育成就労制度の最新情報と外部監査人設置のポイント|福岡の行政書士が解説

はじめに
2027年に向けて、外国人の在留資格制度に大きな転換点が訪れようとしています。長年運用されてきた「技能実習制度」は、「育成就労制度」へと刷新される予定です。この新制度では、外国人労働者の人材育成と人材確保を両立させる仕組みが導入され、企業や監理団体に新たな責任が課されます。
本記事では、2025年5月時点の情報をもとに、以下の内容を解説します。
この記事を読んでわかること
- 技能実習制度と育成就労制度の違い
- 育成就労制度の目的と概要
- 外部監査人の設置義務とその背景
- 企業・監理支援機関が準備すべきこと
- よくある質問(FAQ)とその回答
- 行政書士に依頼するメリット

行政書士
河野(かわの)
私は特に、福岡出入国在留管理局管内(福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)を中心にサポートを行っておりますので、この地域の方々はお気軽にご相談ください、初回ご相談は無料! オンラインでの面談、サポートにも対応しております。
- . 育成就労制度では外部監査人設置が必須に
- 1. 技能実習制度と育成就労制度の違い
- 1.1. 制度目的と法的立場
- 1.2. 運用実態と課題の比較
- 1.3. 在留資格・キャリアパス
- 1.4. 日本語能力・技能水準
- 2. 外部監査人の設置義務とは
- 2.1. 外部監査人とは
- 2.2. 設置が義務化された背景
- 2.3. 外部監査人の要件(予定)
- 2.4. 監査内容と頻度
- 2.5. 今後の実務上のポイント
- 3. 企業・監理支援機関が準備すべきこと
- 3.1. 1. 受入体制の再構築
- 3.2. 2. 外部監査人との連携
- 3.3. 3. 職場環境の整備
- 3.4. 4. 転籍希望者への対応準備
- 4. FAQ(よくある質問)
- 5. 行政書士に依頼するメリット
- 6. まとめ
育成就労制度では外部監査人設置が必須に
技能実習制度と育成就労制度の違い
技能実習制度と育成就労制度は、外国人を労働現場に受け入れるという点では共通していますが、その設計思想や運用ルールには大きな違いがあります。
制度目的と法的立場
制度名 | 制度の目的 | 法的位置付け |
---|---|---|
技能実習制度 | 国際貢献(開発途上国への技能移転) | 国際協力制度(労働力確保が目的でない) |
育成就労制度 | 日本国内の人手不足分野における人材確保と育成 | 労働力確保を前提とした制度 |
運用実態と課題の比較
項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
---|---|---|
実質的な目的 | 実習生としての受入れ | 明確に労働者としての育成と確保 |
問題点 | 転籍不可、失踪、ブローカー介在など | 転籍可(条件付き)、計画認定制導入 |
管理体制 | 監理団体と技能実習機構による監督 | 監理支援機関と外部監査人による監督 |
在留資格・キャリアパス
制度名 | 在留期間と移行の流れ |
---|---|
技能実習制度 | 最長5年(1号→2号→3号)。特定技能1号へは試験免除で移行可能 |
育成就労制度 | 原則3年(最大4年)。特定技能1号への移行を前提としたキャリア設計 |
日本語能力・技能水準
項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
---|---|---|
日本語要件 | 明確な基準なし | 日本語試験(A1〜A2レベル)合格が必要 |
技能評価 | 技能検定(基礎級〜2級) | 特定技能1号と連動する水準を想定 |
外部監査人の設置義務とは
育成就労制度では、「監理支援機関」の設立が予定されており、これまでの監理団体に代わる新しい枠組みとして運用されます。その中核的要件の一つが、「外部監査人の設置義務」です。
外部監査人とは
外部監査人とは、監理支援機関の業務運営や外国人育成就労の適正性を第三者的立場から監査・検証する専門家です。監理支援機関と利害関係を持たず、中立・公正な立場で業務実施の適正性を評価します。
設置が義務化された背景
- 技能実習制度では、受入機関や監理団体の不適切な運用によるトラブルが多数発生
- 失踪や人権侵害、不正請求などの問題が社会問題化
- 制度の透明性と公正性を担保するため、外部からの監査機能の強化が必要と判断
外部監査人の要件(予定)
要件項目 | 内容 |
独立性 | 受入機関・監理支援機関と人的・資本的関係がないこと |
専門性 | 労務管理、法務、監査等に関する知識・実務経験を有すること |
適格職種の例 | 行政書士、弁護士、社会保険労務士など |
監査内容と頻度
- 育成就労計画の適正性、実施状況の確認
- 外国人への支援の履行状況
- 労働条件の遵守状況などをチェック
- 原則として年1回以上の定期監査が想定されています
今後の実務上のポイント
- 外部監査人の選任手続きと契約準備
- 監査報告書の保管と提出義務への対応
- 不適正な事項があった場合の改善命令や指導への備え

