就労ビザの転職で1年間も無職だったのに更新が許可された理由|福岡の行政書士が解説

就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の転職で、1年間も無職だったのに更新が許可されました。その理由は「原因と対策」を誠実に説明したからだと私は考えています。

行政書士
河野(かわの)
実は、この申請人(中国人の方=依頼者様)は、技人国ビザで1年許可だったのに、1年間、まったく仕事をしていませんでした。
就労ビザを持つ外国人の方が、3カ月以上仕事をしていないと(あくまで最悪の場合ですが)就労ビザ取消の対象になります。詳しくは、以下のページで解説しています。
最初にご相談いただいたときに、私は正直なところ、「更新申請しても許可されないだろうな」と考えていました。働くためのビザ(就労ビザ)が1年許可されているのに、その1年、まったく仕事をしていないのであれば、普通に考えて、更新が許可されるはずがありません。
しかし、依頼者様のお話を聞くと、働けなかった理由があり、それを証明できる証拠書類がありました。私は依頼者様に、入国管理局に「働けなかった原因」を正直に説明し、「対策」をきちんと伝えることで、許可される可能性がある(もちろん不許可になる可能性もある)ことをお伝えし、ご依頼をいただくことになりました。
以下の記事は、上記のような状況で、どのような方針で申請したのか、どんな申請書類を提出したのかの記録です。
- 1. ビザ更新が許可された理由は「原因と対策」を正直に説明したから
- 1.1. 申請書類一覧
- 1.1.1. 【必須資料】カテゴリー3
- 1.1.2. 【追加・補足資料】
- 1.2. 「原因と対策」とは
- 1.2.1. 原因と対策を「理由書」で説明
- 1.2.1.1. 理由書
- 1.2.2. 原因と対策を「反省文」で説明
- 1.3. 努力が伝わる補足資料
- 1.3.1. 1年間の活動記録
- 1.3.2. 日本語学習の記録
- 1.4. 正直に説明することの効果
- 1.5. 短期間で許可された理由
- 2. 初回相談から変更申請が許可されるまでの流れ
- 2.1.1. 初回の無料相談(2025年7月5日)
- 2.1.2. 書類収集と作成(2025年7月7〜20日)
- 2.1.3. 技人国の更新申請書類をオンラインで提出(2025年7月20日)
- 2.1.4. 更新許可通知をメールで受信(2025年7月29日)
- 2.1.5. 在留カードを受け取り(2025年7月30日)
- 2.1.5.1. 在留カードをお渡し
- 3. (FAQ)技人国ビザで転職した後の更新申請でよくある質問
- 4. 最後に:プロの行政書士に就労ビザの更新申請を依頼するメリットは3つ
- 4.1. 就労ビザの許可率アップ
- 4.2. スピードアップ
- 4.3. 審査期間を短縮
[2025年の実例]技人国ビザを持つ中国人の方が、転職して1年間も無職だったのにビザ更新が許可された理由とは?
ビザ更新が許可された理由は「原因と対策」を正直に説明したから
働くためのビザ(就労ビザ)が1年許可されているのに、その1年、まったく仕事をしていないのであれば、普通に考えて、更新申請は許可されません。ただし「働けなかった原因」があるため、依頼者様と私は、その原因を正直に誠実に説明し、今後は対策があることを明示すれば許可される可能性があるのではと考え、以下の申請書類を提出しました。
なお、今回の所属企業はカテゴリー3に該当する企業です。所属企業のカテゴリーについては、以下のページで解説しています。
申請書類一覧
【必須資料】カテゴリー3
今回の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の更新に必要な書類は以下です。出入国在留管理庁公式ホームページからも確認できます。
- 在留期間更新許可申請書(オンライン申請)
- 写真データ
- チェックシート
- パスポート及び在留カード、など
- 所属機関の法定調書合計表
- 住民税の課税・納税証明書
- 雇用契約書
- 登記事項証明書
- 事業内容の資料 (会社パンフレットなど)
- 直近年度の決算文書の写し
【追加・補足資料】
通常の更新に必要な書類だけでは、「働けなかった原因」と「今後の対策」は説明できないので、以下の【追加・補足資料】を提出しました。なお、申請人(依頼者様)は2024年5月にビザ更新し、その直後に(事情があって)退職していました。つまり、2025年7月の更新では、就労ビザの「更新申請」のための書類だけでは足りず、事実上、新たな職場で就労するための「認定申請」に近い書類も必要になります。
以下のリストの通り、多くの書類を提出しました。申請人と話し合いながら、それぞれ意図があって揃えたものです、1つの無駄もありません。
- 雇用理由書
- 推薦状
- 履歴書
- 大学の卒業証明書
- JLPT日本語能力試験 2級 合格証
- JLPT日本語能力試験 1級 不合格通知
- 大学英語測定試験
- 1年間の活動記録
- 日本語学習の記録
- 日本語学習施設からの推薦状
- 2024年7月〜2025年6月までの生活費
- 資産に関する資料
- 建物賃貸借契約書
- (働けなかった原因を証明する書類)
- 落とし物を交番に届けた記録
- 申請理由書
- 反省文
「原因と対策」とは
原因と対策を「理由書」で説明
今回のケースのように、「働くためのビザ(就労ビザ)が1年許可されているのに、その1年、まったく仕事をしていない」という特殊な状況の場合は、理由書と、証拠書類が非常に重要な要素になります。
理由書
理由書は、申請人と話し合いながら、A4用紙2枚程度にまとめました。個人情報なので全てを見せることはできませんが、以下のような内容です。まず、反省から始まり、就労していない1年間にどのような活動をしていたのか、その原因は何なのか、新たな職場でどのような気持ちで仕事をするのか、ということを正直に、誠実に書きました。もちろん「働けなかった原因を証明する書類」は別途提出しています。


