
このブログで分かること
この記事では、帰化申請と永住ビザ(永住許可)申請における「年収の基準」について、以下の点を詳しく解説します。
- 帰化申請・永住ビザ申請の制度概要と違い
- それぞれの年収基準と評価される年数
- 実際に求められる書類と審査のポイント
- よくある質問(FAQ)への回答
- どちらを選ぶべきかの判断ポイント
帰化や永住申請を検討中の外国人の方にとって、制度の違いや年収基準の理解は極めて重要です。ぜひ参考にしてください。

河野
(かわの)
九州・沖縄エリアでの帰化申請や永住ビザ申請でお困りの際は、福岡法務局など福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄エリアを専門とする私にご相談ください。初回ご相談は無料、オンライン面談にも対応しています。
- . 帰化申請と永住ビザ申請の「年収の基準」を比べてみました!
- 1. 帰化申請における年収の基準とは?
- 1.1. 帰化における「生計要件」とは
- 1.2. 「年収300万円以上」は実務上の運用基準
- 1.3. 「何年間」継続が必要か?
- 1.4. 年収以外にも見られる「安定性の要素」
- 1.5. 書類での証明が必須
- 1.6. 不安がある場合は専門家へ相談を
- 2. 永住ビザ申請における年収の基準とは?
- 2.1. 永住ビザ申請における「生計要件」とは?
- 2.2. 「年収300万円以上」はあくまで実務上の基準
- 2.3. 収入の継続年数:評価対象は最大5年間
- 2.4. ガイドラインに基づく詳細基準
- 2.5. 提出書類と評価ポイント
- 2.6. 永住ビザ申請における収入以外の安定性要素
- 2.7. 専門家によるサポートの必要性
- 3. 年収基準を表で比較!帰化申請と永住ビザ申請の違いとは?
- 3.1. 帰化と永住の年収要件 比較表
- 3.2. 解説ポイント①:「評価される年数」が異なる
- 3.3. 解説ポイント②:扶養家族が多い場合の扱い
- 3.4. 解説ポイント③:収入の「安定性と合法性」も審査対象
- 3.5. 解説ポイント④:書類の準備量と精度
- 4. FAQ(よくある質問)
- 5. まとめ:どちらの申請にも計画的な準備が必要
帰化申請と永住ビザ申請の「年収の基準」を比べてみました!
帰化申請における年収の基準とは?
帰化における「生計要件」とは
帰化申請では、国籍法第5条第1項第4号において「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること」が要件とされています。これを「生計要件」と言います。
つまり、「今後も日本で安定的に生活を営める見込みがあるか」が重要です。年収は、その証明において最も分かりやすく、かつ厳しく評価される内容の一つです。
「年収300万円以上」は実務上の運用基準
法令上、「年収300万円以上」とは明記されていませんが、実務上の目安として考えられている基準です。これは、単身者で日本で自立して生活できると評価される最低水準とされ、以下のような背景があります。
- 法務局では申請者が「生活保護を受ける可能性がないか」「家族を扶養できるか」といった観点で審査を行います
- 一般的な生活費、家賃、社会保険料などを含めた基礎的な生活支出を賄えるかを判断されるため、目安として300万円が基準になります
年収300万円以上という基準は、全国にある法務局で同じ基準で運用されている、という情報もありますが、年収は多いに越したことはないのは間違いありません。また、家族構成によって求められる収入のハードルは上がります。例えば、配偶者と子どもがいる場合は、世帯として450万円~600万円程度の年収が求められる場合もあります。
「何年間」継続が必要か?