行政書士
河野(かわの)
外部監査人制度は、育成就労制度全体の信頼性を支える重要な柱です。監理支援機関のみならず、受入企業も制度趣旨を理解し、監査対応を見据えた体制整備を行うことが不可欠です。
企業・監理支援機関が準備すべきこと
育成就労制度の円滑な導入と運用のために、企業および監理支援機関は多岐にわたる準備を行う必要があります。以下に、制度開始前に取り組むべき具体的な事項を整理します。
1. 受入体制の再構築
- 育成就労計画の策定と認定申請:法令に基づき、外国人に対してどのような業務を通じて技能を習得させるかを明記した「育成就労計画」の作成が求められます。これは制度の中核をなすもので、適切な教育訓練内容、期間、評価方法などを具体的に記載します。
- 職種・業務内容の精査:育成就労制度では、特定産業分野に限定されるため、現在の職務内容が対象分野に該当するかを精査し、必要に応じて再設計が必要です。
- 契約書類の見直し:雇用契約書、誓約書、協定書など関連書類について、法令変更に対応する形に改訂する必要があります。
2. 外部監査人との連携
- 監査人の選定・契約:制度施行前に、外部監査人(行政書士、弁護士、公認会計士等)を確保し、監査契約を締結しておく必要があります。
- 監査対応体制の整備:帳簿書類、研修記録、勤務実績、支援履歴など、監査対象となる各種記録の保管と提出方法を整備し、いつでも開示可能な状態を維持します。
3. 職場環境の整備
- 日本語学習支援体制の強化:外国人が育成目標を達成できるよう、社内における日本語教育環境の整備が重要です。外部講師の導入やEラーニングの活用も効果的です。
- ハラスメント・差別防止の研修実施:職場でのトラブルを未然に防ぐため、日本人従業員への意識啓発とガイドラインの共有を行いましょう。
- 生活支援の充実:住宅、生活相談、医療機関との連携体制など、外国人が安心して生活できるような支援も育成の一部と考える必要があります。
4. 転籍希望者への対応準備
- 転籍制度の理解と社内ルール整備:外国人本人の意向による転籍が認められることから、転籍申請の手続き、条件、関係書類などを社内マニュアル化しておくことが望ましいです。
- 転籍先との調整手続き:転籍を受け入れる企業との調整や、就業環境の引継ぎがスムーズに行えるよう準備をしておく必要があります。

