帰化や永住ビザ専門の行政書士が解説

はじめに:この記事でわかること

「日本人と結婚しているし、これからも安心して日本にずっと住み続けたい」そうお考えの外国人配偶者の皆さんは、「帰化申請」と「永住申請」のどちらが自分に合っているのか迷っている方も多いのではないでしょうか?

この記事では、次のような疑問を解消できます。

  • 帰化申請と永住申請、それぞれの定義と違い
  • 「日本人の配偶者」が帰化または永住を申請をする際の共通点と違い
  • 自分に合った選択肢を選ぶための判断基準
  • 法務局での手続きポイント
  • よくある質問とその回答
  • 行政書士に依頼するメリット
行政書士
河野
(かわの)

九州・沖縄エリアでの帰化申請や永住ビザ申請でお困りの際は、福岡法務局など福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄エリアを専門とする私にご相談ください。

目次

外国人配偶者が「帰化申請」または「永住申請」するときの共通点と違い

帰化と永住の違いとは?

帰化申請とは?

日本国籍を取得する制度

帰化申請とは、外国籍の方が法務大臣の許可を受けて日本国籍を取得する手続きです。日本人と婚姻している外国人は「簡易帰化」の対象となり、通常の「普通帰化」よりも条件が緩和されます。

帰化申請の一般的な要件について詳しくは、以下のページもご覧ください。

帰化

(更新者:国際行政書士 河野尋志) このページでは、「帰化」のメリットや永住ビザとの違い、帰化の要件や申請の流れを解説することで、帰化申請の概要を把握していただ…

永住申請とは?

外国籍のまま日本に無期限で滞在できる資格

永住申請は、一定の在留歴と安定した生活実態がある外国人に対して、在留期間や活動制限のない「永住者」の在留資格を付与する制度です。国籍は変わらず母国のままです。配偶者ビザから永住申請の詳細については、以下のページで解説しています。

配偶者ビザから永住権申請 2025年最新版|条件・審査・注意点を福岡の行政書士が解説

日本人や永住者と結婚して日本で生活している外国人の方が、配偶者ビザから永住権(永住ビザ)を取得する方法について解説します。併せて、福岡入国管理局の許可率のデー…

共通点:日本人の配偶者が対象となること

「日本人の配偶者」としての法的立場

帰化申請と永住申請のいずれにおいても、「日本人と結婚している」という法的な身分関係があることが大前提です。これは、婚姻関係が日本社会との密接な結びつきを象徴するものであり、両制度において優遇措置が設けられているからです。

  • 帰化申請の場合、「簡易帰化(国籍法7条)」の対象となり、通常の「普通帰化」と比べて要件が一部緩和されます。簡単に書くと、日本に住んで3年以上であれば、日本人と結婚してすぐに帰化申請できます。例えば、留学生であっても3年以上日本に住んでいて日本人と結婚すれば帰化申請できます。(※帰化が許可されるかどうかは、他の様々な要件を審査された結果によります。)
  • 永住申請では、「日本人の配偶者」であることにより、原則10年の在留要件が「実体ある婚姻生活が3年以上、かつ1年以上日本に在留」で足りるという特例が適用されます。簡単に書くと、結婚して3年、日本に住んで1年であれば永住申請できます。

生活の実態が重視される

帰化でも永住でも、形式的な婚姻関係だけではなく、「実体のある夫婦生活」が送られているかが大前提となり、以下のような要素が審査対象になります。

  • 同居の有無
  • 生活費などの共有
  • 家族としての協力関係
  • 日常生活での実態

この点においても、帰化申請・永住申請ともに、「日本人との結婚」は単なるスタート地点にすぎず、その後の生活の安定性が判断材料となります。

婚姻期間が影響する審査要件

婚姻期間が短い場合、審査が厳しくなる傾向にあります。特に以下の点で注意が必要です。

  • 帰化申請では、簡易帰化の対象者であっても、婚姻後すぐの申請では「真正な帰化意思」が疑われることがあります。
  • 永住申請では、婚姻後すぐに申請すると不許可になります。最低でも1年以上の実体的な婚姻生活が求められます。

配偶者との関係性が審査全体に影響

帰化申請でも永住申請でも、配偶者との関係性は、生活の安定性や日本社会への適応度を測る重要な指標です。帰化申請で必ず行われる法務局による面接では、次のような質問がされることがあります。

  • 出会いの経緯
  • 普段の会話内容(使用言語など)
  • 家事の分担
  • 相手の家族との関係

これらを通じて、「偽装結婚」ではなく、本物の結婚生活であることを証明する必要があります。

行政書士
河野
(かわの)

このように、「日本人の配偶者」であることは、帰化・永住のどちらでも制度的に優遇されていますが、その実態をしっかりと証明することが求められます。この記事を読まれている方が、どちらの道を選ぶにせよ、この共通点の理解は極めて重要です。

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相違点:どちらを選ぶかで生活も変わる!