申請直前の1年間に300万円以上あれば良いというわけではありません。重要なのは「継続的な安定収入」です。
実務上、以下のような運用が見られます:
- 通常は、2~3年間、安定して300万円以上の年収があると良い
- この期間に転職が多かったり、勤務期間が短かったりすると不利になる可能性あり
- 自営業者の場合は確定申告書(控え)で3年間分を確認されることが多い
法務局の面接で「この収入は今後も続きますか?」という趣旨の質問をされる場合も予想されます。したがって、「継続性」と「将来性」の両方を示せることが大切です。
年収以外にも見られる「安定性の要素」
収入の多い、少ない、だけでなく、以下の点も評価対象となります。
評価ポイント | 審査での見られ方 |
---|---|
勤務先の規模や安定性 | 上場企業・正社員などは有利 |
在職期間 | 同じ職場での勤務が長い方が有利 |
納税状況 | 所得税・住民税の滞納は大きなマイナス |
社会保険加入 | 健康保険や年金の加入は必須と考えるべき |
扶養家族の有無 | 家族が多いと、より高い年収が求められる |
書類での証明が必須
収入を証明するために、以下の書類が必要になります。
書類名 | 提出のポイント |
---|---|
源泉徴収票(3年分) | 勤務先から発行される |
課税・納税証明書(市区町村) | 所得と納税状況が分かる |
在職証明書 | 勤務期間や雇用形態の確認 |
給与明細書 | 月ごとの収入を示す証拠として求められる場合あり |
不安がある場合は専門家へ相談を
収入に波がある方や、家族が多い方、自営業の方は判断が難しい場合もあります。法務局では、収入状況に応じて個別に厳格なチェックが入ることもあるため、事前に専門家によるチェックが有効です。
行政書士である私は、状況に応じて「収入の補足説明資料」や「扶養構成の影響を補正する書類」の作成なども可能です。

河野
(かわの)
このように、帰化申請では「年収300万円以上」はあくまでも目安に過ぎず、実際にはその継続性、納税状況、家族構成など多くの要素を含めて総合的に判断されます。
ご不明点があればお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料!オンラインでの面談にも対応しております。
永住ビザ申請における年収の基準とは?
永住ビザ申請における「生計要件」とは?
永住ビザ申請の審査において最も重視される要件の一つが、「独立した生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」です(入管法第22条第2項第2号)。これは「独立生計要件」と呼ばれています。
つまり、将来にわたって公共の負担になることなく、日本で安定的に生活できることが条件となります。
「年収300万円以上」はあくまで実務上の基準
法律には明確な金額が定められていませんが、入管実務においては年収300万円以上が一つの目安とされており、特に以下のような観点で判断されます。
- 単身者の場合: 300万円前後で安定していれば許可の可能性が高い
- 扶養家族がいる場合: 1人増えるごとに約70〜100万円の上積みがいる、と考えられている
- 自営業者の場合: 利益ベースで300万円以上が安定して継続していることが求められる
また、総所得だけでなく、「手取り額が生活を支えるに十分かどうか」も実質的に評価される、と考えるのが現実的です。
収入の継続年数:評価対象は最大5年間
年収の評価に関しては以下のような運用が実務的に行われています:
項目 | 内容 |
---|---|
評価対象年数 | 通常は、5年間分が評価対象 |
実務的な目安 | 最低でも3〜5年間、継続して安定収入があると有利 |
特に重要な点 | 収入の安定性、納税の遅延・未納の有無 |
短期間での収入変動や、税金・年金・健康保険料の未納や分割納付などがあると、マイナス評価となることがあります。
ガイドラインに基づく詳細基準
法務省が公表している「永住許可に関するガイドライン」(令和6年改訂)では以下のように明記されています:
- 公的義務(納税、公的年金、公的医療保険の納付)が適正に履行されていること
- 当初の納税期限までに支払いを完了していない場合は原則として「消極的評価」
- 就労資格または居住資格で5年以上の在留があること(特例あり)
出典:出入国在留管理庁公式ホームページ
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html
このため、「年収が足りている」だけでなく、「支払いのタイミング」「履歴の一貫性」も評価されます。
提出書類と評価ポイント
書類名 | ポイント |
---|---|
所得証明書(市区町村) | 原則5年分。自営業者は確定申告書も必要 |
納税証明書 | 過去5年間分の実績をチェックされる |
在職証明書 | 安定的な就労先に勤務していることが有利 |
健康保険・年金の納付記録 | 公的義務の履行を示す書類として重視 |
また、パートタイム勤務やアルバイトのみの場合、生活の安定性が評価されにくいため注意が必要です。
永住ビザ申請における収入以外の安定性要素
年収だけでなく、以下の点も審査の対象となります。
審査項目 | 評価ポイント |
---|---|
在留期間 | 原則10年以上の在留歴(就労資格で5年以上) |
在留資格 | 最長の在留期間(3年、または5年)が許可されていること |
素行要件 | 交通違反や罰金歴があると不利に |
公的義務 | 税金・年金・健康保険料の支払実績 |
専門家によるサポートの必要性
永住ビザ申請においても、収入に関する判断は審査官の裁量に左右される部分があります。特に次のような方は、専門家に相談することを強くおすすめします:
- 自営業で収入が不安定な方
- 家族が多く、年収の基準に不安がある方
- 分割して納税いる方や、過去に未納履歴がある方
私は行政書士として、実情に即したアドバイス・書類作成が可能です。年収に関する補足資料の作成、生活設計の説明書類なども柔軟に対応いたします。

河野
(かわの)
このように、永住ビザ申請における年収の基準は「金額」はもちろんですが、加えて「安定性」と「公的義務の履行状況」が重視される傾向にあります。
ご不明点があればお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料!オンラインでの面談にも対応しております。
永住ビザ申請における収入の重要性については、以下のページでも解説しています。
年収基準を表で比較!帰化申請と永住ビザ申請の違いとは?
