【飲食店の就労ビザ】技人国、特活46号、特定技能「外食業」を比較|福岡の行政書士が解説

このブログでわかること
外国人材を飲食店で雇用する際、「どの在留資格を選べばいいのか分からない」というお悩みをかかえる採用担当者さんがいらっしゃるようです。本記事では、飲食店で外国人材を雇用できる就労ビザの中でも、お問い合わせが多い以下の3つの在留資格を比較し、それぞれの違い・活用例・注意点を丁寧に解説します。
- 技術・人文知識・国際業務ビザ
- 特定活動(46号)ビザ
- 特定技能(外食業)ビザ
- その他、飲食店で就労できるビザもピックアップ
行政書士として、審査官の視点も取り入れ、実務的に許可が得られやすいポイントもご紹介します。

行政書士
河野(かわの)
私は特に、福岡出入国在留管理局管内(福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)を中心にサポートを行っておりますので、この地域の方々はお気軽にご相談ください、初回ご相談は無料! オンラインでの面談、サポートにも対応しています。
- . 【飲食店で外国人が働くビザ】技人国、特定活動46号、特定技能「外食業」分野を比較!
- 1. はじめに:飲食業界における外国人材活用の現状
- 2. 技術・人文知識・国際業務ビザ:ホワイトカラー向けの就労ビザ
- 2.1.1. 概要
- 2.1.2. 飲食業界における実務適用のポイント
- 2.1.2.1. 1. メニュー開発・商品企画
- 2.1.2.2. 2. 多言語によるマーケティング・広報
- 2.1.2.3. 3. 店舗の海外展開・フランチャイズ管理
- 2.1.3. 審査上の注意点と不許可事例
- 2.1.3.1. 「学歴または職歴」と「業務内容」との関連性が重要
- 2.1.3.2. 契約書や職務説明書の明確化が必須
- 2.1.4. 飲食業界における適用可能な業務の例
- 2.1.5. 実務での許可取得のポイント
- 3. 特定活動46号:主に日本の留学生を対象とした柔軟な制度
- 3.1.1. 制度概要と法的根拠
- 3.1.2. 飲食業界での実務適用例
- 3.1.2.1. 1. 外国語接客+多言語メニュー管理
- 3.1.2.2. 2. 店舗企画運営補助+接客
- 3.1.2.3. 3. 社内の多文化人材コーディネーター
- 3.1.3. 審査上の注意点
- 3.1.3.1. 「接客業務だけ」は不許可
- 3.1.3.2. 業務内容の詳細な記載が必要
- 3.1.4. 申請の注意点
- 3.1.5. 飲食業での活用事例まとめ
- 3.1.6. 審査官視点での留意点
- 4. 特定技能(外食業):調理・接客が可能な実務向け制度
- 4.1.1. 制度の背景と目的
- 4.1.2. 在留資格「特定技能1号(外食業分野)」の要件
- 4.1.3. 外食業における従事可能な業務範囲
- 4.1.3.1. 1. 調理業務
- 4.1.3.2. 2. 接客業務
- 4.1.3.3. 3. 清掃・片付け
- 4.1.3.4. 4. 店舗運営業務の補助
- 4.1.4. 雇用上の注意点と法的制限
- 4.1.5. 登録支援機関とは
- 4.1.6. 飲食業における実務での導入事例
- 4.1.7. 審査・申請の注意点
- 4.1.8. 外食業における特定技能「1号」人材活用のメリットと限界
- 4.1.9. 審査官視点でのアドバイス
- 5. 3つの在留資格の比較表と詳細解説
- 5.1.1. 解説:制度ごとの特徴と選定の目安
- 5.1.1.1. 技術・人文知識・国際業務
- 5.1.1.2. 特定活動46号
- 5.1.1.3. 特定技能(外食業)
- 5.1.2. 審査官視点での制度選定アドバイス
- 6. その他の在留資格:飲食業での就労が可能なケース
- 6.1.1. 【就労ビザ】その他の在留資格
- 6.1.1.1. 1. 技能(外国料理の料理人等)
- 6.1.1.2. 2. 留学(資格外活動許可によるアルバイト)
- 6.1.1.3. 3. 家族滞在(資格外活動許可によるアルバイト)
- 6.1.2. 【居住ビザ】に基づく自由就労可能な在留資格
- 6.1.2.1. 1. 永住者
- 6.1.2.2. 2. 日本人の配偶者等
- 6.1.2.3. 3. 永住者の配偶者等
- 6.1.2.4. 4. 定住者
- 6.1.3. 比較表:飲食業におけるその他の在留資格
- 6.1.4. 実務上のアドバイス
- 7. よくある質問(FAQ)
- 8. 行政書士に依頼するメリット
- 8.1.1. 1. 最適な在留資格の「選定支援」
- 8.1.2. 2. 書類の作成・補足資料の構成力
- 8.1.3. 3. 入管法令・審査要領に基づいた申請戦略の策定
- 8.1.4. 4. 不許可リスクの低減
- 8.1.5. 5. 企業の労務体制・就業規則との整合性チェック
- 8.1.6. 6. 更新・変更・在留管理の長期的サポート
- 8.1.7. 結論:専門家の支援が、許可の可否を大きく左右します
- 9. まとめ:飲食店で外国人を雇用するための在留資格選びの要点
- 9.1.1. 各在留資格の特徴まとめ
- 9.1.2. 入国管理局の審査官の視点を理解することが鍵
- 9.1.3. 行政書士の専門支援を活用するメリット
- 9.1.4. 最後に:貴社の雇用戦略を成功に導くために
【飲食店で外国人が働くビザ】技人国、特定活動46号、特定技能「外食業」分野を比較!
