永住ビザと帰化の年数について専門家の国際行政書士河野尋志が解説

帰化申請永住ビザ申請に必要な年数を分かりやすくまとめました

帰化申請、永住ビザ(永住者)申請についてご質問をいただくことが多いのが「帰化申請や永住ビザ申請できるまでに何年かかりますか?」です。在留資格(ビザ)毎に必要な年数が違いますので、一覧にまとめてみました。

行政書士
河野
(かわの)

九州・沖縄エリアでの帰化申請や永住ビザ申請でお困りの際は、福岡法務局など福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄エリアを専門とする私にご相談ください。

帰化申請で必要な年数

帰化は永住よりも簡単に申請できる?

「帰化申請は、永住ビザ申請よりも簡単」と思われている外国人の方は多いですが、帰化申請できるまでの期間が永住ビザ申請よりも短いこと、がその理由だと思います。以下の表でご覧の通り、基本要件では5年間(そのうち3年間就労)で帰化申請できるので、永住申請の基本要件の10年間(そのうち5年間就労)に比べると確かに期間は短いです。

帰化申請条件1条件2
基本要件1「引き続き5年以上」日本に住んでいる就労系ビザなどで3年間働いている期間がある
基本要件2「引き続き10年以上」日本に住んでいる就労系ビザなどで1年間働いている期間がある
日本人の配偶者1結婚生活が3年以上「引き続き1年以上」日本に住んでいる
日本人の配偶者2「引き続き3年以上」日本に住んでいる今も日本に住所がある
日本人だった者の子ども「引き続き3年以上」日本に住んでいる
日本で生まれた子ども「引き続き3年以上」日本に住んでいる
両親が日本で生まれた子ども0年
日本人の子どもで日本に住んでいる者0年
日本人の養子で、養子縁組のときに母国の法律で未成年だった者「引き続き1年以上」日本に住んでいる
日本で生まれた者で、生まれた時から無国籍の者「引き続き3年以上」日本に住んでいる
日本国籍を失い、日本に住んでいる者0年

※上記の表は一般的な外国人の方を想定しており、特例や、他の複雑な要件は割愛しております、予めご了承ください。
※永住申請する場合、申請時点で持っている在留資格(ビザ)は全て最長の在留期間(3年、または5年)が必要です。

帰化申請は永住ビザ申請よりも許可されやすい?

帰化は永住よりも簡単なのかどうか、実際の許可率を見てみましょう。
帰化申請では、2024年は12,248人申請して、8,863人が許可されたため、許可率は72.4%です。
永住ビザ申請では、2024年は55,798人申請して、36,766人が許可されたため、許可率は65.9%です。

行政書士
河野
(かわの)

確かに、申請できる年数も、許可率も帰化申請の方が簡単に見えますが、実際に実務を行う行政書士の立場で考えると、逆のイメージです。その理由は、以下のページで解説しています。

永住ビザ申請で必要な年数

永住ビザ申請は在留資格(ビザ)ごとに条件が複雑

以下の表はできるだけ分かりやすくしたもので、実際には、外国人の方が現在持っている在留資格(ビザ)や、それまでどのように生活してきたかで条件が大きく異なります。細かい要件を加えていくと更に複雑になりますので、以下は参考としてご覧ください。

永住ビザ申請条件1条件2
【就労資格ビザ】
・技人国ビザ
・経営・管理ビザ
・特定活動ビザ
など
日本に継続して10年以上住んでいること直近の5年、就労資格ビザまたは居住資格ビザ(配偶者ビザ、定住者ビザなど)を持っていること
家族滞在ビザ日本に継続して住んで10年、そのうち就労ビザで5年以上を持つ「配偶者」と同時に永住ビザ申請すること配偶者と結婚して3年以上、日本に住んで1年以上の期間が必要
高度専門職ビザポイント計算表で80点以上:1年ポイント計算表で70点以上:3年
配偶者ビザ結婚生活が3年以上日本に継続して1年以上住んでいること
定住者ビザ日本に5年以上継続して住んでいること以前「配偶者ビザ」や「就労ビザ」だった人が「定住者ビザ」になった場合は、合わせて5年以上継続して日本に住んでいること
【就労ビザ】
特定技能ビザ1号
特定技能ビザ2号
特定技能ビザ2号は「直近の5年、就労資格ビザを持っていること」の対象になります。(日本に継続して10年以上住んでいることも必要)特定技能ビザ1号は、「引き続き10年以上日本に住んでいること」の対象にはなりますが、「直近の5年間、就労資格ビザを持っていること」の期間の対象外です。
【就労ビザ】
技能実習ビザ
特定技能ビザ1号は、「引き続き10年以上日本に住んでいること」の対象にはなりますが、「直近の5年間、就労資格ビザを持っていること」の期間の対象外です。※例えば、以下であれば永住ビザ申請できます。
技能実習ビザ3年
 →特定技能1号に移行して2年
  →特定技能2号に移行して5年

※上記の表は一般的な外国人の方を想定しており、特例や、他の複雑な要件は割愛しております、予めご了承ください。
※日本人の子供については、更に要件が大幅に緩和されます。
※永住申請する場合、申請時点で持っている在留資格(ビザ)は全て最長の在留期間(3年、または5年)が必要です。

行政書士
河野
(かわの)

ご不明点があればお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料! オンラインでの面談も対応しております。

帰化申請の方が簡単なら永住ビザ申請の方が数が少ない?

