特定技能1号[就労ルート]フィリピン篇(2024年6月〜12月統計)|就労ビザ専門の福岡の行政書士が集計

この記事では、以下の出入国在留管理庁が提供している最新データ(速報値)をもとに、特定技能1号「フィリピン人材」の分野別・就労ルート別の増加状況(2024年6月末から12月末の半年間)を独自に集計してお伝え致します。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00215.html

行政書士
河野尋志
私が主に対応している福岡出入国在留管理局の管轄地域(福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)でも、フィリピン人材をはじめとする特定技能外国人の受け入れが年々増加しています。外国人材採用を検討中の企業様、人手不足対策として外国人材の活用をお考えの皆さまにとって、有益な最新情報をお届けします。
特定技能1号|総数3位、増加数4位の「フィリピン人材」の分野別の就労ルートを解析
総数は3位の「フィリピン人材」は増加数4位
特定技能1号の「試験ルート」と「技能実習ルート」の違いは?
特定技能1号には大きく2つのルートがあります。それが「試験ルート」と「技能実習ルート」です。
試験ルートとは?
「試験ルート」は、日本政府が実施する技能試験と、日本語能力試験(または同等の日本語試験)に合格することによって、特定技能1号の在留資格を得るルートです。外国人材が特定技能ビザを取得して就労するためのスキルと日本語能力を証明する方式で、技能実習の経験がない方でも挑戦できるのが特徴です。
▼ ポイント
- 技能試験と日本語試験に合格すればOK
- 実務経験なしでも受験可能
- 分野ごとに試験が用意されている
技能実習ルートとは?
技能実習2号を良好に修了した外国人材が、追加の試験を受けずに特定技能1号へ移行できるルートです。技能実習中に日本で実務経験を積んだ実績を評価するため、別途技能試験は不要(日本語能力も基本的に確認不要)で、スムーズに在留資格変更ができます。
▼ ポイント
- 技能実習2号を修了していることが条件
- 技能試験・日本語試験は免除される
- 実務経験があるため、即戦力として期待される
まとめ:「試験ルート」と「技能実習ルート」の違い
ルート | 取得方法 | 特徴 |
---|---|---|
試験ルート | 主に技能試験+日本語試験に合格 | 未経験者もチャレンジ可能 |
技能実習ルート | 技能実習2号を良好に修了 | 実務経験あり・試験免除 |
特定技能1号と2号の違いについては、以下のページで説明しています。
フィリピン人材の特定技能1号 就労ルート別・増加数(2024年6月末 → 12月末)
就労ルート | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
全体 | 25,303人 | 28,180人 | 2,877人 |
試験ルート | 6,603人 | 7,614人 | 1,011人 |
技能実習ルート | 18,569人 | 20,439人 | 1,870人 |
※介護福祉士養成施設修了ルート、EPA介護福祉士候補者ルートは少数のため省略いたします。

行政書士
河野尋志
2024年後半、特定技能1号でのフィリピン人材の増加数は全体で2,877人と堅調な伸びを示しました。
特に注目すべきは、技能実習ルートによる移行が試験ルートを大きく上回っている点です。
技能実習ルートでは1,870人の増加となっており、フィリピン人材にとって技能実習から特定技能への移行モデルが依然として主流であることがうかがえます。一方で、試験ルートも1,011人増加しており、試験合格による直接就労の動きも着実に進んでいます。
ポイントまとめ
- 技能実習ルートが主力(全体の約65%増加分を占める)
- 試験ルートも一定の存在感
- 両ルートのバランスが比較的取れている国
今後、フィリピン人材においては技能実習修了者の移行支援とともに、試験制度へのアクセス強化も重要なテーマになりそうです。
特定技能1号の国別ランキング・増加分析(2024年6月末から12月末の半年間)については、以下のページをご覧ください。
以降では、特定技能1号「フィリピン人材」の16分野それぞれの就労ルート別の増減数を見ていきます。
特定技能1号「介護分野」の就労ルート
介護分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 3,567人 | 4,033人 | 466人 |
技能実習ルート | 406人 | 390人 | -16人 |
※介護福祉士養成施設修了ルート、EPA介護福祉士候補者ルートは少数のため省略いたします。

