永住者ビザ申請の交通違反の影響と対策について専門家の国際行政書士河野尋志が解説

永住権(永住者ビザ)を取得することは、多くの外国人の方にとって大きな目標です。永住者になると、日本での滞在が無期限になり、在留資格の更新を気にせずに安定した生活を送ることができます。しかし、永住申請には厳しい審査基準があり、その中でも特に重要なのが「素行が善良であること」です。中でも多くの外国人の方が気にしているのが「交通違反が永住申請に影響するのか?」という問題です。

  • たった1回の駐車違反でも影響があるのか?
  • 飲酒運転の前科があると、申請は不可能なのか?
  • もし過去に違反があった場合、どのように対策すればよいのか?

この記事では、交通違反が永住申請に与える影響と、その対策について解説します。交通違反歴がある人でも、正しく準備すれば永住権を取得することは可能です。ぜひ最後まで読んで、しっかりと対策をしていきましょう。

行政書士
河野
(かわの)

特に福岡出入国在留管理局内(福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)の永住権申請の許可率は、2024年(59.34%)、2023年(52.10%)、2022年(58.19%)、2021年(58.11%)と全国で最も低い数値なので不許可になるのは珍しいことではなく、だからこそ慎重に申請書類を作成する必要があります。九州・沖縄で永住権申請をお考えの方は、お気軽にご相談ください!

永住権で交通違反はどれくらい影響するのか、とその対策

永住権を取得するための基本条件

日本の永住権とは?

永住権(永住者ビザ)とは、日本で無期限に滞在できる在留資格のことです。永住者ビザ以外の在留資格は定期的な更新が必要ですが、永住者ビザを取得すれば更新の必要がなくなります。また、就労制限もなく、どのような職業にも自由に就くことが可能になります。

永住申請の主な条件

永住許可を取得するためには「出入国管理及び難民認定法」に基づき、以下の3つの主要な条件を満たす必要があります。

(1) 素行が善良であること

日本の法律を守り、犯罪歴がないことが求められます。一般的には、税金や社会保険料の未納がないかどうか、交通違反や軽犯罪の履歴がないかどうかも審査対象になります。つまり、交通違反も審査の重要なポイントになる可能性があるのです。

(2) 独立した生計を営んでいること

安定した収入があり、日本で生活するための経済力があることが求められます。具体的には、継続的に収入を得ているか、扶養されている場合はその扶養者の収入が十分であるかが審査されます。

(3) 日本の利益に合致すること

日本での滞在歴が10年以上(うち5年以上は就労ビザ)であることが一般的な基準です。ただし、特別高度人材ポイント制度を利用する場合や、配偶者ビザの場合には、必要な滞在期間が短縮されるケースもあります。(他にも様々ありますが、この記事では省きます)

上記の3つの条件のうち、「素行が善良であること」が交通違反と直接関係するため、次の章で詳しく解説します。

永住権を取得するための基本条件について詳しく知りたい方は、以下のページを参照ください。

交通違反は永住申請に影響するのか?

交通違反が審査対象になる理由

交通違反は法律違反の一種であり、軽微なものから重大なものまで幅広く存在します。日本の永住申請においては「素行が善良であること」が重要視されるため、交通違反が多いと審査に悪影響を与える可能性があります。
「素行が善良である」とは、簡単に言うと「日本の法律を守り、社会的に問題を起こしていない状態」のことです。したがって、交通違反が何回も繰り返されていたり、重大な違反を犯した場合は、「素行が善良ではない」と判断される可能性があり、永住権申請は不許可になります。

軽微な交通違反と重大な交通違反の違い

永住権申請では、違反の種類と回数が審査のポイントになります。

(1) 軽微な交通違反

軽微な交通違反は、1回程度なら大きな問題にはなりませんが、短期間で繰り返すと審査に確実に悪い影響があります。

【例】

  • 駐車違反
  • 軽度のスピード違反(10km/hオーバー程度)
  • 一時停止無視
  • 信号無視(軽度)
行政書士
河野
(かわの)

これらの違反が2〜3年に1~2回ある程度なら、大きな問題にはなりません。しかし、短期間に何度も繰り返し違反があると「法令遵守の意識が低い」と判断される可能性があります。

(2) 重大な交通違反

重大な交通違反を犯した場合、永住権が許可されない可能性が高くなります。特に以下の違反は審査に大きな影響を与える可能性があります。

【例】

  • 飲酒運転(酒気帯び・酒酔い運転)
  • 無免許運転
  • ひき逃げ(当て逃げ含む)
  • 速度超過(30km/h以上)
  • 危険運転致死傷
行政書士
河野
(かわの)

これらの違反は刑事罰の対象となるため、永住申請時に大きなマイナス評価を受けます。特に、飲酒運転や無免許運転は重大な違反とみなされ、許可が下りる可能性が非常に低くなります。

