240万円以上(親1人・子ども1人の場合)
最低300万円以上(親2人・子ども1人の場合)
就労系ビザ
【技術・人文知識・国際業務】
【経営管理】
【特定活動】
【特定技能2号】
など
家族滞在ビザ最低240万円以上(親1人・子ども1人の場合)
最低300万円以上(親2人・子ども1人の場合)

【収入の注意点】
直近の年収だけでなく、今後も安定的に収入が得られるかどうかも審査対象になります。また、親の職業は、正社員・契約社員などの安定した雇用形態が望ましいと考えられています。

【貯金があると有利】
子ども海外から呼び寄せる場合、収入が最も重要ですが、貯金や資産(不動産など)があることも有利になる可能性があります。詳しくは以下のページをご覧ください。

申請に必要な書類

認定証明書をもらうための手続き

子どもを海外から呼び寄せる場合、認定証明書の交付申請という手続きが必要になります。もちろん、外国語の書類は日本語に翻訳する必要もあります。ぜひ慎重に進めてください。申請書類については、出入国在留管理庁の公式ホームページから確認できます。どのビザでも以下の書類が必要になります。

  • ビザ申請書
  • 子どもとの親子関係を証明する母国の公式書類
  • 日本での収入や資産を証明する書類
  • 日本で年金・税金・保険料を支払っていることを証明する書類

などです。

行政書士
河野
(かわの)

もしご心配なことがあれば、弊所にお気軽にご相談ください。初回無料で在留資格(ビザ)申請の可能性を診断致します。

スケジュール管理も非常に重要

今まで私にご依頼いただいた外国人の皆さんから「スケジュール管理が大変だ」というお声をよく聞きます。

  • 母国の学校や保育園・幼稚園のスケジュール
  • 母国の親族の都合
  • 日本の学校や保育園・幼稚園のスケジュール、日本で学校に行くために勉強道具、制服など様々な準備
  • 日本の親(申請者である外国人の方)の仕事などの都合
  • 家族で住むためにはある程度広い部屋が必要なので、場合によっては引越しの準備、賃貸物件の契約
  • 家族で生活するための家具、電化製品の準備

など、考えることはたくさんあり、日本で様々な準備を整えるためには時間とお金がかかります。一旦子どもを呼び寄せると決めたら、スケジュール通りに進行しないと、親も子どもも大変な思いをすることになりかねません。

更に、もしも書類が不足していたり、間違いがあった場合は、申請後に入国管理局から追加提出や書類の修正が求められ、その分、余計な時間もかかります。

行政書士
河野
(かわの)

更に、もしも書類が不足していたり、間違いがあった場合は、申請後に入国管理局から追加提出や書類の修正が求められ、その分、余計な時間もかかります。

弊所にご依頼いただければ、スケジュールや日本側での準備についてもアドバイスさせていただいています。外国人のお客様と一緒に、賃貸物件を探した実績もあります。どうぞ、お気軽にご相談ください。

よくあるご質問と答え

在留資格(ビザ)申請にどれくらいの時間がかかりますか?

定住者ビザや・配偶者ビザ・家族滞在ビザは、他のビザと比べて入国管理局の審査に時間が必要で、長い場合は3ヶ月ほどかかります。また学校の入学前(2月から3月)にかけては、毎年、留学ビザから就労ビザの変更申請が増える時期で、更に時間がかかる可能性もあります。出入国在留管理庁が公開している情報では、2025年(令和7年)3月の審査処理期間は
・「定住者ビザ」の認定(外国からの呼び寄せ) 77.3日
・「家族滞在ビザ」の認定(外国からの呼び寄せ) 86.5日

となっています。

子どもを呼び寄せるための審査期間について詳しくは、以下のページで最新情報をご確認いただけます。

ビザを自分で申請することはできますか?

もちろんできます。手続きが複雑なので慎重に、スケジュール通りに進行してください。もしご自身で申請される場合は、出入国在留管理庁公式ホームページで必要書類などを確認できます。

行政書士
河野
(かわの)

行政書士など専門家にご依頼いただく場合は、許可される確率アップ、審査期間を短くできる、必要書類を無駄なくスムーズに揃えられる、という3つのメリットがあります。

どのような書類が必要ですか?