行政書士
河野尋志
介護分野でのフィリピン人材は、1位ミャンマー人材(+3,634人)、2位インドネシア人材(+2,482人)、3位ネパール人材(+859人)に次ぐ4位の増加数となりました。
また試験ルートでの就労が顕著に増加していることが明らかになりました。2024年後半には466人の増加を記録し、フィリピン人材の試験合格者が介護分野で確実に増えています。
一方、技能実習ルートでは16人の減少が見られ、介護分野では技能実習からの移行よりも試験ルートによる直接雇用が主流となりつつあります。
特定技能1号「ビルクリーニング分野」の就労ルート
ビルクリーニング分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 221人 | 217人 | -4人 |
技能実習ルート | 178人 | 188人 | 10人 |
特定技能1号「工業製品製造業分野」の就労ルート
工業製品製造業分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 80人 | 48人 | -32人 |
技能実習ルート | 4,404人 | 4,668人 | 264人 |

行政書士
河野尋志
工業製品製造業分野におけるフィリピン人材は、1位インドネシア人材(+551人)に次ぐ2位の増加数となりました。
また工業製品製造業分野においては、フィリピン人材の就労動向が技能実習ルートに強く依存していることが浮き彫りになりました。技能実習ルートでは264人の増加があり、引き続き多くの技能実習修了者が特定技能に移行していることが確認できます。
一方、試験ルートは32人減少と縮小傾向にあり、試験ルートによる新規受入れが鈍化している現状が見て取れます。
特定技能1号「建設分野」の就労ルート
就労ルート | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 99人 | 110人 | 11人 |
技能実習ルート | 3,097人 | 4,029人 | 932人 |

行政書士
河野尋志
建設分野のフィリピン人材は、1位ベトナム人材(+3,886人)に次ぐ2位の増加数となりました。
技能実習ルートを中心に大きく増加しています。この半年間で932人の増加があり、建設業界では実務経験を持つ技能実習修了者が即戦力として活躍していることがうかがえます。
一方、試験ルートでも11人の増加が見られ、まだ少数ではあるものの、試験合格による直接就労も徐々に進みつつある可能性があります。
特定技能1号「造船・舶用工業分野」の就労ルート
造船・舶用工業分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 32人 | 16人 | -16人 |
技能実習ルート | 4,721人 | 5,218人 | 497人 |

行政書士
河野尋志
造船・舶用工業分野でのフィリピン人材は、1位の増加数となりました。
受入れは技能実習ルートが圧倒的に主流であることがはっきりと表れています。2024年後半には、技能実習ルートで497人の増加が見られ、同分野において技能実習修了者が即戦力として評価されていることがうかがえます。
一方、試験ルートは16人減少しており、フィリピンからの試験合格者による新規流入は減速傾向です。
特定技能1号「自動車整備分野」の就労ルート
自動車整備分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 125人 | 162人 | 37人 |
技能実習ルート | 733人 | 749人 | 16人 |

行政書士
河野尋志
自動車整備分野ではフィリピン人材の増加数は少ないように見えますが、1位のインドネシア(+57人)に次ぐ2位です。そもそも、全体の増加数が218人と少数だったため、このような結果になりました。
特定技能1号「航空分野」の就労ルート
就航空分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 492人 | 644人 | 152人 |
技能実習ルート | 0人 | 0人 | 0人 |