過去の違反がある場合の影響

 「過去に違反をしてしまったが、もう長い間違反をしていない」という場合、影響を最小限に抑えることが可能です。一般的に、違反歴が5年以上前のものであれば、審査に影響を与える可能性は低くなります。
 また、違反の程度によっては「過去に違反をしたが、現在はルールをしっかり守っている」ことを証明することで、許可される可能性が上がります。

行政書士
河野
(かわの)

そのため、違反歴がある場合は、慎重に、しっかりと対策を取ることが重要です。

また、交通違反だけでなく、他の刑罰で罰金や犯罪歴がある場合の永住権申請については、以下のページで解説しています。

永住申請前にやるべきこと

交通違反歴を確認する

永住申請前に、自分の交通違反歴をチェックしましょう。日本では、警察署で「運転記録証明書」を取得することで、過去の違反歴を確認することができます。申請の際にこの情報が必要になる場合もあるため、事前に準備しておきましょう。

行政書士
河野
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運転記録証明書は、詳しくは以下のリンクから確認できます。証明書はオンラインでも申請できるようです。(2025年5月現在)

自動車安全運転センター:運転経歴に係る証明書

できれば5年間、違反をしないようにする

通常の就労ビザから永住権申請する場合は、できれば5年間は無違反の状態を維持する ことが無難です。違反歴が古ければ古いほど、永住権の審査に与える影響は小さくなります。申請を急がない場合は、時間をかけて5年以上、無事故無違反の記録を作る方がかしこい選択です。

3. 罰金や反則金をしっかり納付する

もし過去に交通違反をして反則金や罰金を科された場合、これを支払っていないと、永住権申請時に大きな問題となり、不許可になります。特に未納の反則金があると「日本の法律を軽視している」とみなされ、永住権の審査で、確実にマイナス評価を受けます。そのため、違反をした場合は必ず速やかに支払い、証明書を保管しておくようにしましょう。

4. 反省の意を示し、誠実な態度を取る

もし過去に交通違反をしてしまった場合は、永住申請の際に「過去の違反を認識し、反省している」ことを示しましょう。例えば、申請時に提出する 理由書(陳述書) に以下のような内容を記載することで、気持ちを伝えることができます。

  • 過去の違反歴を正直に申告する
  • 現在は交通ルールを厳守していることを説明する
  • 同じ過ちを繰り返さないよう努力していることを示す

ただし、軽い交通違反(例:駐車違反1回程度)であれば、特に申告しなくても問題ないことが多いです。しかし、違反回数が多い場合や、過去に重大な違反をしてしまった場合は、理由書をしっかりと作成し、入国管理局さんに納得してもらえるような説明を行うことが重要です。理由書について詳しくは、以下のページで解説しています。

5. 申請を少し遅らせる

過去3年以内に重大な違反(飲酒運転・無免許運転・ひき逃げなど)がある場合、審査で不許可になる可能性が高いため、申請を延期するのも一つの方法です。一般的に、違反から 5年以上 経過すれば影響は大幅に軽減されるため、それまで無違反を維持したうえで申請するのが得策です。

もし交通違反がある場合、どうすればいい?

過去の違反履歴をできるだけクリアにする

永住権の申請では、交通違反歴の影響を最小限に抑えるために、以下の対策を行うことが有効です。

  • 直近5年間、無違反の状態を維持する
  • 反則金や罰金をすべて納付する
  • 交通違反が軽微なものであれば、理由書で反省の意を示す
  • 違反履歴が重大な場合は、一定期間を空けてから申請する
行政書士
河野
(かわの)

「運転記録証明書」は、過去の違反履歴を確認するのに役立ちます。申請前に自身の交通違反の状況を把握し、問題がないか確認することが重要です。

反則金の未納(支払っていない状態)がないか確認する

交通違反の罰金や反則金が未納のままでは、審査に大きな影響を与えます。未納があるかどうかは、最寄りの警察署や交通違反通告センターで確認することができます。万が一、未納が見つかった場合は、すぐに支払いを済ませ、領収書を保管しておくことをおすすめします。

必ず永住許可申請書に正直に書く

どこに書く?

永住許可申請書には、犯罪を理由とする処分を受けたことの有無を書く枠(上記画像参照)があります。その枠には、以下のような記載があります。

犯罪を理由とする処分を受けたことの有無 (日本国外におけるものを含む。)Criminal record (in Japan / overseas)

出典:永住許可申請

ここの枠に、過去の交通違反の履歴を書きましょう。

何年前までの交通違反の履歴を書く?

結論、全て書きましょう。期間の制限はありません。

Q24申請書(在留期間更新許可申請、在留資格変更許可申請、在留資格認定証明書交付申請等)に犯罪歴を記入する欄がありますが、過去何年前のものまで記入する必要がありますか。
答え:過去何年前までという限定はありませんので、日本国内・国外を問わず、犯罪を理由として処分を受けたことがある場合は、全て記載してください。

引用:出入国審査・在留審査Q&A

何を書けば良い?