はじめに:飲食業界における外国人材活用の現状
少子高齢化が進む日本では、外食業界でも慢性的な人手不足が課題となっており、外国人材の活用が注目されています。とはいえ、「飲食店で働けるビザ」はひとつではなく、それぞれ要件や条件が異なるため、雇用主と外国人材の要望に沿った就労ビザを選ぶことで、より働きやすい就労環境を作ることができます。
「就労ビザとは」については、以下のページで解説しています。
技術・人文知識・国際業務ビザ:ホワイトカラー向けの就労ビザ
概要
技術・人文知識・国際業務(技人国、ぎじんこく)の在留資格は、簡単に書くと、理系、文系、国際業務(通訳・翻訳・海外取引など)のホワイトカラー系の業務に従事する外国人に付与される在留資格です。原則として大卒・専門卒または10年以上(国際業務は3年以上)の実務経験を有し、「単純作業」に該当しない職務での雇用が条件です。
飲食業界における実務適用のポイント
飲食業は「現場=単純労働」というイメージが強いため、この在留資格での雇用は制限されがちですが、次のようなホワイトカラー業務が主たる職務であれば認められる可能性があります。
1. メニュー開発・商品企画
外国料理店や多国籍レストランで、母国の知識を活かした新メニュー開発や、味の調整、季節ごとの商品提案など、「調理」ではなく「企画」としての業務に従事する場合は認められる可能性があります。
例:ベトナム料理チェーン店の本部で、ベトナム出身者が文化・食習慣を踏まえた新商品を企画する業務
2. 多言語によるマーケティング・広報
英語、中国語、ベトナム語などのSNSを活用した情報発信や、観光客向けのメニュー翻訳、訪日外国人へのキャンペーン設計などは、「国際業務」として認定される可能性があります。
例:インバウンド対応部門の立ち上げ、Webサイトの多言語運用担当
3. 店舗の海外展開・フランチャイズ管理
外国出身者が自国の市場に精通しており、現地とのやり取りやフランチャイズ展開の準備に従事する場合は、「貿易・海外業務」などに該当する可能性があります。
審査上の注意点と不許可事例
「学歴または職歴」と「業務内容」との関連性が重要
技術・人文知識・国際業務ビザで就労するためには、「学歴・職歴」と「業務内容」との関連性が求められます。例えば、「外国語が話せるからホールスタッフとして雇いたい」「外国人客が多いから接客を任せたい」という理由で申請した場合、それが単純労働(接客)中心と判断されると不許可になる可能性が高くなります。
「学歴・職歴」と「業務内容」との関連性については、以下の短時間の動画でも解説しています。
契約書や職務説明書の明確化が必須
入国管理局による審査では、職務内容が申請要件に該当するかを細かく確認されます。その対策のために、以下のような資料を準備することが重要です。
- 具体的な職務内容を記載した職務説明書
- 部署の構成や上司との関係図を示した組織図
- 専門性の裏付けとなる学歴証明書・業務関連証明書
など
飲食業界における適用可能な業務の例
職務内容 | 在留資格該当性 | 補足 |
---|---|---|
調理補助 | × 不可 | 単純労働と見なされる |
メニュー企画・商品開発 | ○ 可 | 学術的知識や文化理解が必要 |
接客(配膳など) | × 不可 | 単純労働 |
接客指導(マニュアル作成、教育) | △ 条件付きで可 | 教育と管理業務が主なら可能性あり |
SNS広報(多言語対応) | ○ 可 | 国際業務として該当可能 |
技術・人文知識・国際業務ビザの許可・不許可事例について詳しくは、以下のページで解説しています。
実務での許可取得のポイント
- 業務が単純労働にならないように設計・分離する
- 学歴と職務内容の関連性を明確に示す
- 就労ビザで従事する内容を、文書と面接で一貫性を持たせる
技術・人文知識・国際業務の申請について更に詳しくは、以下のページで解説しています。

行政書士
河野(かわの)
「学歴または職歴」と「業務内容」との関連性が重要なので、学歴または職歴、業務内容を書類で証明する必要があります。証明が不十分だと、追加書類の提出が求められて審査に時間がかかるだけでなく、最悪、不許可になります。