行政書士
河野尋志
航空分野ではフィリピン人材の増加数はやはり少ないように見えかもしれませんが、総数、増加数ともに1位です。航空分野全体の総数が1,382人、増加数が423人とまだまだ受け入れ途上ということで、このような結果になりました。
特定技能1号「宿泊分野」の就労ルート
就労ルート | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 30人 | 48人 | 18人 |
技能実習ルート | 0人 | 0人 | 0人 |
特定技能1号「自動車運送業分野」の就労ルート
自動車運送業分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 0人 | 0人 | 0人 |
技能実習ルート | 0人 | 0人 | 0人 |
特定技能1号「鉄道分野」の就労ルート
鉄道分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 0人 | 0人 | 0人 |
技能実習ルート | 0人 | 0人 | 0人 |
特定技能1号「農業分野」の就労ルート
就農業分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 433人 | 437人 | 4人 |
技能実習ルート | 2,412人 | 2,464人 | 52人 |
特定技能1号「漁業分野」の就労ルート
漁業分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 0人 | 1人 | 1人 |
技能実習ルート | 15人 | 15人 | 0人 |
特定技能1号「飲食料品製造業分野」の就労ルート
飲食料品製造業分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 383人 | 417人 | 34人 |
技能実習ルート | 2,594人 | 2,711人 | 117人 |
特定技能1号「外食業分野」の就労ルート
外食業分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 1,141人 | 1,481人 | 340人 |
技能実習ルート | 9人 | 7人 | -2人 |
特定技能1号「林業分野」の就労ルート
林業分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 0人 | 0人 | 0人 |
技能実習ルート | 0人 | 0人 | 0人 |
特定技能1号「木材産業分野」の就労ルート
木材産業分野 | 2024年6月末人数 | 2024年12月末人数 | 増加数 |
---|---|---|---|
試験ルート | 0人 | 0人 | 0人 |
技能実習ルート | 0人 | 0人 | 0人 |
特定技能1号「フィリピン人材」の分野別・増加分析(2024年6月末から12月末の半年間)については、以下のページをご覧ください。
特定技能外国人材の雇用を検討している企業様へ
外国人材の活用は、日本の人手不足を補うだけでなく、職場の多様性を高める効果もあります。

行政書士
河野尋志
弊所では、以下のようなサポートを行っています。
- 在留資格「特定技能1号・2号」の申請手続きサポート
- 技能実習から特定技能への切り替え申請手続き
- 登録支援機関との連携支援
- 福岡出入国在留管理局管内(福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)への申請代行・書類作成
九州・沖縄で外国人材の雇用をご検討中の企業様は、ぜひ弊所にご相談ください。
以下は、特定技能1号人材を福岡で採用する場合の弊所のサポートを説明したページです。九州・沖縄全てに対応していますので、お気軽にご相談ください。
【まとめ】特定技能1号フィリピン人材、就労ルート別の増加動向(2024年6月末~12月末)
2024年後半、特定技能1号におけるフィリピン人材の就労は引き続き拡大傾向にあり、全体で2,877人の増加を記録しました。
ルート別に見ると、
- 技能実習ルート:+1,870人
- 試験ルート:+1,011人
となっており、技能実習ルートが依然として主力である一方で、試験ルートも確実に存在感を増していることが分かります。
【ルート別傾向】
- 技能実習ルートは建設・造船・舶用工業分野を中心に増加が顕著で、経験者の即戦力活用が続いています。
- 試験ルートは介護・外食・航空分野などで顕著に拡大しており、技能実習ルートの代替として定着しつつあります。
【分野別の特徴】
- 介護・航空・外食分野では、試験ルート中心の成長が目立ちました。
- 建設・造船・舶用工業分野では、依然として技能実習修了者が中心の構造が続いています。
今後の展望
フィリピン人材は、引き続き特定技能1号制度における主要な人材を期待できる国であり続けると見られます。今後は、以下のような対応が一層重要になるでしょう。
- 試験合格者への情報提供と定着支援の強化
- 技能実習からの円滑な移行を支える制度運用
- 分野ごとの特性に応じた受入れモデルの多様化
特定技能制度の成熟に向けて、試験ルートと技能実習ルートの「適材適所」運用が求められています。
今回の説明は以上です。ビザ申請サポート福岡 外国人支援センター(国際行政書士 河野尋志)ではビザ申請を丁寧に!早く!手続き致します。

行政書士
河野(かわの)
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国際行政書士 河野尋志プロフィール
企業の取締役として外国人の社員さんと一緒に国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。また行政書士業務を始めてからは、様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)
以下は、特定技能ビザ申請に関する情報一覧です。気になる情報があれば是非ご覧ください。
【速報】特定技能に新たに3分野が追加予定|福岡の就労ビザ専門行政書士が解説

行政書士
河野
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