親子関係を証明する書類(出生証明書など)、扶養能力を示す書類(課税納税証明書など)が必要です。さらに、入国管理局に申請するための申請書や、何か事情がある場合には、事情を説明するための「理由書」があった方が良い場合もあります。書類を作成する際の注意点としては、書類は将来に渡って記録されるので、子どもの将来に影響しないよう、間違い内容に作成することです。家族滞在ビザの必要書類について詳しくは、以下のページで解説しています。

結婚していない外国人との間に生まれた日本人の子ども(実子)を外国から呼び寄せることはできますか?

日本人の親がそのお子さんを認知していれば(もしくは、これから認知すれば)、日本人の配偶者等ビザで呼び寄せることができます。配偶者ビザについて詳しくは以下の記事も参照ください。

妻(配偶者)の「成人している連れ子」を呼び寄せることはできますか?

お子さん(外国人の奥さんの連れ子)がすでに成人している(18歳以上の)場合は、親の扶養を受けると考えられないため、留学ビザや就労ビザで呼び寄せるしかない場合が多いです。もし、特別な事情があれば、許可される可能性もありますが、可能性は高いとは言えません。

私は外国に住んでいますが、配偶者ビザを取得して、私の未成年の連れ子と一緒に入国できますか?

結論、できます。外国人が配偶者ビザを取得し、合わせて、配偶者の未成年の連れ子もビザを取得し、一緒に入国できる可能性はあります。親だけではなく、子どもの書類も必要になりますので、慎重に書類を揃える必要があります。

定住者ビザで配偶者の連れ子を呼び寄せるための審査は、どんな内容ですか?

定住者ビザは、入国管理局(最終的には法務大臣)が日本に継続して住む(在留する)ことを認める特別な事情があると判断した場合に認められる在留資格(ビザ)なので、審査基準は公開されていません。行政書士の経験上、以下の内容だとされています。

  • 連れ子が外国人の実子
  • 連れ子が未成年
  • 連れ子が親の扶養を受けて生活している

子どもを日本に呼び寄せする場合は、日本に住む親が連れ子を扶養できる一定の収入や資産も必要になります。詳しくは、以下のページで解説しています。

呼び寄せたい連れ子の年齢は、未成年(18歳未満)であれば何歳でもよいですか?

連れ子が18歳、19歳であっても申請ができないということはありません。しかし、実務上、子どもが18歳以上は日本の成人年齢にあたるため「なぜ扶養しなければならないのか?」「なぜ今、日本に呼び寄せるのか?」といった質問の答えを求められる可能性があります。最悪の場合は不許可になります。

認定証明書が許可された後は、どうすればいいですか

認定証明書が許可された後は、家族が住む母国にある日本大使館・領事館でビザ(VISA、査証)発給の手続きをします。以下の短時間の動画でも解説しています、参考にされてください。

子どもを外国から日本に呼び寄せるビザ手続きまとめ

「子どもが産まれたばかりだけどまだ一度も会っていない」など、外国人の方お一人おひとりに事情があり、家族と一緒に日本で生活を心から願っている方は多くいらっしゃいます。ただ、子どもを呼び寄せるための在留資格(ビザ)の申請は手続きが複雑で、書類に不備や誤りがあると申請が許可されない可能性があります。事前準備をしっかりと行い計画的に申請をしましょう。

行政書士
河野
(かわの)

今回の解説は以上です。ビザ申請サポート福岡 外国人支援センター(国際行政書士 河野尋志)ではビザ申請を丁寧に!早く!手続き致します。ご不明点があればお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料! 福岡を中心に、九州、全国対応が可能で、オンライン(ZOOM、LINE、WeChat、Teamsなど)での面談も対応しております。

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国際行政書士
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投稿者プロフィール

国際行政書士 河野尋志
国際行政書士 河野尋志
外国人の社員さん達と一緒に企業の取締役として国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。行政書士業務を始めてからは様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)