特定活動46号:主に日本の留学生を対象とした柔軟な制度
制度概要と法的根拠
「特定活動46号」とは、日本の大学・大学院・短大・一部の専門学校などを卒業した外国人に対し、技術・人文知識・国際業務ビザで許可されるホワイトカラー系の業務に加えて、接客などの単純労働に従事することを認めた在留資格(ビザ)です。
この制度の特徴は、「接客などの業務」も他の高度業務と組み合わせる形であれば就労できる、という点です。「技術・人文知識・国際業務」では認められなかった飲食業で外国人が就労するために、実務的な道を開いた制度といえます。
飲食業界での実務適用例
1. 外国語接客+多言語メニュー管理
インバウンド客(外国人旅行客)対応として、外国人観光客への対応を主とした接客業務を行いつつ、外国語でのメニュー翻訳や、SNS・ウェブサイトでの広報業務も担う場合、「接客+翻訳・広報」の業務内容として特定活動46号が許可される可能性があります。
2. 店舗企画運営補助+接客
新メニューの開発サポート、顧客アンケートの分析、サービス改善提案、外国人スタッフの教育などを担いながら、店舗業務にも一部従事する場合は、「企画・教育+現場業務」として、特定活動46号の範囲に入ります。
例:中国人卒業者が、中国人向けのマーケティング企画や店舗サービス改善を行うと同時に、必要に応じて接客も行う
3. 社内の多文化人材コーディネーター
外国人アルバイトの労務管理補助や教育を担う役割で、文化・言語の違いを理解した上で社内の多国籍人材マネジメントに従事するポジションも、特定活動46号の「その他業務」として評価される可能性があります。
審査上の注意点
「接客業務だけ」は不許可
接客のみを主たる業務とする場合は、特定活動46号では認められません。主たる業務が「翻訳・通訳・広報・企画・その他」であり、接客が「付随的業務」としてある構成が必要です。
業務内容の詳細な記載が必要
申請にあたっては、以下の書類をしっかり作ること、許可される可能性が高まります。
- 職務説明書:業務全体に占める接客業務の割合が過半数を超えないよう記載
- 組織図と業務フロー:当人が担う高度業務の位置付けを明示
- 時間配分表:例として、「翻訳・広報等が週25時間、接客が週15時間」などと具体的に示す
申請の注意点
項目 | 解説 |
---|---|
対象者 | ●日本の大学(学士以上)卒業・修了 ●大学院を卒業・修了 ●短期大学や高等専門学校を卒業し(専門職大学の前期課程の場合は修了)学士の学位を取得した人 ●文部科学大臣が認定した専門学校を卒業し、「高度専門士」の資格を取得した人 ※外国の大学や大学院を卒業した方は対象外 ※認定されていない専修学校(例:日本語学校等)を修了した方は対象外 |
雇用形態 | 正社員が原則(パート・アルバイトは不可) |
使用言語 | 業務において卒業した言語(例:日本語)以外の言語が使用されることが望ましい |
給与水準 | 日本人社員と同等以上 |
飲食業での活用事例まとめ
活用例 | 主な業務 | 該当性 |
---|---|---|
英語対応スタッフ | 英語での接客、メニュー翻訳、英語SNS | 〇 該当 |
店舗企画担当者 | 新規企画、顧客分析、接客補助 | 〇 該当 |
単なるホールスタッフ | 接客のみ | × 不可 |
多国籍スタッフの教育係 | 翻訳・指導・教育 | 〇 該当 |
審査官視点での留意点
- 「業務内容の明確化」が最も重要なポイント
- 「翻訳・企画等の要素」が不明確な場合、接客中心と判断され不許可となる
- 採用理由書や指導体制説明書の作成で「教育・育成を担う立場」であることを補強すると効果的
特定技能「外食業」で外国人材を採用するために必要な申請書類については、以下のページで解説しています。

行政書士
河野(かわの)
特定活動46号は、「接客などの比較的単純な業務」にも対応できるため、飲食店での活用できる場合が多いのではないでしょうか。
特定技能(外食業):調理・接客が可能な実務向け制度
制度の背景と目的
「特定技能」は、2019年4月に創設された新たな在留資格制度で、一定の技能水準と日本語能力を有する外国人が、即戦力として就労できるようにすることを目的としています。