帰化申請と永住ビザ申請は、どちらも「安定した生活基盤があるかどうか」を確認される手続きですが、審査される観点や厳しさには微妙な違いがあります。以下の比較表をご覧ください。
帰化と永住の年収要件 比較表
項目 | 帰化申請 | 永住ビザ申請 |
---|---|---|
年収の目安 | 300万円以上(単身者) | 300万円以上(単身者) |
評価される年数 | 原則2〜3年の安定継続が望ましい | 原則5年 |
扶養家族の影響 | 家族が多いほど高収入が必要。収入で補えないと不許可の可能性あり | 帰化と同様に影響あり。納税義務・保険料納付義務も併せて評価される |
収入形態 | 給与・役員報酬・事業所得等。安定していればOK | 帰化と同様に影響あり。ただし公的義務履行の厳格な確認あり |
書類審査 | 源泉徴収票・課税証明・在職証明等 | 所得証明・納税証明・年金保険料証明等 |
判断基準 | 就労の安定性や生活設計の将来性も重視 | 安定性に加えて法令順守、納税履歴も厳しく評価 |
結果の影響 | 日本国籍を取得する(国籍変更) | 日本国籍は保持せず、無期限の在留資格を取得する |
解説ポイント①:「評価される年数」が異なる
帰化申請では、「2〜3年間は安定して生活してきた実績」が重視されます。これは、日本国籍を付与するという重大な決定であるため、生活の継続性が重要視されているためです。
一方、永住ビザ申請では、審査においては過去5年分の納税記録も確認されます。そのため、年収300万円以上を5年間継続できていること、が基準だと考えられています。長期的な収入安定性と公的義務の履行状況がトータルで見られます。
解説ポイント②:扶養家族が多い場合の扱い
例えば、配偶者と子2人を扶養している場合、単身者と同じ年収(300万円)では審査で不利になります。一般的には、扶養1人につき70〜100万円程度の年収が追加で必要とされるため、
- 夫婦2人世帯:目安400万円
- 子ども2人を含む4人世帯:目安500〜600万円
程度の収入が望ましいとされます。特に帰化申請では、扶養家族の人数と生活費のバランスが厳しくチェックされます。
解説ポイント③:収入の「安定性と合法性」も審査対象
単に年収が高いだけでは不十分です。以下のような場合には不許可のリスクがあります。
- フリーランスで年によって収入に大きな変動がある
- 在職期間が短く、直近の職場の収入が評価できない
- 所得はあるが税金を滞納していた
- 国民健康保険や年金保険料を支払っていない、または分割で支払い中
特に永住ビザ申請では、過去5年間の納税状況や年金納付の履歴まで評価対象となるため、単年の収入での一発勝負はできません。
解説ポイント④:書類の準備量と精度
帰化申請は「日本人になる」ための手続きなので、求められる書類も多く、内容も厳密です。一方、永住ビザ申請も年々厳格化しています。
【帰化申請の主な収入関連書類】
- 源泉徴収票(過去3年分)
- 在職証明書
- 課税・納税証明書
- 給与明細(必要に応じて)
【永住ビザ申請の主な収入関連書類】
- 納税証明書(5年分)
- 年金・保険料納付状況証明

河野
(かわの)
このように、帰化と永住は一見似ているようで、年収の評価方法や審査姿勢には、やや違いがあります。申請者ごとに最適な戦略は異なるため、迷ったら早めに専門家へ相談するのが成功への近道です。
ご不明点があればお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料!オンラインでの面談にも対応しております。
FAQ(よくある質問)
-
年収が300万円に満たない年があっても申請できますか?
