帰化と永住ビザの増加数を福岡の行政書士が集計

はじめに

日本に長く在留する外国人の皆さんにとって、「帰化」か「永住」かの選択は重要な人生の分かれ道です。どちらを選ぶべきか迷う人が多く、「永住のほうが簡単」「帰化は難しそう」というイメージで判断されることも少なくありません。実際に、「帰化」か「永住」か、どちらが選ばれることが多いのか、公式データを集計した結果から分かりやすく表にまとめました。

行政書士
河野
(かわの)

この記事では、国籍別の帰化・永住者数の増加人数データをもとに、帰化と永住の違いを解説します。日本での安定した生活を求める外国人の方に向けて、実務に強い行政書士がサポートできる点もお伝えいたします。もし、九州・沖縄エリアでの帰化申請や永住ビザ申請でお困りの際は、福岡法務局など福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄エリアを専門とする行政書士にご相談ください。

この記事を読んで分かること

  • 帰化と永住の統計的な傾向(国籍・地域別データを掲載)
  • 帰化を選ぶメリット
  • 帰化・永住でよくある質問とその答え
  • 帰化申請を福岡法務局で行う際に、行政書士へ依頼するメリット
目次

帰化と永住ビザはどちらの増加数が多い?

国籍・地域別の増加人数比較:帰化 vs 永住

国籍別帰化許可者数(2022〜2024年)

以下は、法務省が発表した2022年〜2024年の国籍別の帰化許可者数のデータです。3年間の変動を比較することで、各国籍の傾向が見えてきます。

順位令和4年(2022年)人数令和5年(2023年)人数令和6年(2024年)人数
1韓国・朝鮮2,663人韓国・朝鮮2,807人中国3,122人
2中国2,262人中国2,651人韓国・朝鮮2,283人
3ベトナム360人ベトナム625人ネパール585人
4ブラジル340人ブラジル526人ブラジル498人
5フィリピン217人フィリピン347人ベトナム408人
6ペルー185人ネパール331人フィリピン323人
7ネパール139人ペルー206人スリランカ220人
8バングラデシュ125人スリランカ160人ペルー210人
9スリランカ80人バングラデシュ147人バングラデシュ196人
10パキスタン75人ロシア108人ミャンマー153人
その他613人その他956人その他865人
総数7,059総数8,800総数8,863

【出典】法務省民事局『国籍別帰化許可者数』以下ホームページより

https://www.moj.go.jp/MINJI/toukei_t_minj03.html

簡易分析①|韓国・中国は引き続き最多層、ただし順位は逆転

  • 2022〜2023年は韓国・朝鮮籍が最多でしたが、2024年はついに中国籍が1位に浮上(3,122人)
  • 韓国・朝鮮籍は減少傾向に入りつつあり、今後はさらに順位が変動する可能性があります。
考察
  • 韓国籍の帰化はかつて安定して高い数でしたが、「特別永住者」の減少が影響している可能性があります。
  • 一方、中国籍は技能・技術・家族滞在など多様な在留資格からの移行が増えていると考えられ、今後も増加傾向が続くと予想されます。

簡易分析②|ベトナム・ネパール・ブラジルの上昇が顕著

  • ベトナム:2022年→2024年で約1.1倍(360→408人)
  • ネパール:2022年→2024年で4倍以上(139→585人)
  • ブラジル:3年連続でトップ4位
考察
  • ベトナム・ネパールのような若い労働層が多い国籍では、若い段階で日本に在留し、長年の日本への在留を経て帰化を選ぶ例が増えていると予想されます。

簡易分析③|スリランカ・バングラデシュ・ミャンマーも注目国に

2024年は、これまで目立たなかったスリランカ・ミャンマーが順位上昇。政治的背景や在留支援制度の拡充も要因の一部と予想されます。

簡易分析④|全体の帰化許可数は上昇傾向

年度総帰化許可者数
令和4年(2022)7,059人
令和5年(2023)8,800人
令和6年(2024)8,863人(過去3年で最多)
考察
  • 帰化許可の総数は着実に増加しています。
  • コロナ後の手続き正常化、日本への定住意向の高まりも関係している可能性があります。
  • 日本語要件や収入基準の厳格化がある中でも、書類不備のない申請であれば許可されやすい傾向があります。

国籍地域別永住者増加数(2020年〜2023年)

続いて、出入国在留管理統計をもとに弊所で独自に集計した永住者の増加数をまとめました(※出入国在留管理庁が公表している表ではありませんので、ズレがある可能性があります。数字は参考としてご覧ください)。こちらも中国、ベトナム、フィリピンの伸びが目立ちます。