特定技能ビザ(1号)に16分野ある中で、「外食業分野」は外食業界の深刻な人手不足を背景に設定されたされました。調理、接客、清掃、店舗管理の補助といった、飲食店の現場での業務全般に従事できる制度です。
「特定技能ビザ」について詳しくは、以下のページで解説しています。
在留資格「特定技能1号(外食業分野)」の要件
要件 | 内容 |
---|---|
年齢制限 | 18歳以上が前提(日本、母国、両方で成人であること) |
学歴 | 不問 |
日本語能力 | 日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト合格 |
技能水準 | 外食業技能測定試験(外食業特定技能1号評価試験)合格 |
支援体制 | 受入企業は「登録支援機関」か、社内に同等の支援体制を整備する必要あり |
外食業における従事可能な業務範囲
以下のような業務が「特定技能(外食業)」で認められている業務に該当します。
1. 調理業務
- 食材の仕込み、加熱調理、非加熱調理、調味、盛付け、飲食料品の調製など
- 寿司、ラーメン、カレー、ファストフード等、あらゆる飲食ジャンルが対象
2. 接客業務
- 席への案内、メニュー提案、注文伺い、配膳、下膳、カトラリーセッティング、代金受取り、商品セッティング、商品の受渡し、食器・容器等の回収、予約受付、客席のセッティング、苦情等への対応、給食事業所における提供先との連絡・調整など
3. 清掃・片付け
- 店内や厨房の清掃、ゴミ処理、洗い物等
4. 店舗運営業務の補助
- 店舗内の衛生管理全般、求人・雇用に関する事務、従業員の指導・研修に関する事務、予約客情報・顧客情報の管理、レジ・券売機管理、会計事務管理、社内本部・取引事業者・行政等との連絡調整、各種機器・設備のメンテナンス、食材・消耗品・備品の補充、発注、検品又は数量管理、メニューの企画・開発、メニューブック・POP 広告等の作成、宣伝・広告の企画、店舗内外・全体の環境整備、店内オペレーションの改善、作業マニュアルの作成・改訂等
雇用上の注意点と法的制限
項目 | 内容 |
---|---|
雇用形態 | フルタイムの直接雇用(派遣不可) |
雇用期間 | ●「特定技能1号」の場合は、1年更新、通算5年まで ●「特定技能2号」の場合は、実質無期限 |
家族(配偶者、子供)の呼び寄せ | ●「特定技能1号」の場合は、家族の呼び寄せ不可 ●「特定技能2号」は、家族の呼び寄せ可能 |
雇用主の義務 | 外国人支援計画の作成、支援内容の履行報告など多くの支援が義務づけられる |
登録支援機関とは
受け入れ企業が外国人の生活・労働支援を自社で行えない場合、登録支援機関に支援を委託する必要があります。支援内容(一部)は以下の通りです。
- 生活オリエンテーション(銀行口座の開設、生活マナーなど)
- 住居・携帯電話契約支援
- 日本語学習支援
- 定期的な面談の実施と記録
- トラブル時の通訳対応
など
特定技能ビザを持つ外国人材への支援は任意ではなく、制度上の義務です。外部の「登録支援機関」に依頼、もしくは特定技能外国人材の受入機関(企業)が自社内で同等の支援体制をもつ必要があります。
登録支援機関について更に詳しくは、以下のページで解説しています。
飲食業における実務での導入事例
店舗業態 | 活用内容 | コメント |
---|---|---|
ラーメン店(都市部) | 調理・厨房業務全般 | 労働力確保が困難な深夜帯の人材として活躍 |
ファストフードチェーン | レジ・接客対応 | 多言語対応スタッフとしてインバウンド客にも対応 |
定食屋(地方) | 店舗全体の補助業務 | 地方の慢性的な人材不足の解消に寄与 |
審査・申請の注意点
- 技能評価試験および日本語試験合格証明が必須
- 受入れ企業側のコンプライアンスチェック(過去の労働基準違反など)も審査対象
- 支援計画書の不備や未実施は不許可・更新拒否のリスクとなる
外食業における特定技能「1号」人材活用のメリットと限界
メリット(特定技能1号人材の場合) | 限界(特定技能1号人材の場合) |
---|---|
即戦力の確保 | 在留は最大5年まで |
