帰化申請の審査期間が長い理由と短縮する方法

はじめに:この記事でわかること

この記事では、帰化申請の審査に時間がかかる理由と、それを短縮するための方法について詳しく解説します。以下の内容を知ることができます:

  • 帰化申請の全体的な流れ
  • なぜ時間がかかるのか、具体的な原因
  • 国籍や書類の違いによる審査期間の差
  • 審査期間を短縮する現実的な方法
  • 行政書士に依頼するメリット
行政書士
河野
(かわの)

九州・沖縄エリアでの帰化申請や永住ビザ申請でお困りの際は、福岡法務局など福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄エリアを専門とする私にご相談ください。初回ご相談は無料、オンライン面談にも対応しています。

帰化申請の審査が長い理由と、短くする方法

帰化申請の流れ

帰化申請は、単なる書類提出ではなく、複数のステップを順番に進めていく必要があります。ここでは、ステップごとに具体的な流れと注意点を詳しく解説します。

初回相談の予約と面談

まずは初回相談を行います。法務局の帰化相談は完全予約制で,電話で日時を予約する必要があります。

内容:

  • 帰化申請を希望する場合、まずは住所地を管轄する法務局(福岡にお住まいの方は福岡法務局)へ「帰化相談」の予約をします。
  • 初回相談では、法務局職員によるヒアリングが行われ、家族構成、職業、収入状況、在留資格などが細かく確認されます。
  • その人に合った「必要書類リスト」が示されます。

注意点:

  • 予約が混み合っている時期は、相談まで数ヶ月待つこともあります。

福岡法務局で申請される方は、以下公式ホームページから内容をご確認いただけます。

https://houmukyoku.moj.go.jp/fukuoka/page000001_00596.html

STEP
1

書類収集と複数回の相談

内容:

  • 指定された書類を収集し、次回の相談時に持参します。
  • 書類に不備があると、再度修正・追加が必要になり、相談の予約を取り直すことになります。
  • 多くの方は2回〜4回程度、法務局に通って最終的に「申請書類一式が整った」と判断されます。

所要時間:

  • 数ヶ月、中には1年かかる人もいます(個人差あり)

注意点:

  • 収集する書類には、母国の公的証明書、納税証明、運転記録など多岐にわたるものが含まれます。
  • 翻訳が必要な場合は、翻訳にも時間を要します。
STEP
2

正式な「受付」


「受付」から実質的な審査がスタートします。受付後の流れは、ご自身で行った場合でも、行政書士など専門家にサポートを依頼した場合でも同じです。

所要時間:

  • 受付自体は1日で完了
  • 書類整備から受付までに平均3〜6ヶ月かかることも

注意点:

  • 受付は「審査の開始」ではなく「審査対象として登録された状態」であり、ここからさらに時間を要します。
  • 審査期間中に、出国する、引っ越しをする、転職する、離婚したなどなにか変更がある場合は、審査官に必ず連絡をする必要があります。
STEP
3

法務局での面接審査

内容:

  • 受付後、数ヶ月を経て、担当審査官から連絡があり面接が実施されます。
  • 面接では、帰化の動機や日本語能力、生活状況、家族の状況などが確認されます。
  • 結婚している場合、配偶者も同席を求められる場合があります。

所要時間:

  • 受付から面接連絡まで:数ヶ月
  • 面接当日:1〜2時間

注意点:

  • 面接は「申請者の真の帰化意思」を確認する重要な機会です。事前に準備して臨むことが重要です。
STEP
4

法務省での再審査(最初から審査)

内容:

  • 面接後、問題がないと判断された場合は、地方法務局から法務省(東京)に審査資料が送付され、法務大臣による最終審査が行われます。
  • 本省では面接は行われず、すべて書類審査になります。

所要時間:

  • 通常は6ヶ月程度

注意点:

  • 地方法務局で審査が行われましたが、法務省でも最初から審査が行われますので、時間がかかります。
  • 本省審査は全国の案件を処理するため、混雑状況により大幅に時間がかかることがあります。
STEP
5