-
申請は可能ですが、不利になる可能性があります。特に扶養家族が多い場合、生活の安定性が疑われることがあります。ただし、他の親族が高収入で家計を支えている場合や、「資産」がある場合は補足資料の提出で対応できることがあります。専門家に相談することで対策が可能です。
永住ビザ申請で貯金がどのように影響するかについては、以下のページで解説しています。
-
アルバイトやパートでも申請できますか?
-
雇用形態に関係なく「安定した収入」と「納税」があれば申請自体は可能です。ただし、アルバイトやパートは収入の変動が大きい場合は、審査で不利になることがあります。帰化申請でも永住ビザ申請でも、フルタイムでの就労や正社員歴が評価されやすいため、状況に応じた説明が必要です。
-
自営業でも帰化や永住の申請はできますか?
-
もちろん可能です。ただし、自営業者は「確定申告書の控え」「収支内訳書」などの提出が必要となります。また、売上の変動が大きい場合は、数年間の平均や将来見込みを説明する補足資料が効果的です。
-
収入はあるのに納税が遅れていたらどうなりますか?
-
納税の遅れ、または未納は、特に永住ビザ申請において厳しく見られます。原則として、納税義務のある税金を「期限内に支払っていない」場合は、消極的に評価されると明記されています。申請前に納付を済ませ、説明書類を用意する必要があります。
-
年金保険料や健康保険料の未納は影響しますか?
-
影響します。年金や健康保険は「公的義務」として厳しく評価される項目です。特に永住ビザ申請では、5年間の保険料納付状況をチェックされるため、未納や滞納がある場合は、その理由と今後の対策を求められる可能性があります。
未納や滞納について詳しくは、以下のページで解説しています。
-
家族に扶養されている場合、自分に収入がなくても申請できますか?
-
可能です。例えば配偶者が十分な収入を得ており、申請者と生計を一にしている場合は、配偶者の収入で生計要件を満たすことができます。ただし、収入証明書・扶養関係を示す書類が必要になります。
配偶者ビザや家族滞在ビザから永住ビザ申請する場合については、以下のページで解説しています。
-
留学や技能実習から就労ビザに変更してすぐに申請できますか?
-
原則として就労資格(例えば技術・人文知識・国際業務など)で「5年以上の在留実績」が必要です(永住ビザ申請)。帰化申請では日本での在住期間の要件(原則5年)と安定収入が求められます。
帰化申請や永住ビザ申請の「年数」について詳しくは、以下のページで解説しています。
-
福岡法務局では他地域と比べて審査が厳しいのですか?
-
地域ごとに審査基準が大きく異なるわけではありませんが、弊所では、福岡法務局の地域特性に応じた最適な書類作成と対応が可能です。
福岡で帰化・永住ビザ申請をご検討の方は、弊所にお任せください。
行政書士として、以下のメリットを提供いたします:
- 個別の状況に応じた最適な申請プランの提案
- 書類の準備から法務局とのやりとりまで一括対応
- 最新の実務動向を把握し、申請成功率を高めます
-
生活保護を受けていると申請できませんか?
-
原則として、生活保護受給者は「独立して生計を営むことができない」と判断され、帰化・永住ともに不許可になる可能性が極めて高いです。申請前に生活保護を脱し、一定期間の安定収入を確保することが必要です。
まとめ:どちらの申請にも計画的な準備が必要
帰化申請と永住ビザ申請は、いずれも年収300万円以上を基準としつつ、その「安定性」と「継続年数」の評価に違いがあります。
- 国籍変更を希望する方は帰化申請を
- 母国の国籍を維持したい方は永住ビザ申請を
それぞれの目的と条件に合った選択が必要です。
福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄での申請に不安のある方は、弊所までご連絡ください。

河野
(かわの)
どうぞ、お気軽にご相談ください。初回ご相談は無料!オンラインでの面談にも対応しております。
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投稿者プロフィール

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外国人の社員さん達と一緒に企業の取締役として国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。行政書士業務を始めてからは様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)