単純労働にも従事可能 | 家族帯同不可 |
学歴・経験不問で幅広い人材が対象 | 雇用主の支援義務が重い |
審査官視点でのアドバイス
- 特定技能の導入は「支援体制の整備」が成否の鍵
- 面接時や書面での業務内容と支援内容の整合性確認が重点ポイント
- 外国人本人が「理解していない」場合も不許可となる事例があるため、教育体制の可視化が重要
特定活動46号について更に詳しくは、以下のページで解説しています。

行政書士
河野(かわの)
飲食業の人手不足を補うために特定技能ビザを持つ外国人材は貴重な存在ですが、義務的支援を行う必要があるため、雇用する企業側の負担も少なくはありません。特定技能人材を採用する場合は、周到な人材計画と教育システムが必要です。
3つの在留資格の比較表と詳細解説
比較項目 | 技術・人文知識・国際業務 | 特定活動46号 | 特定技能(外食業) |
---|---|---|---|
主な対象業務 | ホワイトカラー職(企画、広報、通訳、店舗運営管理など) | 日本で教育を受けた外国人材による接客+翻訳・広報・企画等の業務 | 調理、接客、清掃、店舗補助などの現場業務 |
学歴要件 | 大学・専門学校卒(例外として10年・3年以上の実務経験) | 日本の大学・大学院などの卒業が必須 | 不問 |
技能試験要件 | なし | なし | 外食業技能測定試験合格 |
日本語能力要件 | 業務に応じた日本語力(面接・審査で実質的に求められる) | 日本語能力試験N1相当以上が必要 | 日本語能力試験N4以上が必須(業務遂行に必要) |
就労可能な業務内容の幅 | 限定的(単純労働不可) | 柔軟(翻訳・企画等に加えて、接客等も可能) | 広範(単純労働含む現場業務が可能) |
在留期間 | 最長5年(実質無期限) | 最長5年(実質無期限) | ・特定技能1号の場合は最長5年 ・特定技能2号の場合は実質無期限 |
家族の呼び寄せ | 可能(条件あり) | 可能(条件あり) | ・特定技能1号の場合は不可 ・特定技能2号の可能 |
永住・帰化の可能性 | あり(永住要件を満たせば) | あり(永住要件を満たせば) | ・特定技能1号は不可 ・特定技能2号はあり |
雇用形態 | 正社員・契約社員など | 原則として正社員 | フルタイム・直接雇用が必須(一部の分野を除いて派遣不可) |
企業側の義務 | 特別な支援義務なし | 特別な支援義務なし | 支援計画の策定・実施義務、報告義務あり |
審査で重視される点 | 業務内容が単純労働でないか、学歴・職歴と業務内容との関連性が必要 | 接客業務が主でないこと、翻訳・企画等との一貫性 | 技能試験・支援体制・就業内容の正確な一致 |
解説:制度ごとの特徴と選定の目安
技術・人文知識・国際業務
- 対象業務がホワイトカラーに限定されるため、調理・接客が業務に含まれている場合は許可されません。
- 外国語広報、海外展開企画など、学歴・職歴と業務内容の関連性が重視されます。
- 永住申請において有利な制度です。
特定活動46号
- 日本の大学などの卒業者に限られますが、比較的柔軟な制度設計が特徴です。
- 接客を含めた業務も認められますが、「翻訳・企画・広報等」が主である必要があります。
- 説明書類の整合性が不備だと、接客中心とみなされ不許可になるケースがあります。
特定技能(外食業)
- 唯一、単純労働が認められる制度です。厨房・ホールスタッフの即戦力として活用可能です。
- 試験合格と支援体制が審査上の最重要ポイントです。
- 特定技能1号では家族帯同や永住への道がないため、長期雇用するためには特定技能2号へのキャリアップを、企業として支援することが求められます。
審査官視点での制度選定アドバイス
- 技能・実務の人材を求める飲食店には「特定技能(外食業)」が最適
- 店舗運営や外国人顧客への対応を兼ねた多機能人材には「特定活動46号」
- 海外戦略や多言語広報を専門とする高学歴人材には「技術・人文知識・国際業務」

行政書士
河野(かわの)
ご不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。初回ご相談無料、オンラインでもOKです!