行政書士
河野(かわの)
私は、もともと雑誌制作会社で取材記者をしていましたので、インタビューして、文章にまとめることは得意です。理由書の作成に不安があれば、私にお任せください。
原因と対策を「反省文」で説明
実は「働けなかった原因」の他に、もう一つ問題がありました。それは、2024年7月に就労ビザを更新した直後に退職したことを届出していなかったことです。就労ビザを持つ外国人は、退職してから14日以内に、入国管理局に届出を行う必要があります。届出の手続きについて詳しくは、出入国在留管理庁公式ホームページをご覧ください。
届出していなかった経緯、原因、反省、今後の対策を正直に、誠実に反省文に記載しました。


行政書士
河野(かわの)
就労ビザを持つ外国人の方が、転職する際に「届出の義務を果たすこと」を含めて、失敗しないための注意点については、以下のページで解説しています。
努力が伝わる補足資料
理由があって就労していなかったとはいえ「1年間、何をしていたのか」を入国管理局に報告するべき、と考えたので、1年間の活動記録などを提出しました。
1年間の活動記録
依頼者様は、1年の無職の間、何もしていなかったわけではなく、できる範囲で就職活動をしていました。そのことを詳細なリストにまとめて提出しました。以下は、その書類のイメージです。(具体的にはお見せできないので、画像はぼかしています、ご了承ください)

日本語学習の記録
依頼者様は、日本で就労し続けるためには日本語能力をもっとアップしないといけない、と考えていたため、1年間の無職の間も、日本語の学習を続けていました。そのことを証明するため、以下の書類を提出しました。
- JLPT 1級 不合格通知
- 日本語学習の記録
- 日本語学習施設からの推薦状

行政書士
河野(かわの)
今回のような特殊なケースの場合は、何が入国管理局の審査官に評価されるのか分かりません。評価される可能性がある活動で、書類で証明できるものは全て提出しました。
特殊なケースでお困りの場合でも、まずはご相談ください。初回ご相談無料で、オンライン面談にも対応しています。
正直に説明することの効果
弊所では、変にごまかしたり、隠したりするよりも、正直に誠実に申請することをおすすめしています。入国管理局は在留資格(ビザ)のプロの集団です。へたなウソは簡単に見破られるに違いありません。個人的には、正直に誠実に伝えることで、入国管理局の審査官に正直さや誠実さが伝わる可能性があると考えています。審査官はAIではなく人間です。どんな「人」に日本に住み続けてほしいか、どんな「人」に日本で働いてほしいか、を考えて審査しているはずです。
これまで、弊所では「正直に誠実に申請する」という方針で申請してきましたし、その方針で申請して不許可になったことはまだありません。(2025年8月現在)
短期間で許可された理由
今回の更新申請は、2025年7月20日にオンラインで申請し、7月21日に受付され、7月29日に許可されました。7月21日は祝日だったので、事実上、8日間の審査期間で許可されたことになります。就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の更新申請の審査期間は、通常は1カ月くらいはかかりますので、非常に短期間で許可されました。
短期間で許可された理由は、やはり「原因と対策」を正直に説明したからだと考えています。もちろん、在留期限が2025年7月28日までだったので、「早く判断する」という入国管理局の方針があったこともあると思います。ただ、「早く判断する」という方針があったとはいえ、必要な書類と、「原因と対策」を客観的に証明できる書類がなければ、これほど早く許可はされなかっただろうと思います。
なお、個人的には依頼者様(申請人である中国人)の人柄も影響したのでは、と考えています。依頼者様は財布を拾ったら交番に届けるような人です。それを証明できる書類(以下の画像参照)が残っていたので、入国管理局に提出したことで、申請人の人柄が入国管理局の審査官に伝わったのでは、と思います。