順位2020年12月
→2021年12月
人数2021年12月
→2022年12月
人数2022年12月
→2023年12月
人数
1中国13,379人中国17,694人中国16,456人
2フィリピン2,112人フィリピン2,315人ベトナム2,145人
3ベトナム1,734人ベトナム2,154人フィリピン1,919人
4インド729人韓国1,768人ブラジル1,021人
5韓国564人ブラジル1,376人台湾879人
6ブラジル549人台湾1,334人韓国870人
7台湾538人インドネシア798人インド436人
8アメリカ534人インド798人アメリカ431人
9タイ265人アメリカ652人タイ279人
10インドネシア225人タイ474人インドネシア244人
その他3,011人その他3,461人その他2,953人
総数23,640人総数32,779人総数27,633人

【出典】出入国在留管理庁「在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表」以下ホームページよりデータを抽出し、弊所で独自に集計した情報です。

https://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/toukei_ichiran_touroku.html

簡易分析①:中国は圧倒的な永住増加数を維持

3年間とも中国籍の永住許可者が断トツの1位です。
2022年にピーク(17,694人)を迎えた後、2023年はやや減少したものの、それでも16,000人超の安定した増加を記録しています。

背景の推測:

  • 永住申請の要件を満たす長期滞在者が多い
  • 経済的安定や日本語力の水準が高い
  • 家族呼び寄せ・定住のニーズが強い

簡易分析②:ベトナムとフィリピンが入れ替わりつつ上位に定着

2位・3位はベトナムとフィリピンが拮抗しています。
2022年はベトナムが2位でしたが、2023年はフィリピンが再び上位に。

簡易分析③:インド・ブラジル・韓国などの動きにも注目

特に韓国とブラジルの永住者増加が2021年〜2022年にかけて急増しました。
その後、2023年にはやや減少しており、波があります。
インドやインドネシアは近年上位入りしており、今後の伸びに注目です。

帰化と永住ビザでは圧倒的に永住ビザが多数

行政書士
河野
(かわの)

帰化と永住ビザを比較した結果、圧倒的に永住ビザの増加数の方が多い、という結果になりました。ただ、言うまでもないことですが、どちらを選んでも正解も不正解もなく、外国人の方それぞれのお考えで決めれば良いかと思います。

帰化を選ぶ理由:永住では得られない安心とは?

日本で長く暮らす外国人の方にとって、在留資格「永住者」になることは、一つのゴールと思われがちですが、実は「帰化」によって得られる法的・社会的安定性についてご存知でしょうか?以下に、永住では得られない「帰化の安定性」をご紹介します。

1. 退去強制の対象外になる

永住者であっても、重大な法律違反(例:薬物犯罪、重罪など)を犯せば退去強制の対象になります。実際、刑事罰によって永住資格を失った事例もあります。

しかし、帰化して日本国籍を取得した場合は「外国人」ではなく「日本国民」となるため、どれほど問題を起こしても国外追放されることはありません。これは法的に極めて大きな違いです。

2. 再入国許可が不要になる

永住者が一時的に海外に出国する際は、「再入国許可」(特例を含む)を事前に取得する必要があります。取得せずに出国した場合、永住資格が失効する可能性があります。

一方、帰化すれば日本人として自由に出入国できます。再入国許可の心配もなく、ビザ期限を気にすることもありません。これはビジネスで頻繁に海外を往復する方にとって小さくないメリットだと思われます。

3. 選挙権・被選挙権を持つことができる

永住者には参政権(選挙権・被選挙権)はありません。つまり、日本の政治に対して意見を反映させる手段がないのです。帰化すれば、国政・地方選問わず選挙に参加できる権利が付与されます。これにより、日本社会の一員として意思表示が可能になります。

4. 日本の戸籍が作成される

永住者には日本の戸籍がありません。婚姻や出生は「外国人として記録される」に過ぎず、法律上の扱いが制限されることがあります。帰化すると、日本の戸籍が新たに作成され、法的にも完全な「日本人」としての身分が確立されます。これにより、各種手続きや社会的信用にも好影響を及ぼします。

5. 就労制限が完全に解除される

永住者にも基本的に就労制限はありませんが、国家公務員など一部の職業には就けません。一方、帰化すれば就業制限が完全になくなり、公務員や弁護士、警察官などへの道も開かれます

6. 相続や住宅ローンなど生活上の信用が上がる

帰化することで日本国民となり、信用情報にも「日本人」として扱われるようになります。これにより、

  • 住宅ローンやクレジット審査の通過率が向上
  • 相続時の法律上の扱いが簡素化
  • 法人や個人自業主とあった場合に融資を受けやすくなる

など、生活面での安定性・利便性が大きく向上します。

7. 日本のパスポートを取得できる

日本のパスポートは、ビザ(VISA、査証)なしで渡航できる国が非常に多いことで知られています。帰化によって日本国籍を取得すれば、ビザ取得の手間が大きく減り、世界中への渡航が容易になります。