重い交通違反(赤切符)はもちろん、比較的軽い交通違反(青キップ)でも反則金を支払ったものは全て書きましょう。

永住申請の交通違反についてビザ専門の行政書士が解説
切符の色違反行為の代表例
白切符(軽い)●シートベルト装着義務違反
●チャイルドシート使用義務違反
●乗車用ヘルメット着用義務違反
青切符(比較的、軽い)
反則金あり
高速道での40km未満、一般道での30km未満の速度超過
運転中の携帯電話の使用
信号無視
通行禁止違反
追い越し禁止違反
駐停車違反
運転免許証不携帯
赤切符(比較的、重い)
刑事罰、免許取り消しまたは免許停止になる
危険運転致死傷罪に該当する行為
酒酔い運転、酒気帯び運転
救護義務違反
無免許運転
など
行政書士
河野
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もし「赤切符」の場合は、事故のときから永住権申請するまで一定期間(5〜10年)をあけることをおすすめします。

永住権の申請前に行政書士や専門家に相談する

もし過去に重大な違反があった場合や、違反歴が多くて心配な場合は、専門家に相談するのもおすすめです。専門家に相談することで、適切な対策を立てることができ、不安を解消できます。

行政書士
河野
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お気軽にご相談ください、初回ご相談は無料です

安全運転が永住権を獲得するための近道!

日本での永住申請では、「素行が善良であること」が重要な審査基準の一つです。交通違反が多いと「素行が善良ではない」と判断される可能性があるため、できるだけクリーンな運転記録を維持することが大切です。

永住申請前にやるべきこと

✔ 交通違反歴を確認する(運転記録証明書を取得する)
✔ 5年間違反をしないようにする
✔ 罰金や反則金をしっかり納付する
✔ 必要に応じて専門家に相談する
✔ 申請を急がず、適切なタイミングを見極める

行政書士
河野
(かわの)

特に、飲酒運転や無免許運転などの重大な違反がある場合は、一定の期間を空けてから申請することをおすすめします。反則金の未納があると審査に大きく影響するため、必ず確認しておきましょう。

よくあるご質問と答え

軽い交通違反でも永住申請に影響する?

1回程度の軽微な違反(駐車違反や軽度のスピード違反)であれば、基本的に問題ありません。しかし、短期間に複数回違反している場合は「法令遵守の意識が低い」とみなされる可能性があるため注意が必要です。

交通違反歴がある場合、どうすればいい?

まずは「運転記録証明書」を取得し、自分の違反履歴を確認しましょう。違反が多い場合は、申請を少し延期し、無違反の期間を作るのが有効です。また、反則金の未納がないか確認し、必要であれば支払いを済ませておきましょう。

重大な違反(飲酒運転など)がある場合、永住申請は不可能?

重大な違反があると永住許可は厳しくなりますが、違反から5年以上経過し、その後は無違反を維持している場合は許可の可能性もあります。

また、重い罰金を受けたり、重い罪を犯してしまった場合は、永住申請をする前に、今あるビザが不許可になる可能性があります、詳しくは、以下のページで解説しています。十分に注意して生活しましょう。

永住申請を行政書士に依頼するメリットは?

行政書士に依頼すると、必要な書類の準備や、過去の違反歴が審査にどう影響するかの判断をサポートしてもらえます。特に違反歴がある場合は、適切な理由書の作成や対策を講じることで、許可の可能性を高めることができます。

行政書士
河野
(かわの)

特に福岡出入国在留管理局(福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)で永住申請をおこまりの場合は、地元に事務所がある私にご相談ください。私にご依頼いただいた場合の永住申請の流れは以下のページでご説明しています。

どうぞお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料です!

永住申請をスムーズに進めるために

永住者ビザを取得するには、事前の準備が重要です。特に交通違反歴がある場合、しっかりと対策を取ることで、スムーズに申請を進めることができます。
もし申請に不安がある場合は、入管業務に詳しい行政書士に相談するのも良い方法です。専門家のサポートを受けながら、確実に永住許可を取得できるよう準備を進めましょう。

国際行政書士
河野(かわの)

今回の解説は以上です。弊所ではビザ申請を丁寧に!早く!手続き致します。ご不明点があればお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料! 福岡を中心に、九州、全国対応が可能で、オンライン(ZOOM、LINE、WeChat、Teamsなど)での面談も対応しております。

永住権許可申請の専門家国際行政書士河野尋志

以下では、「永住ビザ」に関連する情報をまとめています。是非ご覧ください。

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投稿者プロフィール

国際行政書士 河野尋志
国際行政書士 河野尋志
外国人の社員さん達と一緒に企業の取締役として国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。行政書士業務を始めてからは様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)