その他の在留資格:飲食業での就労が可能なケース
飲食店で外国人を雇用する際、よく話題になるのは「技術・人文知識・国際業務」「特定活動46号」「特定技能(外食業)」の3種類ですが、これら以外にも、飲食業での就労が可能な在留資格があります。制度ごとの制限や就労可能範囲を理解しておくことが重要です。
【就労ビザ】その他の在留資格
1. 技能(外国料理の料理人等)
- 概要:専門的な技能を要する職種に従事する在留資格。飲食業では「外国料理の調理人」が該当します。
- 要件:原則として10年以上の実務経験(学歴を含む)を有していること。例えば、インド料理、フランス料理など専門性が高い料理が対象です。タイ料理の場合は実務経験5年で許可される可能性があります。
- 注意点:単なる日本食や洋食、居酒屋などでは該当しないことが多いです。調理内容や経歴との整合性を厳しく審査されます。
2. 留学(資格外活動許可によるアルバイト)
- 概要:留学生が学業の傍ら、アルバイトとして就労できる制度です。
- 条件:
- 資格外活動許可の取得が必須
- 週28時間以内(長期休暇中は週40時間)
- 注意点:雇用主は必ず在留カードで資格外活動許可の有無を確認しましょう。オーバーワークによる不法就労助長罪のリスクがあります。
3. 家族滞在(資格外活動許可によるアルバイト)
- 概要:就労ビザを持つ配偶者が母国から家族(配偶者、子供)を日本に呼び寄せて、日本で生活するために取得する在留資格(ビザ)。本人は原則就労不可ですが、資格外活動許可を受けることで、一定の範囲内でアルバイト可能です。
- 条件:留学生と同様、週28時間以内の制限あり。
- 注意点:在留資格の本来の目的(扶養・生活補助)が中心であることが前提です。
【居住ビザ】に基づく自由就労可能な在留資格
居住系ビザは、活動内容に制限がなく、日本人と同様に自由な就労が可能です。飲食業でも、正社員・アルバイト・経営などあらゆる形態での就労が認められます。
1. 永住者
- 特徴:日本での居住が永続的に認められ、就労制限がありません。
- 雇用上の利点:在留期限の更新が不要であり、安定した人材として長期雇用が可能。
2. 日本人の配偶者等
- 特徴:日本人の配偶者や子どもが対象。就労制限はなく、飲食業を含めたあらゆる職に就けます。
3. 永住者の配偶者等
- 特徴:永住者の配偶者や実子が対象。就労は自由です。
4. 定住者
- 特徴:日系人や、離婚した日本人配偶者の子など、法務大臣が特別に指定した者。就労に制限がなく、飲食業でも自由に働けます。
比較表:飲食業におけるその他の在留資格
在留資格 | 就労範囲 | 雇用形態 | 在留期限 | 就労制限 |
---|---|---|---|---|
技能 | 特定の外国料理のみ | 正社員 | 更新制 | 有 |
留学(資格外活動) | アルバイトのみ | パート | 更新制 | 原則、週28時間まで |
家族滞在(資格外活動) | アルバイトのみ | パート | 更新制 | 週28時間まで |
永住者 | 制限なし | 自由 | 無期限 | 無 |
日本人の配偶者等 | 制限なし | 自由 | 更新制 | 無 |
永住者の配偶者等 | 制限なし | 自由 | 更新制 | 無 |
定住者 | 制限なし | 自由 | 更新制 | 無 |
実務上のアドバイス
- 「資格外活動」での雇用は、就労時間と資格の確認を必ず行うこと。
- 「技能」で外国料理人を雇う際は、料理の専門性や実務経験の証明書を詳細に用意する必要があります。
- 「居住ビザ」を持つ方は就労制限がなく、即戦力としての雇用がスムーズです。

行政書士
河野(かわの)
このように、飲食業に従事できる在留資格は多岐にわたり、本人の在留資格の内容と、企業が求める業務内容が合致しているかの確認が極めて重要です。適切な確認と申請支援が必要な場合は、お気軽にご相談ください!