結果の通知(許可または不許可)

内容:

  • 審査完了後、許可された方には電話で連絡がある場合が多く、不許可の場合は通知書が郵送されるケースもあります。
  • 許可された場合は、法務局から書類を受け取り、市区町村で戸籍の編製手続を行います。

所要時間:

  • 面接から通知まで:6ヶ月以上
  • 戸籍編製:数日〜1週間程度

注意点:

  • 不許可の場合、原則として理由は明かされません。不許可理由が犯罪歴や交通違反などで、時間が経過することで再申請ができる場合は理由をおしえてもらえる場合もあります。
  • 許可された場合も、審査官とのやりとりが続くため、連絡には常に注意を払う必要があります。
STEP
6

官報に掲載(許可された場合)

帰化が許可されると、日本国が発行する機関紙「官報」に、住所(市区町村まで)、名前(帰化前の本国の氏名)、生年月日が掲載(以下画像参照)されます。法律上は官報に告示された日から日本国籍を取得したことになります。

「官報」はオンライン(以下URL)でも確認できます。

https://www.kanpo.go.jp

STEP
7
行政書士
河野
(かわの)

このように、帰化申請には時間を要する理由が各ステップに存在します。特に「書類収集」と「審査待ち」の時間が長くなりがちです。したがって、事前準備と専門家のサポートが鍵を握ります。

お急ぎの際はお電話を092-407-5953受付時間 8:00-18:00 [ 土日祝も対応 ]

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なぜ帰化審査には時間がかかるのか?

帰化申請は単なる事務手続きではなく、「外国人に日本国籍を与えるか否か」を判断する極めて慎重な国家判断です。そのため、審査には時間がかかる理由があります。

1. 審査の段階が多く、関係機関も多い

帰化審査は、次のような多段階の審査構造で行われます:

審査段階担当機関内容
初回相談・書類準備地方法務局(例:福岡法務局)帰化意思や条件の確認、必要書類の指示、ヒアリングなど
書類受付地方法務局書類の形式確認と「受付」の実施(ここから正式な審査開始)
面接・実質審査地方法務局審査官申請者やその家族への聞き取り、日本語能力・生活実態の確認
本省での再審査法務省(東京)全国から集まる案件を再度審査。すべて書面で判断、法務大臣の決裁
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地方→中央(東京)と2段階の審査があり、それぞれに十分な時間がかけられます。

2. 紙の資料での膨大な書類確認

帰化申請は、すべて紙の書類で審査されます

  • 申請者が提出する書類(動機書、納税証明、在職証明、パスポート、戸籍、住民票など)は最低でも数十枚以上、多い場合は100枚を軽く超える場合もあります。
  • 加えて、法務局は申請者の情報を出入国在留管理局、税務署、警察、裁判所などから収集します。
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審査官がこれらの紙書類を一枚ずつ手作業で確認するため、1人の申請者に対して非常に多くの時間が必要です。

3. 審査官の人員不足

  • 帰化申請の件数は増加傾向にある一方で、審査官の数は限られており慢性的に不足しています。
  • 一人の審査官が複数の案件を抱えており、特に大都市圏や人気の法務局(東京・大阪・名古屋)では面接まで半年待ちというケースもあります。

4. 国籍離脱が関係するケースはさらに時間がかかる

日本では重国籍が禁止されており、帰化する場合は母国の国籍の離脱が求められます。国籍を離脱する手続きは、母国側の制度や事情が影響し、地域によっては1年以上かかることもあるため、帰化審査全体がさらに長期化します。

  • 中国や韓国などは、他国の国籍(日本国籍)を取得した時点で、自動的に国籍を喪失します。
  • ブラジルやフィリピンなどは、母国の国籍を事前に離脱することができないため、一旦、重国籍になりますが、母国の国籍は離脱する必要があります。
  • 台湾、ベトナム、ロシアなど様々な国・地域で重国籍が認められており、国・地域ごとに国籍を離脱するための期間が異なります。3 か月程度で離脱が完了する国もあれば2年以上かかる国もあります。
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上記の通り、人によっても期間は異なりますが、母国によっても大きく異なります。基本的には、「時間がかかることを前提に考える」ことが無難です。

