外国語ツール「翻訳者さんの立場になって考えること」について(シリーズ5回目)
24年間、編集業務に携わり、後半の15年間は、インバウンド向け外国語ツール(英語、韓国語、繁体字、簡体字などの多言語化)を数えきれないほど作ってきた私が、外国語ツールの作り方を解説致します。
5回目の今回は「インバウンド向け外国語ツール(多言語ツール)を作る際に、絶対に欠かせないのは「翻訳者さんの立場になって考えること」です。
インバウンド向け外国語ツール(多言語ツール)を作る立場の私の目的は「翻訳の質を下げない、できる範囲で質を上げる」ことです。そのために持つべき意識を具体的に書くと、以下2つです。(もっとありますが、長くなるのでいずれ別ブログで追記致します)
❶ 翻訳者はすべての日本語の「単語の定義・概念」を知っているわけではないことを理解する
日本人でさえ、すべての日本語の単語を正確に定義できている人はそれほど多くはないと思います。まして、翻訳者さんといえどほとんどが外国人です。難解な単語をすべて知っている訳がありません。
「翻訳者なら、意味が分からない単語は調べるのが当然でしょ」と思うかもしれません(私もそう思います)が、翻訳者さんも人間です。調べるのはやはり面倒だし、調べる段階で誤解があり、翻訳ミスにつながる可能性もあります。
まして、クライアントが作成した文章である場合は「その業界独特の単語の使い方」で文章表現されている場合も少なくありません。
上記のようなことを想定し(翻訳者の立場になって)、分かりにくいであろう(翻訳ミスが発生する可能性のある)単語を、翻訳発注前に抽出し、平易な単語(表現)に書き換えてあげるのが関係者全員のメリットになります。翻訳のクオリティが上がることはなくても下がることは決してないでしょう。
❷ 翻訳者は、日本でいうところのコピーライターではないことを理解する
日本のコピーライターは、言葉のプロです。魅力的な「短い広告コピー」を生み出したり、「飽きずに読ませる長文」を書いてくれたります。私もライターの端くれですので、その質の高さは分かっているつもりです。
同じく「言葉」を扱う職業である翻訳者さんだからなのか、発注する日本人からみると「翻訳者さんは外国語のコピーライター」という意識を持ったクライアントさんに数多く会ってきました。もちろん、決してそんなことはありません。
翻訳者さんは翻訳のプロであって、日本でいうコピーのプロではありません。翻訳者さんの仕事は正確に翻訳するのが仕事であって、魅力的な文章を書くことではありません。
そこを誤解して、「うちにいるネイティブスタッフに翻訳文を読んでもらったら、ぜんぜん魅力的な文章じゃないって言われたよ」などと言われたこともあります。それは仕方ないことです。そのようなクレームを言われたところで対処のしようがなく、翻訳者さんのモチベーションが下がり、結果、翻訳のクオリティが下がることはあっても決して上がることはないでしょう。関係者全員のデメリットにしかならい言動・意識です。
今回の記事は以上です。インバウンド向け外国語ツール(英語、韓国語、繁体字、簡体字などの多言語化)を作成したい、というご要望あればご相談ください。(自称)九州で最多のインバウンド向け外国語ツール(多言語ツール)制作実績を誇る私が、目的が達成できる可能性が高いツールをご提案致します。

投稿者プロフィール 【行政書士 and 事業サポート 河野尋志】
外国人の社員さんと一緒に国際業務(私の担当は編集、調整業務)に取り組んで15年間、多くの外国語ツール(多言語ツール)の作成や貿易業務の調整に取り組んでいました。また行政書士業務を始めて3年間、様々な在留資格(ビザ)の申請経験も重ねてきました。外国人の皆さんの気持ち、日本の行政の考え方、企業の管理者の立場を考えて調整できます。どうぞ、お気軽にお問合せください。
●資格:行政書士・通関士有資格者・総合旅行業務・国際ビジネス法務
●個人:宮崎県出身、48歳、1男2女の父、柔道3段(今は3級くらいの実力)