よくある質問(FAQ)
-
ホールスタッフとして外国人を雇いたいのですが、どの在留資格なら可能ですか?
-
単純なホール業務(接客、配膳等)のみを行わせたい場合は「特定技能(外食業)」が唯一の選択肢です。
「技術・人文知識・国際業務」や「特定活動46号」では、接客のみを主たる業務とすることはできません。接客業務を含める場合は、「翻訳」「広報」「企画」等と併せた業務設計が必要です。
-
特定技能の外国人をアルバイトとして雇えますか?
-
特定技能ではフルタイム(週40時間相当)の直接雇用が義務です。アルバイトやパートは不可です。
また、外食業分野では派遣労働も禁止されており、必ず自社との直接契約であることが必要です。
-
「特定活動46号」の外国人に、ランチのピーク時だけ接客させても問題ないですか?
-
可能ですが、接客が全体業務の中心になってはいけません。あくまで「翻訳・通訳・広報・企画等の業務」が主であり、接客は補助的業務であることを業務説明書等で明確にしてください。時間配分や担当業務の記録を残すことも推奨されます。
-
厨房補助として外国人を雇いたいのですが、どのビザになりますか?
-
「特定技能(外食業)」が該当します。厨房での仕込み、盛り付け、清掃などの業務は単純作業と見なされるため、「技術・人文知識・国際業務」や「特定活動46号」では許可されません。
-
特定技能外国人に日本語があまり話せない人がいます。大丈夫でしょうか?
-
最低限の会話能力(N4相当)が必要です。また、受け入れ企業としても、業務指示が伝わる環境整備(通訳や指導体制)が求められます。登録支援機関や多言語マニュアルの整備も実務上のポイントです。
-
留学生を卒業後に飲食店で雇用したいのですが、特定活動46号は申請できますか?
-
日本の大学・大学院・短大・一部の専門学校を卒業していれば、申請可能です。詳しくはお問い合わせください。
-
技能実習から特定技能への変更は可能ですか?
-
可能です。ただし、飲食業分野では現在、技能実習制度との直接連携がないため、別途、外食業技能測定試験と日本語試験に合格する必要があります。
-
外国人本人が希望している職種と、企業側の業務内容が一致していない場合どうなりますか?
-
申請が不許可となる可能性が高いです。業務内容・職務内容・本人の希望・経歴との整合性が申請の成否に大きく影響します。事前に十分な説明と役割設計を行いましょう。
-
特定技能で働く外国人を、将来的に「技術・人文知識・国際業務」に変更できますか?
-
可能ですが、変更後の業務内容が「ホワイトカラー業務」であり、学歴・職歴と業務内容との関連性がある必要があります。たとえば、調理補助から商品開発担当へキャリアチェンジする場合などが該当します。
行政書士に依頼するメリット
飲食業における外国人雇用は、在留資格の選定から書類の作成、面接対応に至るまで、在留資格(ビザ)についての知識と実務的判断が求められます。以下のような観点から、専門の行政書士に依頼することで多くのメリットがあります。
1. 最適な在留資格の「選定支援」
自社の事業内容、外国人本人の学歴・職歴を踏まえた最適な在留資格の選定を行います。
- 「接客+翻訳」業務に適するのは特定活動46号か?
- 「調理補助」に該当するのは特定技能か?
- 「広報+管理業務」であれば技術・人文知識が適切か?