簡易帰化(日本人の配偶者→帰化)」と「永住申請(在留資格の変更)」は、どちらも日本で安定的に生活できるようになりますが、選択によって将来的な生活の自由度、権利、義務、身分に大きな違いが生じます。それぞれの違いを一つずつ見ていきましょう。

国籍の有無

項目簡易帰化申請永住申請
国籍日本国籍を取得(母国の国籍は喪失)外国籍のまま
多国籍の可否認められない母国の国籍保持可能

帰化した場合は、日本国籍となり外国籍を失います。これにより、戸籍が作成される、参政権が得られるなどの権利を享受できる反面、母国の国籍を手放すという大きな決断が必要になります。

法的権利・義務の違い

項目簡易帰化申請永住申請
参政権選挙権・被選挙権ありなし
公務員への就職国家公務員・地方公務員になれる一部地域を除き原則不可
義務日本の義務が適用母国の義務が継続する可能性あり

帰化することで、日本の一員としてあらゆる政治的権利を得ることができ、公務員就職などの職業選択の幅も広がります。一方、永住者にはこうした権利の拡大はありません。

在留資格の管理

項目簡易帰化申請永住申請
在留資格更新不要不要(ただし7年ごとに在留カードの更新あり)
退去強制の可能性なし条件によってはあり(有罪判決など)

帰化後は日本国民となるため、退去強制の対象にはなりませんが、永住者は依然として外国人であり、重大な法令違反があれば退去強制の対象になります。

手続き・審査の厳しさ

項目簡易帰化申請永住申請
審査官庁福岡法務局などの地方法務局地方出入国在留管理局
審査内容帰化意思、日本語力、同化度、納税状況等素行、納税状況、生活基盤の安定性
所要期間約1年〜1年半約6か月〜1年

帰化申請は、単なる在留資格変更ではなく「国籍の変更」であるため、審査が非常に厳しく、特に日本語能力や社会的な適応度まで細かく見られます。一方、永住申請は、申請までにしっかりした生活ができていれば比較的スムーズです。

帰化申請と永住申請の条件の違いについては、以下のページで解説しています。

帰化申請と永住申請の条件、どっちが厳しい?|福岡の行政書士が解説

(ご相談無料)日本で長く暮らすなら「永住」と「帰化」、どちらを選ぶべき?共通する審査要件の共通点と違いを行政書士がわかりやすく解説

生活設計に与える影響

帰化を選べば、日本に完全に根を下ろして生活することになります。長期的に日本に住みたい、家族も一緒に同じ国籍で暮らしたいという方には向いています。

永住を選ぶ場合は、母国とのつながりを保ちつつ、ある程度日本に安定して住みたいという方に適しています。ビジネス上の事情や帰国の可能性がある場合は、永住の方が柔軟です。

行政書士
河野
(かわの)

このように、帰化と永住は目的も結果も異なるため、ご自身の生活スタイルや価値観に応じて慎重に選ぶことが必要です。

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どちらを選ぶべき?判断のヒント

「帰化申請」と「永住申請」は、いずれも日本で長期的に安定した生活を目指す外国人にとって有力な選択肢です。しかし、どちらが適しているかは、本人の将来設計や価値観、生活環境によって大きく異なります。以下では、判断のための具体的な視点を提示します。

ケース①:帰化申請が向いている人

日本での定住を最終目標にしている

日本に永住する覚悟がある方、将来的に母国に帰る予定がない方は、帰化によって国籍を日本に変更することで完全に日本社会の一員となることができます。

政治参加や公務員就職を希望している

選挙での投票権や立候補権を得たい方、公務員として働きたい方には、国籍取得が必要です。永住者にはこれらの権利がありません。

子どもに日本国籍を与えたい

日本で出生する子どもに自動的に日本国籍を与えることができます。外国籍のままでは、子どもの国籍取得について追加の手続きが必要になることがあります。

母国の制度的な制限を受けたくない

例えば兵役や納税義務など、母国に特有の義務から解放されたい方にとっても、国籍変更は一つの方法です(ただし、国によっては国籍離脱に制限がある場合もあります)。

ケース②:永住申請が向いている人

母国の国籍を維持したい

ビジネスや家族関係などの理由で母国との関係を維持したい方には、永住申請の方が適しています。国籍を変えずに日本での生活基盤を強化できます。

将来的に帰国や移住の可能性がある

たとえば老後は母国で過ごすことを考えている場合や、他国へ移る可能性がある場合は、国籍を日本に変更するよりも永住の方が柔軟です。

手続きのハードルを下げたい

永住申請は帰化に比べて審査の範囲が狭く、日本語能力の審査や思想チェックが行われません。より短期間で手続きを完了できる可能性があります。

比較チャート:あなたに合っているのはどちら?

