
はじめに:この記事で分かること
日本に住む外国人にとって重要な「国民健康保険(国保)制度」と、2027年度から始まる予定の新たな在留審査制度の動向について、以下の点を中心に解説します。
- 国民健康保険とは?
- 外国人の納付率が低い理由
- 滞納が在留資格の更新に影響する可能性
- 企業の責任と新制度の影響
- どう対応すべきか?実務的アドバイス
情報出典:日本経済新聞2025年6月9日記事
国民健康保険(国保)とは?
国民健康保険(略して「国保」)は、日本の公的医療保険制度の一つです。主に以下のような人が加入しています。
- 自営業者
- 無職の人
- 学生
- ほか日本に中長期で住む外国人(留学生など)

河野
(かわの)
病院やクリニックで診察を受ける際、医療費の自己負担が3割で済むのは、この制度により医療費の一部を公費がカバーしているからです。
外国人の納付率はたったの63%?
政府の調査によると、外国人の国保納付率は2024年末時点で63%。これは、全体(日本人を含めた)の納付率93%と比べて約30ポイントも低い状況です。
つまり、10人中4人近くが保険料を払っていないという深刻な課題があり、政府もこの問題を重く見ています。

在留資格審査に滞納情報が反映される?
現在、厚生労働省と出入国在留管理庁(入管)の情報は別々に管理されており、滞納情報は在留審査には使用されていません。しかし、2026年度にシステムを改修し、2027年度(2027年4月)からは滞納状況が在留資格の更新・変更審査に反映される方針です。
政府は、以下のスケジュールで制度改革を進める方針です。
年度 | 改革内容 |
---|---|
2026年度(2026年4月から) | 国保システム改修、情報連携の準備 |
2027年度(2027年4月から) | 滞納情報を在留資格審査に反映開始予定 |

河野
(かわの)
具体的には、国保の納付状況を在留資格更新・変更の判断材料に用いるという厳格な措置です。これは、過去にないほど厳しい確認方法であり、保険料を滞納していると在留資格の更新が認められない可能性があります。
「情報連携」によるチェック体制の強化
これまで多くの自治体では、外国人の在留資格や国籍すら正確に把握できていないケースもありました。今回のシステム改修では以下が実現されます。
- 国保データと在留資格情報の連携
- 全国の市区町村で統一された情報管理
- 滞納者の情報が自動的に入管に通知される仕組み

河野
(かわの)
上記のチェック体制により、これまで、「見逃されていた滞納」が明るみに出るようになります。
雇用主にも新たな責任が生まれる?
外国人労働者を雇用する企業、特に特定技能や今後導入される育成就労ビザの対象者については、雇用主が従業員の保険料納付を管理・支援する責任が求められる方向で検討が進んでいます。
つまり、企業も「保険料を払っていないと在留資格更新ができない」という状況を避けるために、社員の国保加入・納付状況を確認する必要が出てきます。
行政のデジタル化で手続きも効率化へ
デジタル庁が推進する「公共サービスメッシュ」構想により、こうした手続きもオンラインで一元管理される方向に進んでいます。これにより、企業の人事・総務業務もより効率的になることが期待されています。
外国人の皆さんへ|今からできる対策は?
1. 保険料は毎月必ず納める
今後は「滞納=在留資格更新NG」のリスクが高まります。銀行口座引き落としなどの方法で、納め忘れを防ぎましょう。
2. 市区町村に問い合わせる
加入状況や未納がないか確認し、不明点はすぐに役所の窓口で確認を。通訳が必要な場合も対応してくれる自治体が増えています。
3. 行政書士に相談する
在留資格の更新や国保納付のトラブルは、専門家に相談することでスムーズな対応が可能です。専門の行政書士がサポートいたします。
よくある質問(FAQ)
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保険料を一度でも滞納すると、すぐに更新できなくなりますか?
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現時点ではそうとは限りません。ただし、今後は滞納期間や金額が審査対象になる可能性があるため、早めに納付・相談することが重要です。
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支払いが難しい場合、どうすればいいですか?
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各自治体には「減免制度」や「分割納付」の仕組みがあります。役所で申請できます。
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自分が国保に加入しているか分かりません。
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通常、市区町村から保険証が交付されています。お手元にあるか確認し、不明な場合は役所へ。
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国民健康保険を滞納していると、永住申請に影響しますか?
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永住申請に影響する可能性は十分あります。健康保険の未納について詳しくは、以下のページで解説しています。
まとめ|国保の納付は「義務」、ビザ更新にも影響!
日本に住む外国人にとって、国民健康保険は安心して医療を受けるための重要な制度です。しかし今後は、「きちんと払っているかどうか」が、在留資格の更新にまで影響する可能性があります。
納付の習慣を身につけ、将来のトラブルを未然に防ぎましょう。不安な方は、行政書士までお気軽にご相談ください。

河野(かわの)
今回の解説は以上です。弊所ではビザ申請を丁寧に!早く!手続き致します。ご不明点があればお気軽にご相談ください。初回ご相談は無料!
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投稿者プロフィール

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外国人の社員さん達と一緒に企業の取締役として国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。行政書士業務を始めてからは様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)