これらを誤ると、申請しても不許可になるリスクが高くなります。
2. 書類の作成・補足資料の構成力
審査官が重視するポイントを意識しながら、以下の書類を「読みやすく、説得力のある構成」で作成します。
- 職務内容説明書
- 雇用理由書
- 組織図・業務フロー図
- 支援計画書(特定技能用)
- 時間配分表・職務割合表(特定活動46号用)
行政書士は、これらの書類構成ノウハウを蓄積しているため、審査での印象を大きく左右します。
3. 入管法令・審査要領に基づいた申請戦略の策定
- 入管審査要領や告示の最新改正を確認しています
- 「不許可になりやすいパターン」を知っています
- 事前相談でのヒアリング内容をもとに、「リスクのある記述」を修正・補強できます
つまり、「申請すれば通る」ではなく、「どうすれば許可されるか」を設計する専門家です。
4. 不許可リスクの低減
外国人の雇用に失敗すると、以下のような影響が出ます。
- 申請費用と時間の無駄
- 労務計画の遅延
- 本人のモチベーション低下
- SNS等での評判悪化
行政書士がサポートすることで、これらのリスクを最小限に抑える申請ができます。
5. 企業の労務体制・就業規則との整合性チェック
外国人雇用に関して、以下の点も併せて確認・助言いたします。
- 雇用契約書の文言が在留資格と一致しているか
- 労働条件通知書に問題がないか
- 支援体制(特定技能)の実効性があるか
- 適切な社会保険・税務対応がなされているか
入管法以外の法的トラブルも未然に防止できる可能性があります。
6. 更新・変更・在留管理の長期的サポート
- 在留資格更新時のポイント
- 特定技能から他資格(技術・人文など)への変更戦略
- 永住・定住の道筋と在留期間の管理
行政書士は、単発の申請ではなく、外国人社員のライフプランに合わせた長期的な法的支援が可能です。
結論:専門家の支援が、許可の可否を大きく左右します
飲食業の外国人雇用は、正しくやれば戦力になりますが、誤ればリスクにもなります。行政書士として、貴社と外国人双方が安心して長期雇用を実現できるよう、法令・審査要領に基づく最適なサポートをご提供いたします。

行政書士
河野(かわの)
ご不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。初回ご相談無料、オンラインでもOKです!
まとめ:飲食店で外国人を雇用するための在留資格選びの要点
飲食業界では、人手不足の深刻化を背景に、外国人材の活用が経営の安定・成長に直結する重要な戦略となっています。しかし、在留資格の選定や申請手続きには多くの制約と注意点があり、誤った選択は不許可やトラブルの原因になります。
本記事では、飲食店での就労を想定してよく使われる3つの在留資格について、制度の趣旨、適用可能な業務内容、実務でのポイントを徹底比較しました。
各在留資格の特徴まとめ
在留資格 | 適する業務 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
技術・人文知識・国際業務 | 店舗企画、広報、海外展開、メニュー開発など | 高度業務に対応、永住申請可能 | 単純労働は不可、業務内容との整合性が重要 |
特定活動46号 | 接客を含む翻訳・広報・企画等 | 基本は日本で教育を受けた外国人が対象、柔軟な制度設計 | 接客中心の場合は不許可 |
特定技能(外食業) | 調理、接客、清掃、現場全般 | 現場即戦力として活用、学歴不要 | 在留期間制限、家族帯同不可、支援義務あり |
入国管理局の審査官の視点を理解することが鍵
在留資格の審査では、形式的な書類の整合性だけでなく、「業務内容が制度の趣旨に適しているか」「本人の経歴と合致しているか」「企業に支援体制があるか」といった実質的な判断がなされます。
つまり、制度を正しく理解し、合理的な説明ができるかどうかが「許可」と「不許可」を分ける最大のポイントです。
行政書士の専門支援を活用するメリット
外国人雇用の法的リスクを防ぎつつ、必要な人材を的確に受け入れるためには、入管法・審査要領・実務の知見に基づくサポートをご提供できます。
行政書士に依頼することで:
- 不許可リスクを事前に洗い出して排除できる
- 審査官に伝わる書類をプロの視点で作成できる
- 在留資格の更新・変更・永住申請まで長期的にサポートできる
といった、実務で結果につながる支援が可能となります。
最後に:貴社の雇用戦略を成功に導くために
制度の選定を誤れば、せっかくの採用が水の泡となるばかりか、本人にも損害を与えることになりかねません。だからこそ、申請前の制度選定から書類の整備、審査対策まで一貫して専門家に任せることが、外国人材活用の最短ルートです。
外国人雇用をご検討中の企業様、または就労希望の外国人の方は、ぜひお気軽にご相談ください。行政書士として、貴社の実情に合わせた最適な提案と、許可取得に向けた確実なサポートをお約束します。

行政書士
河野
弊所のサービス内容や価格、手続きの流れ、許可の可能性診断につきまして無料相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。オンライン(ZOOM、LINE、WeChat、Teamsなど)での面談も対応しております。

国際行政書士 河野尋志プロフィール
企業の取締役として外国人の社員さんと一緒に国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。また行政書士業務を始めてからは、様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)
以下は、就労ビザ申請に関する情報一覧です。気になる情報があれば是非ご覧ください。