帰化は永住よりも簡単であれば、帰化申請者数の方が多いと思われるかもしれませんが、実際は全く逆です。帰化申請の2024年の許可者数は8,863人、永住ビザ申請の2024年の許可者数は55,798人です。

帰化申請と永住ビザ申請の増加数を国籍別の集計は以下ページにまとめています。

よくある質問(FAQ)

帰化と永住はどう違うのですか?

帰化は「国籍」を取得する制度で、日本国籍を持つ日本人になります。一方、永住は在留資格(ビザ)の一種であり、日本国籍は持たず、母国の国籍のまま日本に無期限で住むことができます。

帰化したら元の国籍はどうなりますか?

日本では重国籍を認めていないため、帰化が許可されると分かった時点で元の国籍を放棄する必要があります。

永住と帰化、どちらが取得しやすいですか?

一概には言えませんが、帰化は日本語能力や日本社会への同化が重視されるため、より厳格な審査が行われる傾向にあります。永住は納税状況や安定した収入が求められますが、日本国籍を取得するわけではない分、国籍変更の負担はありません。

日本人と結婚すれば帰化や永住は簡単になりますか?

配偶者であっても自動的に帰化・永住が許可されるわけではありません。ただし、通常よりも短い在留期間で申請可能になるなどの要件緩和があります。

永住者でも日本から強制退去されることはありますか?

永住者でも、重大な犯罪歴がある場合や在留義務(住所届出など)を守らなかった場合には、在留資格の取消や退去強制の対象となることがあります。

永住権が取り消される場合については、以下のページで解説しています。

帰化申請と永住ビザ申請、どちらを選ぶべきですか?

日本に永住したいだけであれば永住申請のほうが国籍を変えずに済むので適しています。一方、日本社会に完全に溶け込みたい、選挙に参加したい、子どもに日本国籍を与えたいという希望がある場合は帰化が適しています。どちらもメリット・デメリットを理解して選びましょう。

帰化にはどんな書類が必要ですか?

帰化には帰化許可申請書、履歴書、動機書、親族関係や収入・資産に関する証明書、運転記録、納税証明など、多数の書類が必要です。必要書類は個人の状況によって異なるため、法務局での事前相談が重要です。

例えば福岡法務局の場合は公式ホームページから必要書類を確認できます。

ご不明点あれば何なりとお尋ねください、初回ご相談は無料です。

永住の審査では何が見られるのですか?

主に「素行が善良であること」「独立した生計を営めること」「日本にとって利益となる存在かどうか」が重視されます。納税状況や健康保険の支払い状況なども評価対象です。

永住ビザ申請について詳しくは以下のページで説明しています。

帰化申請にはどれくらい時間がかかりますか?

各地方にある法務局への相談から実際の許可が下りるまで、通常は1年〜1年半程度かかります。ただし、書類の準備や審査の進行状況により前後します。申請準備だけでも数ヶ月かかることが一般的です。

永住申請後の許可までの期間はどれくらいですか?

永住許可申請は一般に6ヶ月〜1年程度で審査されます。ただし、個々の状況や追加書類の有無によって前後します。

家族全員で一緒に帰化申請をする必要がありますか?

いいえ、家族単位での申請は義務ではありません。個人ごとに意思と条件が整っていれば、個別に申請することができます。配偶者や子どもが申請しない場合でも問題になりません。

帰化後に元の国籍に戻すことはできますか?

帰化後に元の国籍に戻るには、原国の法律による再取得手続が必要です。ただし、日本では帰化した後に日本国籍を自発的に喪失する手続きもありますので、慎重な判断が求められます。

まとめ:帰化申請と永住ビザ申請の必要年数

年数だけにしぼってまとめてみても、やはり帰化申請、永住ビザ申請どちらも複雑ですね。さらに、それぞれの在留資格(ビザ)によって求められる要件は他にも様々あります。

今回の解説は以上です。ビザ申請サポート福岡 外国人支援センター(国際行政書士 河野尋志)ではビザ申請を丁寧に!早く!手続き致します。

行政書士
河野
(かわの)

ご不明点があればお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料! 福岡を中心に、九州、全国対応が可能で、オンライン(ZOOM、LINE、WeChat、Teamsなど)での面談も対応しております。

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投稿者プロフィール

国際行政書士 河野尋志
国際行政書士 河野尋志
外国人の社員さん達と一緒に企業の取締役として国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。行政書士業務を始めてからは様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)