初回相談から変更申請が許可されるまでの流れ
初回の無料相談(2025年7月5日)
このページの冒頭で書いた通り、技人国ビザで1年許可だったのに、1年間、まったく仕事をしていない状態だったので、最初にご相談いただいた際には、「不許可になって、母国に帰らなければならない可能性も十分あります」とお伝えしました。
また、相談いただいた日から在留期限(2025年7月28日)まで時間がなかったため、大至急で申請する必要がありました。

書類収集と作成(2025年7月7〜20日)
時間はありませんが、かといって単純に必要書類だけ提出しても不許可になる可能性が高いと考えましたので、依頼者様(申請人)と毎日にようにSNSやメールで連絡を取り合い、必要書類と追加資料、補足資料を大至急で揃えました。
技人国の更新申請書類をオンラインで提出(2025年7月20日)
1日も早く申請してほしい、という依頼者様の要望にお応えして、7月20日の日曜日にオンライン申請し、翌日の7月21日に申請受付になりました。
なお、就労ビザの更新申請の受付メール(以下画像参照)は、代理で申請する(申請取次をする)行政書士だけではなく、依頼者様も同時にメール受信できるように設定できます。このメールを見て、依頼者様にも安心してもらえました。(とはいえ、絶対に許可される保証はありません)

更新許可通知をメールで受信(2025年7月29日)
7月29日に、更新許可のメール(以下画像参照)が届きました。メール文章には許可されたとは書いていませんが、この内容であれば許可された、ということです。

在留カードを受け取り(2025年7月30日)
メールを受信した翌日に、私が代理で更新された在留カードを受け取りに行きました。代理人(申請取次資格を持っている行政書士)が受け取ることは可能ですが、受け取る際には、申請人本人が持っている現在の在留カードとパスポートを預かっておく必要があります。
また、オンライン申請の段階で「郵送での受取」を選択すれば、郵送で在留カードを受け取ることもできますが、今回は1日でも早く在留カードを受け取りたいという依頼者様の希望に沿って申請はオンライン、受取は窓口、という手続きにしました。

なお、新しい在留カードを受け取る際、更新申請の場合は5500円(オンライン申請の場合)の収入印紙を「手数料納付書」に貼り付けて、提出する必要があります。手数料については、出入国在留管理庁の公式ホームページで確認できます。
在留カードをお渡し
最後に、私が入国管理局で受け取った在留カードを直接、依頼者様(申請人)にお渡ししました。とても感謝していただきました。ビザ専門の行政書士になって良かったと思う瞬間の一つです(^^)