まとめ表:帰化と永住の安定性の違い

項目帰化(日本国籍)永住(外国籍)
退去強制のリスクなしあり
再入国許可不要必要
戸籍の有無ありなし
選挙権・被選挙権ありなし
国家公務員への就職可能不可
日本のパスポート取得可能不可
信用情報(ローン等)向上一定の制限あり

帰化と永住ビザの許可率の違いについては、以下のページを参照ください。

帰化の許可率が高い理由・永住ビザ申請の許可率が低い理由|福岡の行政書士が解説

(ご相談無料)帰化申請と永住申請の許可率はなぜこんなに違うのでしょうか?この記事では、それぞれの制度の違いや審査の仕組みをもとに、帰化が高い許可率である理由、…

帰化を成功させるためのポイント

本人の「真正な意思」が最も重要

法務局では、書類の形式だけでなく、申請者の態度・取り組み姿勢・日本社会への適応意欲なども評価対象となります。帰化申請には以下のような行動が求められます。

  • 書類をすべて自分で収集・準備する努力
  • 面談での受け答えの真剣さ
  • 日本語能力や納税・保険料納付状況の明確化

専門家のサポートが成功率を高める

行政書士
河野
(かわの)

専門の行政書士にご相談いただければ、帰化審査で重要視される「見えない評価ポイント」を押さえたアドバイスが可能です。福岡法務局など九州・沖縄での帰化申請をお考えであれば、お気軽にご相談ください。初回ご相談は無料です。

FAQ:よくある質問

永住と帰化、どちらが将来的に安心ですか?

帰化は日本国籍を取得するため、退去強制や在留資格の更新義務がなくなります。戸籍も作成され、完全に「日本人」としての法的地位が与えられるため、日本に住むうえでの安定性を望む方には、帰化がより安定しているといえます。

永住者になってからでないと帰化できませんか?

永住者でなくても帰化申請は可能です。ただし、在留履歴や素行など、法務大臣が定める要件を満たしている必要があります。永住は帰化の前提条件ではありません。

帰化申請に必要な日本語レベルはどのくらいですか?

明確な基準は公表されていませんが、目安としては日本語能力試験(JLPT)N3レベル以上が推奨されます。書類作成や面談に対応できる日常会話・読み書き能力が求められます。

過去に交通違反をしたことがありますが、帰化できますか?

軽微な交通違反であれば直ちに不許可にはなりません。ただし、複数回ある場合や罰金未納のまま放置している場合などは審査に影響します。事前に違反歴を整理し、正確に申告することが大切です。

配偶者や子どもと一緒に帰化する必要がありますか?

帰化は個人単位の申請です、ご家族が一緒に申請しなくてもまったく問題ありません。帰化申請は「心から日本人になりたい、という本人の意思」が最も重要な要件の一つなので、もしご家族に少しでも帰化申請に迷いがあれば帰化申請するべきではないと思います。

現在無職ですが、帰化申請はできますか?

原則として、安定した収入または生計を共にする家族がいることが求められます。配偶者に安定した収入があれば申請可能な場合もありますが、無職状態が長期に及ぶ場合は不利になる可能性が高いです。

帰化申請にはどれくらいの期間がかかりますか?

申請から許可までの標準的な審査期間は1年〜1年半程度です。ただし、提出書類の不備や追加調査が必要な場合はそれ以上かかることもあります。

帰化申請が不許可になることはありますか?

不許可になる場合もあります。主な理由は、素行不良、税金の未納、十分な在留歴がない、日本語能力の不足などです。もし不安があれば、事前の準備と専門家への依頼をおすすめいたします。

帰化の相談はどこでできますか?

管轄の地方法務局(福岡にお住まいの方は福岡法務局)で相談可能で、法務局の指示に沿ってご自身で書類作成・収集を行うことが可能です。手続きは煩雑なため、もし不安があれば専門家にご相談ください。

行政書士に依頼すると何をしてもらえるのですか?

必要書類のチェック・作成、法務局との調整、面談対策、日本語レベルの確認など、帰化申請の全過程をサポートします。

まとめ:データと実例から見る“帰化”の現実

帰化は、永住と比較して審査が厳しい反面、日本での「安定した生活」や「法的な安心」を求める外国人にとっては非常に大きなメリットがあります。特に、中国・韓国・ネパールなどの国籍の方は、帰化を選ぶケースが増えているというデータが明確に示しています。

今回の解説は以上です。ビザ申請サポート福岡 外国人支援センター(国際行政書士 河野尋志)では帰化申請や永住ビザ申請を丁寧に!早く!手続き致します。ご不明点があればお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料! 福岡を中心に、九州、全国対応が可能で、オンライン(ZOOM、LINE、WeChat、Teamsなど)での面談も対応しております。

行政書士
河野
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投稿者プロフィール

国際行政書士 河野尋志
国際行政書士 河野尋志
外国人の社員さん達と一緒に企業の取締役として国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。行政書士業務を始めてからは様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)