行政書士
河野(かわの)
これらの準備を怠ると、認定申請が認められなかったり、制度違反として監理支援機関の許可が取り消されるリスクもあります。専門家の支援も活用しながら、事前に計画的な対応を進めていくことが非常に重要です。
FAQ(よくある質問)
-
Q1. 技能実習生は今後どうなりますか?
-
2027年の施行日前に入国している技能実習生は、一定の条件下で引き続き実習を継続できますが、その後の新規受入れは育成就労制度に移行します。
-
Q2. 外部監査人は誰がなれますか?
-
独立性と専門性を備えた第三者が対象となります。具体的には行政書士、社会保険労務士、弁護士などが該当すると想定されています。
-
Q3. 育成就労制度の導入時期はいつですか?
-
法改正は2024年6月21日に公布されており、公布日から3年以内に施行されます。具体的な施行日は今後公表予定です。
-
Q4. 育成就労と特定技能の違いは何ですか?
-
育成就労は、技能を有していない外国人を3年間で育てる制度です。一方、特定技能はすでに一定の技能や日本語能力を持つ即戦力人材を対象としています。
特定技能について詳しくは、以下のページを参照ください。
-
Q5. 外部監査人がいないと監理支援機関の許可は下りませんか?
-
外部監査人の設置は監理支援機関の許可要件となっています。許可を取得するためには、要件を満たす外部監査人の選任が必須です。
国際
行政書士
河野まずは、お気軽にお問い合わせください!
-
Q6. 外部監査人の報酬や契約内容はどうなりますか?
-
報酬や契約条件は自由契約ですが、監査の中立性・独立性が担保される必要があります。行政書士が間に入ることで適切な契約設計が可能です。
-
Q7. 外国人本人が転籍を希望する場合の条件は?
-
やむを得ない事情や、同一業務区分内での転籍であること、育成就労期間の一定年数の経過、技能評価や日本語能力などの条件を満たす必要があります。出入国在留管理庁公式ホームページにも以下のように記載があります。
育成就労制度においては、パワハラや暴力などの人権侵害を受けた場合等「やむを得ない事情」がある場合の転籍を認めるほか、一定の要件の下、本人の意向による転籍も認めることとしています。
当該一定の要件としては、(1)転籍先の育成就労実施者の下で従事する業務が転籍元の育成就労実施者の下で従事していた業務と同一の業務区分であること
(2)転籍元の育成就労実施者の下で業務に従事していた期間が、育成就労産業分野ごとに1年以上2年以下の範囲内で定められる所定の期間を超えていること
(3)育成就労外国人の技能及び日本語能力が一定水準以上であること
(4)転籍先の育成就労実施者が適切と認められる一定の要件に適合していることなどがあり、その詳細については、今後主務省令等において具体化していく予定です。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html
-
Q8. 外国人の採用前に準備すべきことは?
-
職種や業務の明確化、日本語指導計画の整備、育成就労計画の策定、監理支援機関や外部監査人との契約調整など、制度対応の準備が求められます。
行政書士に依頼するメリット
- 最新の法令や省令に基づいた正確な申請サポート
- 外部監査人の候補者紹介や調整も対応可能
- 監理支援機関の設立支援や計画書の作成も対応
当事務所は福岡に拠点を置き、福岡出入国在留管理局管内(福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)の地域に密着した対応が可能です。
まとめ
育成就労制度は、技能実習制度の課題を踏まえた制度改革として注目を集めています。企業や監理支援機関には新たな体制整備と制度理解が求められ、外部監査人の設置が重要なカギとなります。
福岡出入国在留管理局管内で外国人材を受け入れている事業者の皆さまは、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。行政書士として、制度移行期の不安や課題に寄り添い、実務的な支援をご提供いたします。

行政書士
河野(かわの)
お気軽にご相談ください。初回ご相談は無料です!

国際行政書士 河野尋志プロフィール
企業の取締役として外国人の社員さんと一緒に国際業務に取り組んで15年間、多くのインバウンド事業や外国語ツール(多言語ツール)の作成、貿易業務の調整に取り組んできました。また行政書士業務を始めてからは、様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えてサポート致します。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:1976年生まれ、宮崎県出身、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)

以下は、技能実習や育成就労ビザ申請に関する情報一覧です。気になる情報があれば是非ご覧ください。
育成就労制度の最新情報と外部監査人設置のポイント|福岡の行政書士が解説
育成就労制度の動向:2025年3月時点

行政書士
河野
弊所のサービス内容や価格、手続きの流れ、許可の可能性診断につきまして無料相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。オンライン(ZOOM、LINE、WeChat、Teamsなど)での面談も対応しております。