(FAQ)技人国ビザで転職した後の更新申請でよくある質問
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転職した外国人が技術・人文知識・国際業務ビザの更新を申請するときは、何に注意するべき?
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以下の点に特に注意が必要です。
- 新しい職務内容が技人国ビザに該当する活動か
- 大学や専門学校で学んだ専攻と業務内容の関連性があるか
- 継続的な契約であること(短期・単発では不可、契約社員はOK)
- 日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けているか
などに注意が必要です。
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転職した場合に「変更申請」は必要ですか?
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技人国ビザで就労する場合は「変更申請」は必要ありません。ただし、在留期間の期限が近い場合は変更申請ではなく更新申請をしましょう。また「所属機関に関する届出」を14日以内に行う必要があります。詳しくは、出入国在留管理庁の公式ホームページをご確認ください。
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転職後の業務が技人国ビザに該当しているのか分かりません、判断する方法は?
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事前に確認をしたい場合は、「就労資格証明書交付申請」を行うことで、転職先の会社での仕事が技人国ビザに該当するかを確認できます。詳しくは、以下のページで解説しています。
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新しい就職先での業務内容が技人国ビザに該当しない場合、更新は不許可になりますか?
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特に以下のような場合は技術・人文知識・国際業務ビザに該当しないと判断されて、更新申請が不許可になる可能性があります:
- 一般事務、販売、接客など「特段の知識や技術を要しない業務」が中心の仕事をしている場合
- 採用条件に「未経験可」などと書かれているような業務
- 学歴と業務内容との関連性があまりない職種
- 肉体労働が中心の仕事の場合
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学歴と、今の仕事の業務内容に関連がない場合は、どうなりますか?
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学歴(学んだ内容)と業務内容の関連性が不十分な場合は、不許可のリスクがあります。ただし、その仕事が国際的な業務でその実務経験(3年以上)、または、その仕事の実務経験が10年以上ある場合は、学歴がなくても技人国ビザで就労できます。詳しくは、以下のページで解説しています。
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転職後に提出すべき書類は何ですか?
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技人国ビザで転職した後に「更新申請」する場合は、以下の書類が必要書類、または追加書類として求められる場合があります。必要書類は、出入国在留管理庁公式ホームページでも確認できます。
- 雇用契約書
- 職務内容説明書
- 大学等の卒業証明書・成績証明書(専攻確認用)
- 新しい勤務先の会社概要書・登記事項証明書
- 源泉徴収票または納税証明書(納税状況の確認用)
- 届出履歴(契約機関の変更届など)
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技人国ビザの給料の要件について教えてください。
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外国人が受け取る報酬が「日本人と同等額以上」である必要があります。同じような仕事をしている日本人社員がいる場合、その人の給与と同じかそれ以上の給与額であることが必要、ということです。
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就労ビザの更新で、1年しか許可されないのはなぜ?
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- 職務内容が単純労働と疑われる
- 外国人本人の適格性に不備がある
- 過去に、適切な届出がされていない
- 就職している企業の雇用の安定性に懸念がある
- 就職している企業の経営状況や信用性に疑問がある
例えば、上記のような場合は、1年しか許可されないことが多いです。詳しくは、以下のページで解説しています。
最後に:プロの行政書士に就労ビザの更新申請を依頼するメリットは3つ
就労ビザの許可率アップ
ビザ専門の行政書士であれば、無職の期間が長い場合など更新申請に不安がある場合に、許可されるために何が必要なのかを理解しています。外国人の方が自分で申請する場合よりも、許可される確率を上げることができます。また、良心的な行政書士であれば、不許可になることが分かっている申請を受任することはありません。弊所の場合も、不許可になる可能性が高い場合は、他のビザに変更するなどをご提案しています。
※なお、当然ですが、不許可になるビザを、嘘をついて(虚偽申請をして)許可されるようにするサポートは一切お断りします。弊所では、誠実に、正直にビザ申請をして、長く日本で働き続けたいという外国人の方だけをサポートいたします。
スピードアップ
無駄なく、必要と思われる書類のみを用意し、申請書類を提出するまでの時間をできるだけ早くできます。無職の期間が長い場合に就労ビザの更新や変更をする場合、外国人の方も不安が多いと思います。1日でも早く申請書類を作成・収集し、不安な期間を1日でも短くすることができます。過去、ご相談いただいてから最短で1週間で申請した経験もあります。お急ぎの場合はお電話(092-407-5953)でご連絡ください。
審査期間を短縮
入国管理局から追加書類を求められると審査期間が長引きます。ビザ専門の行政書士であれば、「この問題を説明するためには、入国管理局からこの証明書類を求められるので、どの書類を準備するべきか」を知っています。事前に入国管理局の疑問に答えられる申請書類を準備することで、追加書類を求められる可能性をできるだけ低くすることで、審査期間を短縮できます。
また、申請書類を「分かりやすく整える」ことも重要です。申請書類はA4サイズ、片面印刷で提出するべきことは出入国在留管理庁のホームページに書いてありますが、「横向きの書類と、縦向きの書類を、どの方向に向けて統一するべきか」を知っている外国人の方は少ないでしょう。ビザ専門の行政書士はそこまで細かい部分にもこだわります。入国管理局の審査官も人間です。書類は分かりやすい方が良い、入国管理局の立場に立って書類を作ってくれる方が助かるに決まっていますし、その方が審査期間が短くなるに違いありません。
無職の期間が長いので不安、など、就労ビザが更新・変更できるかでお悩みの外国人の方は、まずはご相談ください。ビザ専門の行政書士として、最適なサポートとアドバイスをさせていただきます。

行政書士
河野
今回の解説は以上です。弊所のサービス内容や価格、手続きの流れ、許可の可能性診断につきまして無料相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。オンライン(ZOOM、LINE、WeChat、Teamsなど)での面談も対応しております。

国際行政書士 河野尋志プロフィール
企業の取締役として外国人の社員さんと一緒に国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。また行政書士業務を始めてからは、様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)
以下は、技術・人文知識・国際業務ビザなど就労ビザ申請に関する情報一覧です。気になる情報があれば是非ご覧ください。





