5. 申請者の事情による遅延も多い

また、帰化申請後に引越し・出国・離婚・結婚・転職などの事情があった場合には、速やかに法務局へ報告が必要で、再調整や再確認が生じて審査が遅れる原因になります。

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書類がそろっていない、書類が間違っている、面接予定日に都合がつかなかったりといった申請者側の理由で遅れる場合もあります。

帰化申請の審査を短縮する方法

帰化申請において「審査を短縮する方法」といっても、地方法務局や法務省の審査そのものを短くすることは現実的ではありません。なぜなら、審査の流れは国が定めたものであり、申請が「受付」された後の流れ(面接、本省送付、法務大臣の決裁など)は、申請者や帰化の専門家の努力では短縮できないからです。

しかし、審査の「開始時点」=受付までを短縮することは可能です。そのための現実的かつ効果的な方法を以下に解説します。

1. 書類収集を早期に完了させる

帰化申請は提出書類の多さと複雑さで知られています。

書類カテゴリ
本人作成書類申請書、履歴書、動機書、宣誓書など
官公署の証明戸籍謄本、住民票、納税証明、在職証明、運転記録証明など
外国語書類の翻訳パスポート、本国の戸籍証明書、国籍証明書など

これらをスムーズに揃えたり、作ったりするためには以下がポイントです:

  • 初回相談で法務局から示された「必要書類一覧」をできるだけ早く整理し、収集する方法や手順を計画する
  • 本国の書類については、翻訳に時間がかかるため最優先で動く
  • 住民票や納税証明など取得時期の制限(3か月以内)に注意し、タイミングを調整する

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2. 法務局とのやりとりをスムーズにする

法務局では、書類のチェックや相談が数回に分けて行われます。不備や説明不足があると、次の予約が取れずに数週間~数ヶ月が無駄にかかってしまう可能性があります。

対策:

  • すべての書類を事前に点検し、法務局から指示された形式に忠実に従う
  • 誤記・漏れ・記載ミスがないように準備段階で入念に確認する
  • 申請理由(動機書)や経歴説明に一貫性を持たせる

3. 専門家(行政書士)に依頼する

行政書士など専門家に依頼することで、以下のようなメリットにより「受付」までの期間が短縮される可能性が高いです。

効果内容
書類不備の防止法務局の基準に合った形式で提出でき、差し戻しリスクが減る
書類収集の代行多忙な方でも迅速に必要書類を揃えられる
法務局との対応調整行政書士が問い合わせや連絡を代行し、手間が減らせる場合あり
心理的負担の軽減不明点を相談しながら準備できるので安心感がある

特に、その地域ごとに相談予約の混雑や地元ルールへの理解が求められるため、福岡法務局で申請をお考えの方は、福岡に拠点を持つ行政書士に依頼することで、地域特有の対応に強いという利点もあります。(以下は、法務局から申請するまでの流れをイメージしやすくまとめた図です。)

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このように、帰化申請には時間を要する理由が各ステップに存在します。特に「書類収集」と「審査待ち」の時間が長くなりがちです。事前準備と、専門家のサポートが期間を短縮できる方法となります。

4. 特急対応を活用する

行政書士事務所によっては、「特急プラン」など短期集中で書類作成・申請準備を行うプランを設けている場合があります。依頼料は割高になりますが、最短1ヶ月での受付を目指すことも可能です。

これは、「急いで帰化申請を進めたい」「仕事の都合で法務局に通う時間がない」方にとっては大きなメリットになります。

5. 書類が整ったらすぐ「予約」

すべての書類が整っても、次の相談予約が取れないと時間が無駄になります。そのため、以下のような準備が重要です:

  • 書類準備の目処がついた段階で、次の相談予約を前倒しで取っておく
  • 行政書士が代理人として予約・調整してくれる場合あり

まとめ:短縮できるのは「受付まで」

項目自分で申請した場合専門家に依頼した場合
書類準備期間6ヶ月〜1年1〜3ヶ月
※個人によって異なります
受付後の審査期間1〜1.5年(同じ)同じ
合計期間最大2.5年1〜1.5年
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帰化審査は、受付までをどれだけ早く済ませるかが「実質的な短縮」できる部分です。そのためには、専門家の知識とスケジュール調整力有効です。

よくある質問(FAQ)

帰化申請にどれくらい時間がかかりますか?

申請の準備から結果が出るまで、一般的には1年半〜2年半程度かかります。特に、申請受付までの書類準備や面接待ちの期間が長くなる傾向にあります。国籍や個別事情によっては2年以上かかる場合もあります。

行政書士に依頼すると早く帰化できますか?

「審査期間」自体は変わりませんが、「受付までの準備期間」を大幅に短縮できます。行政書士が必要書類を整え、法務局とのやりとりを予測して準備できるため、スムーズに進みます。通常半年〜かかる準備が、1〜3ヶ月で済むこともあります。

帰化申請と永住ビザ申請、どちらがいいですか?

帰化申請は日本国籍を取得し、選挙権・戸籍取得・公務員就任などの権利を得られますが、母国籍を喪失します。一方、永住ビザは母国籍のまま無期限に日本に滞在できます。メリット・デメリットが異なるため、生活設計や価値観に応じて選びましょう。

帰化申請と永住ビザ申請、どちらが実際に選ばれてるかについては以下のページで解説しています。

帰化と永住ビザはどちらが選ばれる?増加数を分析|福岡の行政書士が集計

(ご相談無料)帰化と永住、どちらが選ばれているのか?中国・韓国・ベトナムなど主要国の国籍別データをもとに、帰化許可数と永住者数の推移を比較。今後の傾向や申請戦…

日本語が苦手でも帰化できますか?

審査では、日本語能力も評価対象になります。最低限の読み書き・会話ができない場合は不利になることがあります。特に動機書や面接では、日本で生活していく意欲と能力を日本語で表現する必要があります。

交通違反があると帰化は無理ですか?

軽微な交通違反(1回のスピード違反や駐車違反など)であれば、帰化が許可される可能性は十分あります。ただし、繰り返し違反している場合(2年間に3回以上)や、飲酒運転・人身事故など重大な違反歴があると、帰化の許可に大きく影響します。

申請後に引越しや転職をしたらどうすればいいですか?

帰化申請後に「住所変更」「勤務先の変更」「家族構成の変更(婚姻・離婚など)」があった場合は、速やかに法務局へ届け出る必要があります。届け出を怠ると、審査が止まったり不許可になることもあります。

不許可になったらどうすればいいですか?

不許可の場合、理由は原則として開示されません。ただし、再申請は可能です。不許可理由が軽微なものであれば、生活状況を改善したうえで再挑戦することで、許可されるケースもあります。まずは専門家に相談し、原因を探ることが重要です。

まとめ:帰化申請の審査が長い理由と短縮する方法

  • 帰化申請は、書類審査・面接・本省での再審査を経るため、非常に時間がかかります。
  • 書類準備と受付までのスピードが、全体の審査期間に大きく影響します。
  • 行政書士など専門家に依頼することで、受付までの手続きがスムーズになり、結果的に早期に審査が開始されるメリットがあります。

福岡法務局を中心に福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄の帰化申請に対応している行政書士として、あなたの日本国籍取得を全力でサポートします。

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以下では、帰化許可申請に関連する情報をまとめています。是非ご覧ください。

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投稿者プロフィール

国際行政書士 河野尋志
国際行政書士 河野尋志
外国人の社員さん達と一緒に企業の取締役として国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。行政書士業務を始めてからは様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)