判断基準帰化申請永住申請
将来も日本に住み続けたい
母国の国籍を残したい×
選挙に参加したい、公務員になりたい×
手続きを簡素に済ませたい×
日本語に自信がある△(審査対象外)
子どもに日本国籍を与えたい△(条件により可能)
いつか母国に帰る可能性がある

帰化申請と永住申請の許可率の違いについては、以下のページで解説しています。

帰化の許可率が高い理由・永住ビザ申請の許可率が低い理由|福岡の行政書士が解説

(ご相談無料)帰化申請と永住申請の許可率はなぜこんなに違うのでしょうか?この記事では、それぞれの制度の違いや審査の仕組みをもとに、帰化が高い許可率である理由、…

行政書士
河野
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一度帰化すると国籍を戻すことは簡単ではありません。一方で永住資格も取消しのリスクがゼロではありません。どちらも「日本でどのように生きていくか」という人生設計を基に選ぶべき制度です。

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よくある質問(FAQ)

日本人と結婚すれば自動的に日本国籍が取得できますか?

結婚しただけでは日本国籍は取得できません。結婚によって取得できる可能性があるのは「日本人の配偶者等」という在留資格(※もちろん入国管理局による審査があります)であり、国籍取得には別途、帰化申請を行い、法務大臣の許可を得る必要があります。

永住申請と帰化申請、両方同時に出すことはできますか?

どちらか一方を選択して申請する必要があります。ただし、途中で方針を変更することは可能ですが、改めて最初から手続きをやり直す必要があります。

帰化申請には日本語能力の試験がありますか?

公式な筆記試験はありませんが、日本語テストが行われる場合があります。審査の過程で日本語での面接もあります。また、日常会話程度の日本語能力が求められ、法務局では「小学校3年生程度の読み書き」が基準とされています。

永住権を取得したあと、母国に長期間帰っても大丈夫ですか?

原則として1年以上日本を離れると、永住資格を失う可能性があります。忘れずに、出国時に「みなし再入国許可」や通常の「再入国許可」を取得しましょう。

帰化申請中や永住申請中に出国しても大丈夫ですか?

基本的には可能ですが、長期出国した場合は、不許可の可能性があります。特に連続して90日以上、年間100日以上出国する場合は、合理的な理由がないと不許可になる可能性大です。

交通違反があると帰化や永住申請に影響しますか?

軽微な違反であれば大きな問題にはなりませんが、頻繁な違反や飲酒運転などの重大違反はマイナス評価となり、許可が下りない可能性があります。帰化申請の場合、過去2年間のうち3回以上の交通違反があると不許可の可能性が高くなります。誠実な生活態度が重視されます。

配偶者と別居中でも申請できますか?

実体のある婚姻生活があることが前提となるため、別居が長期に及んでいたり、実際の婚姻関係が形だけのものである場合には、審査に不利に働く可能性が高いです。

帰化申請後に離婚した場合、申請は取り下げられますか?

申請の根拠となる「日本人配偶者との関係」がなくなるため、審査の進行状況に応じて取り下げを求められると思われます。

法務局での帰化申請は専門家にお任せください

福岡法務局など地方法務局での帰化申請をご検討の方は、ぜひ当事務所にご相談ください。行政書士として、以下のようなサポートを提供しております。

  • 書類作成・添削の徹底サポート
  • 面接対策のアドバイス
  • 法務局とのやりとり代行
  • 個別事情に応じた申請戦略の立案

もちろんご自身で申請を行うことができます。例えば、福岡で申請をお考えの方は、以下の福岡法務局公式ホームページから手続き内容をご確認いただけます。

https://houmukyoku.moj.go.jp/fukuoka/page000001_00596.html

行政書士
河野
(かわの)

申請手続きは非常に煩雑で、些細なミスが不許可に繋がることもあります。確実な申請をご希望の方は、帰化・永住をしっかり学んだ専門家にお任せください。

まとめ:日本人の配偶者が帰化申請・永住申請する場合の共通点と違い

「簡易帰化」と「永住申請」は、いずれも日本で安定した生活を送るための重要な手段です。それぞれに特徴とメリット・デメリットがあるため、自分の将来設計や価値観に照らして最適な選択をすることが大切です。

九州・沖縄(福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)での申請は、地元に強い専門家の支援を得ることで、よりスムーズで確実な結果が得られます。

行政書士
河野
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帰化

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投稿者プロフィール

国際行政書士 河野尋志
国際行政書士 河野尋志
外国人の社員さん達と一緒に企業の取締役として国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。行政書士業務を始めてからは様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)